第十話
「これでパーティー登録完了!!」
ギルドにてエルノーラとエレナのパーティー登録をした。
その結果、彼女たちのステータスを見ることができた。
<<<エルノーラ 18歳
体力 B
筋力 C+
防御力 C-
魔力 B-
魔法防御 C+
瞬発力 B-
メインスキル なし
サブスキル 『忠誠心』
ユニークスキル なし
コモンスキル 『魔術発生速度++』
魔術 『風魔術・中級』
『水魔術・初級』
『治癒魔術・中級』
『解毒魔術・初級』
『結界魔術・初級』>>>
<<<エレナ 15歳 隷⇒エルノーラ
体力 C-
筋力 B+
防御力 B-
魔力 C-
魔法防御 D+
瞬発力 C+
メインスキル 『獣化』
サブスキル なし
ユニークスキル なし
コモンスキル なし
魔術 『火魔術・初級』
『光魔術・α』
『身体強化・乙』>>>
<<<フチガミ カンナ 16歳 隷⇒ヤガミ レオ
体力 E+
筋力 E+
防御力 C-
魔力 B-
魔法防御 C+
瞬発力 D+
メインスキル 『雨女』
サブスキル 『ショートスリープⅢ』
ユニークスキル 『健康維持Ⅱ』
コモンスキル 『氷結Ⅰ』
『寒さ耐性』
『暑さ耐性』
『発汗量調整』
『魔術耐性』
『火属性特効』
『危機感知Ⅱ』
魔術 『水魔術・中級』
『風魔術・初級』
『結界魔術・初級』>>>
お三方、特に姉妹さん方、強くない?
俺はこれだよ?
<<<ヤガミ レオ 16歳
体力 D+
筋力 C
防御力 E+
魔力 E
魔法防御 E
瞬発力 C
メインスキル 『剛体化Ⅰ』
サブスキル 『演算Ⅰ』
ユニークスキル 『逆転』
コモンスキル 『加速Ⅱ』
『無反応性化』
魔術 『土魔術・初級』>>>
「ふ、2人ってさ、なにか昔習ってたとかあるの?」
「修道院にいたことならあるけど」
姉のエルノーラが答える。
それであのステータスになるの!!
俺も修道院に行きたい。(無理です。)
でも、教育受けられるだけの立派な家庭生まれっぽいし、それこそどうしてこんなところにいるんだ。
介入しすぎるのも良くないと思うし、突っ込むつもりはないけれども。
「いまからアドリアノヴァって国まで行くんだよね?」
淵上がエルノーラに尋ねる。
そのアド何ちゃらノヴァみたいなの、覚えていたのか、一回で。耳がいいのかな。
「あんまり詳しくないからさ、説明してくれませんかね?」
エルノーラに両手をパンとくっつけて懇願する。
しょうがないなぁと言いながら教えてくれた。
「今いるのがラ・ウェルジアム州だから、南に進んでオリエント州まで行く。
オリエント州は8つの市町村からなる州で、ガロネシアとアドリアノヴァが国境接している地域はいくつかあるけれど、越境が許されてるのはポート・ヴァルド市だけ。」
「そのポート・ヴァルドってところにいくのか?」
「まあそうなるかな。早馬で3日、現実的なところだと1週間くらいってところか。」
「仮にも俺たちは冒険者だし、アドリアノヴァまで依頼をこなしながら行くのが丸いか。」
「だね。」
淵上がコクンと顎を引いて同調する。
そうと決まれば遠征の準備だ。
***
ギルドで馬車を借りてルイスの街を出発する。
手綱を握るのはエルノーラ、俺と淵上とエレナは馬車の中だ。
「そう言えば、ガロネシアでは町民が自由に州を行き来できるんだね。」
淵上の言葉に返したのはエレナだった。
「基本的に貴族か冒険者か、傭兵か。
自由に移動できる人は少ないかも。」
なにそれ。
俺の表情を見てか、淵上が怪訝な表情を浮かべる。
「歴史の授業聞いてた?」
「ボチボチ、、、かなー」
「封建制度って習ったじゃん、、、」
なにそれ。
淵上が知ってるってことは、俺も一応は聞いているわけで。
「レオくんって顔の割にバカだよね。」
「褒められてるのか貶されてるのか、どっちかにしてよ。」
ただ、話の流れ的に、土地に人を縛る制度的なものだと思う。
現代人ほど昔の人は自由がなかったってことなんだろうな。
「魔物だ!」
エルノーラの叫び声を聞き、3人は臨戦体制へと入る。
馬車を飛び降りると、デカいトカゲと、それに乗った人型のトカゲ。
形状で言えばウーパールーパーとか、サラマンダーとかに近いか?
「リザードマンだ。でもどうしてこんなところに。」
全然違った。リザードマンっていうのね把握。
エレナが剣を抜き放って突撃する。
それに補助するようにエルノーラが風魔術で土煙を作り目眩し。
怯んでいるリザードマンを一刀両断。
「すげええええええええええ」
俺の半分くらいの背丈の女の子が、俺よりデカいトカゲ切り伏せた!
なにそれ、むしろどうして奴隷なんかになってんの。
「アクアボール!」
淵上もリザードマンに魔術を放つがいまひとつ。
「リザードマンは生まれながらに水属性耐性がある!
水魔術は通りが悪い!!」
淵上の眼前まで迫っていたリザードマン。
すぐに結界魔術を使って攻撃を防いだ。
淵上もすげええええええ。
「びっくりした。」
一度弾くと結界は空中に霧散する。
背後から迫っていたエルノーラが風魔術でリザードマンを切り刻む。
切り刻むといっても、サイコロステーキみたいにするってことじゃなくて、肉を切って、骨に届かずと言ったところ。
傷口から大量の血が溢れてくる。
あたりには細切れにされたリザードマンの絶叫が。
すかさず腰に携えていた探検で首を切り落とす。
エルノーラもすげえええええ。
よっしゃ、俺もいっちょ頑張りますか!!
「レオくんは馬車を守って!」
「レオくんここは任せて!」
「一番守るべきものを見失っちゃだめレオくん!」
3人に止められる。
3人はどんどんリザードマンとウーパールーパーもどきを蹴散らしていく。
淵上も趣向を変えたのか、風魔術主体に戦っている。
「レオくん1人抜けた!!!」
「あいよ!!」
リザードマンと睨み合う。
長い爪を突き立て、必死の突撃。
それを『剛体化Ⅰ』を起動して正面から受け止める。
爪が粉砕されたのを見て腕を掴もうとするが四足歩行になって距離を取られる。
そのまま口を開くと水鉄砲(威力やばめ)を放ってきた。
「うえ、きたね!!」
すぐに『剛体化Ⅰ』で体を守る。
あとで着替えなきゃじゃん。
「バリア!」
しかし、水鉄砲を受けることも濡れることもなかった。
親指を立ててこちらに微笑んでいる淵上の姿が。
「ありがとうカンナ。」
「気を抜いちゃダメだよ!!」
結界が崩れた瞬間に『加速Ⅱ』で一気に距離を詰める。
棍棒を振り抜くとリザードマンは空中に舞う。
ドサリと地面に倒れると、うめき声を上げながらおぼつかない足取りで逃げようとする。
しかし、一歩の探検が逃げ惑うリザードマンに突き刺さる。
その瞬間、リザードマンの動きが停止した。
こちらに満面の笑みを浮かべてあるエルノーラ。
「ナイスアシスト!!」
俺以外が強くて仕事がない件。
窓際族すぎる。
「何匹がやったら、他のリザードマン逃げちゃった。」
「魔物相手でも結構やれるね!!」
「カンナ、久々の戦いなのに結構動けるね。」
「でしょでしょ、もっと褒めてよ!!」
馬車に乗り込むと、膝を抱えて頭を振りながら涙を流すリザードマンが。
「あ」
目が合うとすぐに首を掴んで外に引き摺り下ろす。
ビャアアアアアという叫び声を無視して『加速Ⅱ』を使って投げ飛ばす。
「飛んだ!」
「流石は祖先がドラゴンなだけはある。」
「飛んでるというか、うーん。」
***
「冒険者ね、、、はい、通っていいぞ。」
エレナが言っていたように、簡単にオリエント州に入ることができた。
丸4日かかってとうとうラ・ウェルジアムを出た。
途中、何度か魔物と遭遇したが、特に苦労することもなく撃破。
しかし、異世界人のエルノーラとエレナによると、魔物がちょっと多すぎる気がするとのこと。
俺たちの感覚に直すと、山を越える途中で3回も熊にあったら流石におかしいと思うようなもんか?
そう考えると確かに。
「そもそも湿地帯でもないのにリザードマンにあったり、人里近くでオークにあったり、夜襲でアンデットが出てきたり、色々とおかしな魔物が多かったよね。」
「そうなのかな。私たちにはよくわからないな、レオくん。」
「そうだな、そこは2人だけの感覚だな。」
「えへへ」
俺たち2人じゃなくてエルノーラとエレナってことね!!
満更でもなさそうなため否定はしないでおいた。
「やっぱり魔人族がいるのと関係があるのか、、」
「なんですって!!!」
俺の独り言に反応したのはエレナだった。
剣幕がすごい。
俺より小さいのに圧倒されてしまう。
「そう言えば、カニーユ村でも出たね、魔人族。」
「そうそう。カンナがいてよかったよ。」
「、、、」
俺たちがあの日のことを話していると、エルノーラとエレナが信じられない話を聞いているとでも言いたげな表情で俺たち2人を見てくる。
「まず、一ついいかな。」
「ん?」
「魔人族が出たってのは、出たってこと?」
何言ってるんだこの子。
それ以外にどうやって捉えるんだよ解釈。
文字通りだと説明するともっと顔が深刻に、、、。
「二つ目、魔人族と戦ったの?」
「やばかったんだよ。俺防御面には自信あったけど、普通に殺されかけたの。」
口を大きく開いて言葉を失っている。
ま、無理もない。俺の防御力の高さを知っていたら驚くだろうぜ。
「なんで死んでないのさ!」
あ、そっち。
俺の防御力じゃなくて、生きてることに驚いてたのね。
「三つ、魔人族を追い払ったってこと?」
「追い払ったっていうか、、、殺した。」
淵上が2人に告げるとさらに愕然とした。
そりゃすごかったけど、そんな顔の筋肉フル活用したみたいな変顔するほどか?
可愛い顔が台無しだし、やめてほしい。
「強いのはレオさんじゃなくてカンナさんの方でしたよ姉さん。」
「どっちもよ。でもカンナさんが強いってのは、予想外!」
コソコソと何か話している。
ここからだとよく聞こえない。
「どうして、そんな物騒なことになってたのよ。」
「そりゃ、魔物が大群で押し寄せてきて、」
「はぁ〜、、」
口から情けない声を上げながら白くなるエルノーラ。
「ね、姉さん!!!」
倒れるエルノーラを優しく抱きかかえるエレナ。
「やだ、、やだよ姉さん!!!」
「エレナ、私はもう、、」
変なことしてるから人が集まってきたじゃないか!!
2人を抱えて宿屋に入った。
横で不機嫌になり始めた淵上は、今は考えないことにした。
***
「っは!」
「姉さん! 目が覚めたのね!!」
「わ、わたしは!!」
「はいはいもういいから。」
パンパンと手を叩いてエルノーラが横になっているベットに近づく。
「そんな適当に流せるようなことじゃないんだけど、、、、」
どこか不満気なエルノーラだったが、すぎたことじゃん。
「体調が悪いようなら明日はゆっくりするか?」
「ううん、ぜんぜん平気だから。」
「そうかい? でも、あまり無理はするなよ。」
「う、うん。心配してくれてありがとうね。」
馬車をずっと引いてくれてたのはエルノーラだしな。
その疲れが押し寄せてきた可能性もある。
無理してるかもしれない。
「やっぱ明日は休暇だ休暇。
たまにはダラダラ過ごすのも悪くない!!」
「いいの?」
申し訳なさそうに尋ねてくる。
「当たり前だろ。俺たちは仲間だ。
仲間のことが第一だ。それは、エルノーラだって同じこと。」
「、、、」
「ね、姉さん!!!」
「ふぇあ? にゃ、にゃに?」
滑舌どうしたんだと突っ込みたくなるが、少し疲れているみたい。それも、相当。
「レオくん! 言われた通り買ってきたよー」
「ありがとうカンナ。」
果物を買ってきたカンナが帰ってきた。
「サンキュー! 食べやすい大きさに切ってくる。」
この世界の食べ物で、一番簡単に受け入れられるのは果物だと思う。
異世界人の俺からしたらね。
やっぱ、元いた世界でも果物って素材の味を活かしてるじゃん。
てか、むしろそのままじゃん。
だからか、なぞの味付けなどがない分スッと腹が受け入れる。
ちょっと味見しちゃお。
「はい、あーん」
「えあ、あーむ」
「、、、、」
この果物って実際なんて名前なんだろ。
「カンナ、これはなんて果物なんだ?」
「つーん」
「つーんって奴らしいぞ。」
「いや、レオさん、違うと思いますよ。
てかそれヨカですし。ヨカも知らないのは、すごい世間知らずっぷりですね。」
メジャーな果物みたいだ。
てか、なんで淵上は嘘ついたのさ。
「おいしい?」
「うん。おいしい。」
「つーーーーーん」
ぶつぶつ言っている淵上はほっとこう。
今は、そっとしといて。
「つーーーーーーん」
「カンナ、具合でも悪いの?」
「長旅で疲れちゃったなー。」
「、、、さいですか。」
「あー」
目をつぶってねだるように口をこちらに開けている。
なに、キスしろと?
いや、それはないか。
食べ物を食わせろと。
残っていたヨカを小さく切って淵上にあーんして食べさせる。
「んー、おいひい〜!!」
「むー、あー」
「エルノーラさん?」
「姉さん、私が」
「む」
「ああ、」
エレナがヨカをあげようとすると、横一文字に口を閉じた。
しばらく2人に振り回されることになったが、俺は幸せを感じていた。
「なんでよ、姉さあああああああん!!」




