2.悩み
小説を読むのは好きだが、書くとなるとどうにもわからない。日頃思っていることも、悩みも短い文で終わるし、ありきたりだ。どこにでもいる若者っぽくて、これは私向きではないのではないか。創作にしたって、登場人物は動かない。悩みも人生もよくわからない。
「はぁぁ……」
こんこんこんと鉛筆を紙に叩く。鉛筆で作った点が紙に増えていく。
ピンポーンと家の呼び鈴が鳴る。なんとなく誰が来たが察しがつき、立ち上がって、部屋を出て、階段を降りて、インターホンで確認し、「はーい、でまーす」と声を届けて、がっちゃっと玄関を開けた。
「僕さ、恋人できた」
「……は?」
「だから、恋人できた」
「……は?いやいやいや、……それでなにしに来たの」
「報告」
「はぁ?」
馨はそれだけ言うと帰ってしまい、苛立つ私は玄関のタイル張りの三和土に立っていた。…………あいつに?万が一にも、恋愛物でよくある、他人のものになって初めて思いに気づく。なんて、ものではないが。あいつのどこがいいんだ。いや、なんか人気があるのは知っている。だからこそ『幼馴染なら___でしょー?」とか、なにが好きなのとか、本当にどうとも思ってないのとか、幼馴染だから羨ましいとか、たとえ幼馴染がないとしても彼ならあるでしょうとか……うざいのよ。
冷静になってみれば、悪くない話だった。もうそういうのが、なくなるということでもある。ただ……。小説どうしようかな、と題材に気を向けるのだった。




