1.定例の勉強会
さりさりさりと鉛筆を走らせ、止め、走らせ、止め、消す。
部活の宿題、課題、ともかく私は小説を書いていた。う〜んと唸り声を上げる。題材はなんでもいい、創作でも、実体験でも、随筆でも、はたまた……なんて言われも困るのだ。これで書け!と言われた方がまだましだと、どうせそう言われれば選ばせてもくれないなんてと思っていたであろう、決まりきった文句を垂れた。
「……幼馴染とは恋愛できない?」
背後の見知った声に、どうせ私の小説をばかにするんだわと思いつつ、顔を向ける。
「いつ入って来たの」
「今さっき。お母さんには挨拶したよ」
「そーお」
鉛筆を握り直し、さてとと書きかけの紙に向かう。
「それで、僕とは恋愛できないの?」
分かっていたのに、盛大に出鼻を挫かれた気分で、鉛筆を置く。
私が小学生の頃から愛用している机。向かって座った青年、それはまさしく私の幼馴染である。
「なによ、じゃあ私としたいっての」
「いやあ、まったく」
「……そう」
高野 晶子はむかついている事を隠しもせず、睨み、悪態をつく。
「部活で?」
目時 馨は原稿用紙を指し、問うた。少なくとも馨はまだその話をするつもりらしい。彼が来ると知っていて、書いてた私も私なのだが。
「そう」と一言で返す。
「文芸部って読むだけかと思ってた」
「さーあ、場所によるんじゃない?」
「たしかに」
「あなたのバスケ部、休憩しすぎじゃない。そういうこと、じゃない?」
「休憩は大事だよ、何事においてもね」
「はぁ」
知ったようなことを、私と同じで、まだただの高校生じゃない。
「題材がよくわからなくて」
「うん」
「普段から思っていることとか、溜め込んでいることでもいいって言うから」
「……普段から?」
くくく、ふふふと耐えきれずに馨が笑い出す。
「なによぉ、よく言われる。聞かれる。うざったいじゃない!」
晶子の声は実感がこもっており、どんどんヒートアップするようだった。
「ふふ。でも、それ出したら出したらだよ」
「うるさいなあ、浮かばないんだからしょうがないじゃない。変えるかもだしさぁ」
「へぇ。でも、こう書かれると、だめだ。面白すぎる」
「……だああ、うるさい!」
その日の夕方は「それっぽいことしようか?」と、謎で、いらないことを言われ
「いらない!」と叫んだのだった。




