集合
「ただいま戻ったぞ」
ハルカの実家に無事戻った私達は留守番をしていた三人に声をかけた。
「どうだった!?」
さっきまで壁にもたれていたであろうレイが、詰め寄ってきた。
「いや…それが」
「まあ、落ち着け少年」
「そうだぞレイ…って、ん?」
「とりあえず座って…ん?え?」
――――…あれ?猫ちゃんって喋れたっけ。
「あ」
「はぁ…」
「確かに」
「マジかよ!」
「えぇぇぇぇ!?」
完璧にスルーしていた…。
まあ、沙耶歌さん…いやあの変人は変人なので、きっと猫が喋ることごとき、許容範囲内だったんだろう。
ほら見ろ、なんだかキラキラした目で、もうこっちを凝視しているじゃないか。来るぞ、今に来るぞ。
「猫ちゃん」
ほらきた。
若干固まっている二人とやれやれと溜め息をついているいるレイを横目に、どこからか買い物帰りのオカンよろしく生ネギを召還して振り回す沙耶歌と追いかけっこをするハメになった。
「ふう…」
生ネギを振り回す変人に、かわいい黒猫が追い回されるというイジメのような追いかけっこは、復活したゴリラが乱入して、なぜかすぐまた固まってしまったところで終わった。
「みっ…美鈴。許してくれっ…!」
「あんた!あんないたいけな猫ちゃんをストレス死させるつもりかい!?どうなんだい、え?」
「わはは!大道、おぬし尻に敷かれ人生だなっ!」
「そんなこと言ってないで助けてくれー!」
「ダメよ!ねぇ猫ちゃん、あの見境のないゴリラをちゃんと更正させないとねぇ〜」
「フガッ」
「ぎゃぁぁぁ!」
そうだそうだ。いいぞ美鈴さん。だいたい大道といい沙耶歌といい、なんでこんなに私を追いかけ回すんだ。
「追いかけ回され人生だね」
「そしてお前はなんでそんなに楽しそうなんだ?」
「いや、だってラブラブの二人と一緒に留守番させられたからさ…ねぇ」
レイは私を呼び寄せて喉をくすぐりながら柔らかく笑った。
「それで、どうだった?僕の…」
―――ガラガラガラ
「はぁ…はぁ…あ、よかった。ここにいらっしゃいましたか…」
「あぁ、ハルカさんか」
「無事だったのか」
「はい。お二人様もご無事そうでなによりです」
戸を開けて入ってきたのは先ほど別れてしまった少女…ハルカだった。
「まあまあ座って座って」
暗黙の了解のように円になって座り、沙耶歌がハルカに手招きする。
ハルカは素直に沙耶の隣に一礼して正座した。
「君、ハルカさんっていうのか」
大道が興味深げに身を乗り出す。
それでもハルカは嫌な顔ひとつせず自己紹介をはじめた。
「失礼しました。遅くなってしまいましたがハルカと呼んでください」
「…ハルカ、さん?」
「はい」
レイの顔が歪む。
きっと『ハルカ』を頭の検索機にかけているのだろう。
しかし該当する記憶がなかったのか、もじもじ座り直しただけだった。
―――パンパン!
「はいはい!近頃なんか辛気臭いよ!」
美鈴さんが両手を叩いて沈黙を蹴散らした。
一緒に私の思考も切れ、不覚にも間抜けにキョロキョロしてしまった。
「そうだな、今私達がするべきことはこれからについて話し合うことだ。して、三人は私達がスパイしている間何をしていたんだ?」
沙耶歌がレイ、美鈴さん、大道と順に見回した。
「あ、あぁ…そうだな」
終点の大道は目を若干游がせながら話はじめた。
「そう。俺達三人は…」
ありがとうごさいますEARTHでした
次はうわの空様です!