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青空と爆弾  作者: 108
7/10

e7:友情と野望の狭間で

 ライブハウスの熱気は最高潮に達し、ユウタの歌声は観客の心を揺さぶり続けた。


 曲が終わると、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。


 ユウタは、深々と頭を下げ、ステージを後にした。


 楽屋に戻ると、ユウタは、汗だくの顔でソファに深く腰掛けた。


「アキト、お前は今、何を思っているんだろうな…」


 ユウタは、アキトのことを思い浮かべながら、静かに呟いた。


 かつて共に音楽で世界を変えようと誓い合った親友。


 しかし、二人は今、全く違う道を歩んでいた。




 一方、リョウは、国会議事堂を後にするアキトを遠くから見つめていた。


 アキトの周りには、多くの支持者が集まり、彼を激励していた。


 その光景を見て、リョウの心は複雑な感情に揺さぶられた。


「アキト、お前は本当に正しいことをしているのか? 政治の世界で、お前は本当に平和を実現できるのか?」


 リョウは、自問自答を繰り返しながら、カメラをバッグにしまった。


 そして、踵を返し、雑踏の中に消えていった。



 数日後、リョウは、アキトの演説が終わるのを待ち、彼に近づいた。


「アキト、久しぶりだな」


 リョウの声に、アキトは驚いて振り返った。


「リョウ…お前、一体…」


「お前は変わったな。随分と立派な国会議員になったもんだ」


 リョウは、皮肉を込めて言った。


「リョウ、俺はお前と話したいことがある」


 アキトは、リョウを近くのカフェに誘った。


「話したいこと? なんだ? 俺を説得でもするつもりか?」


 リョウは、冷笑しながらコーヒーを口にした。


「違う。ただ、お前が今、何を考えているのかを知りたいんだ」


 アキトは、真剣な眼差しでリョウを見つめた。


 リョウは、アキトの瞳から、かつての情熱と誠実さを感じ取った。


「俺は…まだ、あの頃の理想を信じている。だが、方法が違うだけだ」


 リョウは、静かに語り始めた。


「俺は、お前が政治の世界で闘うことを否定するつもりはない。だが、お前は、本当にそれで平和を実現できると信じているのか?」


 アキトは、リョウの言葉に言葉を詰まらせた。


「俺は…わからない。だが、やらなければ何も変わらない」


 アキトは、苦しそうに顔を歪めた。


「そうか…お前は、まだ迷っているんだな」


 リョウは、アキトの苦悩を理解した。


「アキト、お前は、自分の信じる道を進めばいい。だが、忘れるな。俺たちは、かつて同じ夢を見ていたことを」


 リョウは、そう言って席を立った。


 アキトは、リョウの後ろ姿を見送りながら、複雑な思いを抱いた。


「リョウ、俺はお前を裏切ったかもしれない。だが、俺は、絶対に諦めない。平和を実現するために、俺は闘い続ける」


 アキトは、心の中で誓った。



 数日後、リョウは、ある記事を書き上げた。


 それは、アキトの過去を暴き、彼の政治活動の矛盾を鋭く指摘する内容だった。


 リョウは、その記事を大手新聞社に持ち込んだ。


 記事は、瞬く間に世間に広まり、大きな波紋を呼んだ。


 アキトは、激しいバッシングに晒され、彼の政治生命は危機に瀕した。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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