表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

年賀状は届かない

作者: 夢宮まな
掲載日:2025/12/14

 

 ……僕は友達が少ない。



 だからお正月は少し悲しい。

 



 兄あての年賀状がたくさん届いているのを見ると、どうしても比べてしまうからだ。



 それでもお正月は好きだった。ごろごろできて、勉強しなくてよくて、おせちも美味しくて。



 炬燵に入りながら僕あてに届いた数少ない年賀状を手にとって。



 スマホを片手にお年玉番号を一枚ずつ確かめる時間が、僕は静かで好きだった。



 気づけば年の終わりが近づいていた。



 僕は久しぶりに紙と向き合う。



 久しぶりに年賀状を書こうと思いたったんだ。



 ……誰あてにしようか。



 友達の顔は思い浮かばない。



 悩んで悩んで、……結局、兄の名前を書く。



 ――誠一郎。





「セージ!何を書いているんだ?」



 背後から声がして、僕は振り返った。



「手紙だよ」



「変な書き方だな。せめて封筒に入れないと」



「いいんだ。これはこういうものだから」





 紙の上には、日本語と、記憶を頼りに描いた門松の絵。



 切手もないし、誰も読めない。



 お年玉の番号もデタラメだ。



 何桁あったかすらもう思い出せなくて、適当に並べた。



 それでも、僕は丁寧に書いた。



 書かずにはいられなかった。





「それ、誰に渡すんだ?」

 


「渡さないよ。届くわけもないから」





 そう答えて、僕は空を見上げる。



 赤い月が二つ浮かぶ空の下、石畳の街を魔法の灯りが明るく照らし、鐘の音が響いていた。




 それでも僕は、いつか。



 ──どうかいつか、元の世界に。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ