表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

超短編 貝殻の指輪

作者: 小川 西町

宏美からの手紙(抜粋)

昨日ね、高校の卒業遠足があって、三崎港に行ってきたの。

よりによって、三崎港だよ、暖かかったし花も咲いていたし、きれいなところだった。

バスのガイドさんが、三崎、三崎って言うから、そのたびにドキドキして、気がふれそうだったよ。

貴方へのおみあげ・・・指輪買ったんだ。

封筒に同封しました。

友達にひやかされたんだよ、でもそれが嬉しくてね。

お小遣い少ないから・・・サイズが合うと良いのですが。

離れないで欲しいから・・・今は、こうしてずっと手紙を書いていたい。

絶対、貴方の住むところの大学に合格する・・・。


・・・約一年半後。

宏美が家に来なくなってどれくらい経つだろう。

サイズが合わなくて、内側から削って合わせた、貝殻の指輪。

昨日、その指輪が割れた。

これが「もう、終わりました。貴方は明日から自由です」・・・神からの知らせなのか。

長い間つけていた為か、なくなると妙に淋しい。

この割れた指輪は、最後の、僕たちの出会った印だったような気がする。

今でも、割れたまま、机の引き出しにしまってある。


僕の右手から、その指輪がなくなった二ヵ月後、出会いがあった。

二歳年下の、自称十六歳の少女だった。

・・・少し、擦れていた。

僕が、直してあげようと思った。

指輪は直せないけど、この少女の心は治せそうな気がした。

・・・海へ行った。

海岸へ一緒に行こう、と言うと、少女は首を横に振って、クルマの中で待っていた。

僕は心配で、ワンセット波を捕まえると、直ぐに上がってクルマに戻った。


スプリング(春用)の軽めのウェットを少女の前で脱ぐと、両手で目を隠しているが、隙間を開けて僕の全てを見ているのは分かっていた。

聞くと、処女ではないという。

あまり深くは、その訳は聞かなかった。

僕は・・・最後の一線を、未だ越えていない。

そのことを話すと、今夜、それを付き合ってくれると言う。

潮の香りと寝てみたいと言う。


親に内緒で、夜、僕の部屋に案内した。

少女は、僕に女性を教えてくれると、少女は素直な女性になり、直ぐに寝てしまった。

まるで貝殻の指輪をくれた宏美が探した、僕の女神のような寝顔をしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ