再会
「…僕、行きたい」
「レイ!」
私はレイに裏切られた気がした。
熱が体を猛スピードで駆け巡る。
心拍数が早くなるのを感じた。
「…ごめん。でも、でも」
「行ったら傷つくんだぞ!?私は…」
毛穴から汗がにじみ出てきて、暑いわけじゃないのにじっとりする。
「猫ちゃん、気持ちはわかるけど…」
美鈴さんが、諭すように話しかけてくる。
しかし、それは私をイライラさせるだけでしかなかった。
「うるさい!お前はレイが辛い思いをしても平気なのか!?」
「…」
「良く聞け…な、レイ、私はお前を思って…」
こっちを向かないレイに一歩近づく。
「猫ちゃん」
後ろから声がかかる。
「今度はなんだ!」
怒鳴りながら振り返ってはっとした。
そこには、いつになく無表情な顔があった。
「なぁ、猫ちゃん。少年が、少年があの子に会うことを恐れているのは君だろう?」
「…!」
「本当は、君自信が傷つかないために少年を引きとめてるんじゃないのか?」
「沙耶歌さん!」
「美鈴さんは黙ってて。なぁ…猫ちゃん。違うか?」
「…」
私は黙る。
みんなも黙る。
レイは、レイはこんな私をどう思っているのだろう。
ちらり見た。
苦しそうな空気を纏ってうつむいている。
その姿が、どうにも私の気を引いて、もう一度ちらっと見た。
すると、レイは顔を上げ、私の方を向いた。
あわてて視線をそらす。
「あのね、僕は…」
頭上から声が降ってくる。
私はレイの顔を今度はしっかり見据えた。
「なんだ」
レイの眼を覗きこむように睨む。
いつか言われた事がある。
私の瞳は綺麗なビー玉みたいだと。
だけど今、レイの目に映って見える私のビー玉はひび割れていた。
「なんだ」
なかなか次を言わないレイに低い声で問う。
するとレイは瞬きをして口を開いた。
「…僕、どうしても行きたいんだ、どうしても。その後どうなるかはわからないけど、今行かないとその時、後悔することはわかるから」
絶望。
今、私の眼は完全に割れてしまっただろう。
言い切ったレイの瞳にはもう、私は映っていなかった。
「うそ…だろ?」
「ごめん」
「なぁ、な…んで、なんで、なんでなんだよ!」
私の中で何かがはじけ飛んだ。
狂ったように出口の扉に突進する。
もういい。レイなんて、沙耶歌なんて、美鈴さんなんて、大道なんて…
みんなみんなわからずやなんだ。
『ごめん』
「―――――っつ!」
聞こえたのは誰の声なんだろうか、ハルカなのか、レイなのかそれとも――――――――――。
茶色い扉はもう目の前だ。
しかし私はスピードを緩めず突っ込んだ。
―――――ドンッ
「!!…………?」
「痛って…ああ、お前か、ひさしぶりだね」
どこかで聞いた声。
どこかで感じた雰囲気。
懐かしむほど遠くはないけど、
なじんでいるほど近くはない。
そんな障害物が私を受け止めた。
「…どうしたの、お前も、香坂さんも、ハルカも。
ずっと、会えなくて寂しかったんだよ?」
―――――――――いや、さっき話したじゃん。
思わず突っ込んでしまった。
「アキラ様!」
おどけた彼に、ハルカがずんずん歩み寄る。
そしてガシッと手をつかむと、
「はやく中へ入ってください!誰か見ていたら、すぐに追手が来ます!」
と私とアキラを引きいれた。
――――カタン
ハルカの手により、扉は閉められ、私もアキラも座らされた。
燃え上って、大火事だった私の心はなぜかもう鎮火されて静まっていた。
「さぁ、アキラ。どうやって、なんでここに来たのか教えてもらうわよ」
EARTHでした。
大道ごめんね。
女子のが動かしやすくて、いいんだ。
運転手と美鈴さんに殴られ、猫に嫌われる役しかなくてごめんね。
これからも頑張ってね。
あのキャラ誰が作ったんだ……
…………私か。
次はうわの空さんです!お願いします!