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青空と爆弾  作者: 108
8/10

e8:リョウの衝撃記事

 アキトは、リョウの記事によって、かつての爆弾少年としての過去を暴かれ、激しいバッシングにさらされた。


 メディアはアキトの過去をセンセーショナルに報道し、彼を「テロリスト崩れの政治家」と揶揄する者もいた。


 支持率は急落し、議員辞職を求める声も上がる中、アキトは記者会見を開き、自らの過去と向き合い、謝罪と説明を行った。


 しかし、世間の目は厳しく、アキトの政治生命は風前の灯火となった。



 一方、ユウタは、リョウの記事を見て愕然とした。


 彼は、リョウの行動がアキトを追い詰めることを理解していたが、同時にリョウの心の奥底にある苦悩も感じ取っていた。


 リョウは、爆弾少年時代から常に冷静沈着で、グループの頭脳として活動していた。


 しかし、その裏には、社会に対する深い絶望と怒りが渦巻いていた。


 ユウタは、リョウがアキトを攻撃することで、自分自身を傷つけているようにも思えた。


 ユウタは、リョウに連絡を取った。


 二人は、かつて共に音楽を作り、夢を語り合った仲間だった。


 しかし、今は互いに異なる道を歩み、それぞれの信念のために生きていた。


 ユウタは、リョウとの再会を切望していたが、リョウはユウタからの電話に出ることはなかった。


 諦めきれないユウタは、リョウがよく訪れていたという海辺のカフェに向かった。


 夕暮れ時の海辺で、リョウは一人、物思いにふけっていた。


「リョウ…」


 ユウタの声に、リョウはゆっくりと顔を上げた。


「ユウタ…なぜここに?」


 リョウは、驚いた様子でユウタを見つめた。


「お前と話したくて来たんだ。なぜ、アキトを攻撃するような記事を書いたんだ?」


 ユウタは、まっすぐにリョウの目を見つめた。


 リョウは、しばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。


「俺は、ただ真実を伝えただけだ。アキトは、過去を隠して政治家になった。そんな奴が、平和を語る資格があるのか?」


 リョウの声は、怒りと悲しみに満ちていた。


「だが、お前はアキトを傷つけた。彼は、本気で平和を願っているんだ」


 ユウタは、必死にリョウを説得しようとした。


「平和? そんなものは幻想だ。現実は、弱肉強食の世界だ。アキトは、それを理解していない」


 リョウは、冷たく言い放った。


「リョウ、お前は変わってしまったのか? 俺たちの夢はどこへ行ったんだ?」


 ユウタは、諦めずにリョウに語りかけた。


「夢? そんなものは、もう捨てた。俺は、現実を生きている」


 リョウは、そう言って立ち上がり、ユウタの前から去ろうとした。


「リョウ!」


 ユウタは、リョウの腕を掴んだ。


「俺たちの音楽を忘れたのか? 俺たちは、音楽で世界を変えようとしていたじゃないか!」


 ユウタの言葉に、リョウは足を止めた。


 彼は、ユウタの言葉を噛みしめるように、ゆっくりと振り返った。


「音楽? そんなもので世界は変わらない。現実は、もっと残酷だ」


 リョウの瞳には、深い絶望が浮かんでいた。


 ユウタは、リョウの腕を掴んだまま、言葉を失った。


 かつての仲間との溝は、深く、そして広かった。


 しかし、ユウタは諦めなかった。


 彼は、アキトを救うために、そしてリョウの心を再び開くために、ある決意をする。


 ユウタは、ギターを手に取り、新たな曲を作り始めた。


 それは、アキトへの応援歌であり、リョウへのメッセージでもあった。


 ユウタは、自らの想いを音に乗せ、世界に向けて発信しようとしていた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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