試験で待っていたのは五賢でした。
〈前回までのあらすじ〜〉
自身の力を知ったリュウキはマジカリアという街にきてある女の子と出会った。元の世界に戻る手がかりを見つけたリュウキはその手がかりの人物と接触するために魔法教会の会員になることを決意する。
※第3話における注意とお願い
今回の話では試験の問題を通してこの世界の魔法に関する説明が行われます。今後の話についていけるようにしっかりと読んでくださると幸いです。
クリスタと練習を初めてから1週間が経った。
正直、大分きつかった。
知らない力に知らない知識を2週間で詰めるというのだから一日の練習量も半端なかった。
街のことはあまり見れてないが試験が終わったらゆっくりと見て回ろうと思い、これを糧に頑張っていた。
龍王があしらってくれたというこの世界のスタイルに合った服も結構汚れてしまった。ただ、黒を基調としていたためある程度の汚れは考慮してくれてたのかもしれない。
ただ、クリスタの着ていた服(黒のTシャツに白いフードに白いズボン)の汚れは俺のなんか霞んで見え、彼女の日頃の努力が感じれて尊敬すらしていた。
今日も今日とて彼女と練習していた。休憩にベンチに腰をかけ話をしていた。
「なんでクリスタは魔法教会に入ろうと思ったんだ?」
「それは…五賢の【契約】様に会うためよ!」
「【契約】様?」
「うん。昔ね、魔物に襲われていた時にまだ五賢じゃなかった【契約】様に助けてもらったの。その時の後ろ姿がとてもカッコよくてずっと憧れてるの!それで、【契約】様が五賢になったって聞いて、私も入ろうと思ったんだ〜。」
「やっぱり、五賢に憧れてる人もいるんだね。」
「そうね、でも、その中でも特に憧れてる人が多いのが
【契約】様なのよ。あの方は特殊な力を持った家の出身なんだけど、あの人の持った能力は大したことなかったそうよ。でも、常人なら気の狂うほどの努力をし、あの立場を得たの。才能に恵まれた五賢の中で努力でのし上がった【契約】様は色々な人から憧れを抱かれてるのよ。それに…私は少し…あの方と同じ部分があるんだ…」
「同じ部分?」
彼女の表情は少し寂しそうになっていた。
彼女は話すか少し悩んだ後に話してくれた。
「私の家系、【クリスタ】も代々多くの才あるものを輩出してきたの。だけど、そんな人達とは違って私は少し普通の人よりも魔力が多いだけ…だから、落ちこぼれとして扱われてきたの。そのせいで輝きを表す【クリスタ】の名に色あせるという意味の【コイノン】って名前をつけられたんだ…だから、出来るだけ私のことはクリスタと呼んで欲しいな。」
彼女は流れそうになっていた涙を目をつぶって流さず笑いかけてきた。やっぱり、彼女は色々尊敬できる人だ。そう思うと、勝手に言葉が出ていた。
「クリスタならきっと【契約】様みたいになれるさ。なんの根拠もないけど、俺は短い間だったけどクリスタのことを近くで見てきた。俺は貴方を尊敬してる。だから…負けるなよ…」
「リュウキ…」
彼女は少し呆気に取られていたがふと我に帰ったように
「そうだね!それじゃ、続きを始めようか!」と言った。
そして、俺とクリスタは試験の前にだらしないと思われないように汚れた服は努力の証として持ちつつ、新しい服を買った。
クリスタとティアに選んでもらって雰囲気が出るように黒いフードを買ったが、こういう服を着ることはあまりなかったので少し新鮮な気持ちになった。
そして…試験当日…
魔法教会のとある部屋に並べられてる多くの椅子の一つに座っていた。
席は事前に決められており、俺とクリスタは少し離れたところだった。
学んできたことを色々思い出しながら待っていると、部屋に受付嬢の女性が入ってきて言った。
「皆さん、これより魔法教会の会員試験を始めます。まず最初に今回の試験の最高責任者【契約】様よりご挨拶です。」
その言葉を聞いた瞬間、この場にいた全ての魔法使いが目を大きく開けて動揺した。
そして…次の瞬間…一人の男性が一歩部屋に入るだけで空気は重くなった。
絶対的強者、絶対に勝てない、世界をも揺るがす存在…一目見てこれほど察せてしまうほどの存在感を目の前の一人の男性が放っていた。
それに反して、その男性は微笑んで話を始めた。
「こんにちは、五賢が一人【契約】のコントラ・フェアトラーク。私の名前を知ってるのは中々いませんので、ぜひ覚えていただけると幸いです。努力は決して裏切らない。努力を裏切るのは自分自身であると覚えておいてください。全力を出し切ってください。」
彼は片目にだけつけたメガネを光らせて言った。
クリスタから話を聞いた後だとこの言葉はとても重く感じる。
そして、そのまま一人一人に問題用紙と回答用紙が渡されて
コントラ様の合図でテストが始まった。
〈現在の五賢全員の二つ名を序列順に答えよ。〉
五賢に関しては最初にクリスタが熱弁してくれたからよく覚えている。
【万空】【生命】【契約】【虚真】【占天】と書いた。
〈次の魔法陣はそれぞれ何を表すか。〉
そう、この世界は魔法ごとに魔法陣があり、使いたい魔法に合わせて一々魔法陣を構築しないといけないため簡単に扱うことはできないのだという。ただ、五賢は自身の使う魔法は全て一つの魔法陣に凝縮しているそうだ。
そう考えると、本当に五賢は化け物じみている。
幸いにも、問題の魔法陣は全て覚えていたので答えを書いた。
〈魔法使いの実力を決める三要素は何か。〉
これは【ヘルメアの三要素】と呼ばれるものだ。最初の五賢にして魔法の始祖とも呼ばれる偉人ヘルメアが決めたものだ。
[魔力量][魔法陣構築速度][魔法操作力]の三つだ。
俺の課題は[魔力量]だ。他二つはティアが勝手にやってくれるから問題はないがこれは力を流す俺次第なので今はまだ龍の力を完全にはだし切れていないそうだ。
〈この三要素を合わせた魔法使いの実力を表す指標は何か。〉
これは[戦魔力]と呼ばれるものだ。俺がよく知っている言葉でいうと戦闘力だな。多くの魔法使いは最初にこれを測定する魔法を習うらしい。そうすることで無謀な戦いを避けられるからだ。俺はティアがいるのでまだ習ってはいない。
こうして、俺は順調に解いていった。
記述試験が終わり1時間ほど待たされた後、記述試験の結果が出た。全員で210人が受けていたようで、俺は500点中475点で現状第6位、クリスタは500点中490点で現在第2位だ。
本当に一生懸命に頑張ってきたんだなと思った。
すると、後ろからクリスタが肩を掴んできた。
「すごいじゃん!たった2週間で475点なんて!」
「あはは、クリスタとティアの教え方がうまかっただけだよ」
そう自身の結果に安心しているとコントラ様が来た。
「これより、実技試験を始めるので全員訓練場に来てください。」
これから実技試験…正直…こっちの方が心配だ。
読んでくださりありがとうございます。これからも皆様の理解が捗りつつ面白いと思えるような作品作りに励んでいきますので、どうか次回もよろしくお願いします。




