マークの塔 2話
塔の内部はそんなに広くなくガランとした空間だ。
マークがどこからともなくハシゴを持ってきた。
「ここをこうして・・・っと」
壁に立てかけるとマークは登っていった。
「ちょっと、そこって天井じゃない」
「まぁみてなって」
サラを尻目にマークは天井の一箇所を押した。
するとパカっと天井の一部が開き光が差し込んできた。
「うわ、まぶしい」サラは驚いた。
と同時に、部屋の中が明るく照らされホコリが宙を舞っていた。
「うわ、汚い」サラは二度驚いた。
「ここは長年人が出入りしていなくて汚いからな。
まぁそんなことはどうだっていい・・・こっちだ」
マークはさっさと上へ登ってしまった。
まったくもう、サラはそう思いつつもゆっくりと上を目指し登った。
ちょこんと顔を出すと気持ちのいい風がサラの頬を流れていった。
「ここが外から見た屋根の部分さ。
ほら、ちゃんと登れよ」
そう言って手を伸ばしたマークに掴まりようやくサラは上の階に足をつけた。
「スゲーだろ、この塔はなんでも約300年前に
大きな争いが起こっていた頃建てられたものらしい・・・」
マークが塔の歴史について熱く語るもサラの耳には届いていなかった。
窓から一望できる真っ青な晴天のもと、地平線まで続く麦畑の風景に
サラは心をうっていた。
そして何よりも感動したのは塔の一番上の部分がステンドグラスになっていることだった。
その為部屋全体がカラフルで不思議と暖かな気持ちになれた。
300年前に作られたとは思えないそのステンドグラスの輝きにサラは感動していた。
「とっても不思議、ただの寂れた建物だと思っていたのにここだけ・・・
とっても暖かい気持ちになれる」
サラは思っている事をそのまま口に出していた。
もくもくと解説をしていたマークは話をやめニッコリした。
「なんたってこのマーク様の隠れ家だからな」
二人はしばらくの間
心地よい風に吹かれながら景色を眺めていた。