表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青空と爆弾  作者: 108
2/10

e2:孤独な叫び

 アキトは、毎晩のようにギターを手に取り、感情をぶつけるように作曲を始めた。


 怒り、悲しみ、絶望、そして僅かな希望。


 それらの感情が、荒々しいメロディーと叫びのような歌詞となって形になっていった。



 ある日、アキトは、孤児院の近くのライブハウス「ブルーノート」の前を通りかかった。


 店の前には、「バンドメンバー募集」の張り紙が貼られていた。


 アキトは、一瞬立ち止まり、その張り紙を見つめた。


「バンドか…」


 アキトは、これまで一人で音楽を続けてきた。


 しかし、自分の音楽をもっと多くの人に届けたいという思いが、日に日に強くなっていた。


 バンドを組むことで、その願いが叶うかもしれない。


 アキトは、意を決してライブハウスの扉を開けた。


 薄暗い店内には、数人の若者が集まっていた。


 彼らは、アキトの姿を見ると、興味津々な視線を向けてきた。


「あの…、バンドメンバー募集って、まだやってますか?」


 アキトは、緊張しながら尋ねた。


「ああ、やってるよ。ギター弾けるのか?」


 声をかけてきたのは、ベースを抱えた長髪の青年だった。


 彼は、リョウと名乗り、バンドのリーダーだと説明した。


 アキトは、持参したデモテープをリョウに渡した。


 リョウは、デモテープを聴き終えると、目を輝かせた。


「すごいな、こいつ。俺たちが求めていたサウンドだ」


 リョウは、他のメンバーにアキトを紹介し、その場でセッションが始まった。


 アキトのギターは、リョウのベース、ユウタのドラムと見事に調和し、魂を揺さぶるような音楽を生み出した。


 セッションを終えた後、リョウは、アキトにバンドへの加入を正式にオファーした。


 アキトは、迷わずそのオファーを受け入れた。


「俺たちのバンド名は、『爆弾少年』だ。お前も、一緒に爆弾を投下しようぜ」


 リョウの言葉に、アキトは力強く頷いた。


 アキトは、ついに自分の居場所を見つけたのだ。


 爆弾少年は、ライブハウス「ブルーノート」を拠点に、精力的に活動を始めた。


 彼らの音楽は、若者たちの間で瞬く間に話題となり、多くのファンを獲得していった。


 しかし、彼らの音楽は、同時に批判も浴びた。


 彼らの歌詞は過激すぎると非難され、一部のメディアからは「危険な思想」とレッテルを貼られた。


 それでも、アキトたちは、自分たちの音楽を信じ、歌い続けた。


 彼らは、平和を訴えるだけでなく、戦争の悲惨さ、社会の不条理、そして若者たちのやり場のない怒りを、音楽を通して表現した。


 彼らの音楽は、孤独な魂を持つ若者たちの心を掴み、共感を呼んだ。


 爆弾少年は、単なるバンドではなく、若者たちの心の叫びを代弁する存在となっていった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


ぜひ『ブックマーク』を登録して、お読みいただけたら幸いです。


感想、レビューの高評価、いいね! など、あなたのフィードバックが私の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ