001.出会い
ゲームを買った。大学の卒業も決まり、内定先も決まっていた。普通の大学生なら卒業旅行とやらに行くのだろうが、新生活のスタートダッシュで友人作りに失敗した自分は友人と言える人はいなかった。家にいても暇だったので大学の図書館にある昔の漫画を読み漁って、全部の漫画は読み切ったほどだった。なので、特にやることがなかった自分は今までやれていなかったゲームを買うことにした。最初は一人でしようとしていたんだけど、高難易度アクションが売りのゲームで、アクションが苦手な自分には最初のボスを倒すのですら時間をかけて、それでやっとだった。
救済の措置として、そのゲームには友人とやる機能もあった。でも、一緒にやってくれる友人もいなので、ネットで一緒にやってくれる人を募集した。
【ゆるく募集:一緒にクリアを目指してくれる人。こちらアクション苦手です】
誰か来るかなーと思いながら、こんな文章を書いた。最新のゲームでもないので、そんなにやっている人もいないと思っていたので、誰も来ないだろうなと思いながら書いてみた。
そうすると、一件連絡がきた。
【めあさん:一緒にやりませんか?】
ん?女の子、、、?
アクション系で、しかも結構渋いゲームだったので来たとしても男が来ると思っていたが、アイコンは可愛い女の子のアイコンだった。内心、ネット上で女性を名乗るネカマかな、、と思いながらも一緒に出来ることが嬉しかったことや、アイコンが可愛かったから一抹の期待も含めて返事をした。
【自分:いいんですか!やりましょー】
そうして、僕たちは出会った。
【めあさん:よろしくお願いします!】
【自分:よろしくお願いしますー、ボイスチャット繋いでも良いですか?】
ネカマであればこの問いに出来ないと返すだろう。という気持ちと、にじみ出る期待感を胸にそんな文章を送る。もしどうしてか聞かれたらアクション系だからすぐに情報共有したいからだとそんな言い訳をしようとも思いながら返事を待っていると、
【めあさん:チャットだけでお願いします!】
あーやっぱりネカマか。でも、一緒に出来ることが嬉しいから仕方ないかと思いながらゲームをしていくことになった。
ゲームの中で出会うと、エモーションを使いながら挨拶をしてくる。また、武器を振りながら挨拶をしてくる。あーネット慣れている人っぽいなーとそんなことを思いながら、チャットを送る。
【自分:出来ましたね!じゃあ、よろしくお願いします!】
【めあさん:はい!!】
めあさんはすぐに敵のところに突っ込んでは死んでいた。
【自分:どんまいですー!最初は仕方ないですよね!突っ込むと死んでしまうので、ゆっくりいきましょー】
【めあさん:はーい!】
そんな風に言っていたのだが、変わらず突っ込んで死んでしまう。
中々人の話を聞かない人だなと思いながら、それでも誰かと一緒にやれるゲームが面白かったので、気にせずにゲームを続けていた。
そんな感じで1週間ほど一緒にやっていく中で少しずつめあさんは慣れてきて、死ぬことが減っていた。やっぱりゲームをやっている時間が長いだけあって、慣れるのも早いんだなと感心しながら、逆に自分が死ぬことも増えてきた。
【自分:ごめんなさいー!】
【めあさん:何で体力危ないのに引かないんですか?】
あれ???いつの間にか責められていないか、、、?その後も、死ぬ度に文句を言われるのが続いていた。
1週間の間で段々とめあさんの言葉遣いが荒くなっていく。最初は猫を被っていたところがあったのかもしれないが、これが本性なのか。と思っていたが、久々に出来た友人を失いたくない自分は何も言えずにいた。だけど、ゲームをしているのに何でこんなに責められないといけないんだろう、、そんな気持ちは沸々と湧いていた。そんなとき、何回も死んだ結果ミッションを失敗してしまった。
【めあさん:お前、下手なんだからさっさと引けよ!お前とやってても全然面白くねえよ】
そう言われて、気持ちがもう切れてしまっていた。
ずっとチャットだけで会話しているし、めあさんが死んだときには何も言わないのに、自分が死んだ時だけ文句を言われる。これ以上やっても楽しいことは何もないだろう。限界が来てしまった自分は、
【自分:何でそんなこと言われないといけないんですか。もうあなたとはしたくありません。】
こんな文章を送ってしまった。
ネカマだとは思っていたが、可愛い女の子であるという幻想を捨てきれなかった。だけど、それでも自分の気持ちが段々と辛くなってゲームを辞めてしまうぐらいならば、一人でやる楽しさを取ろうと思った。
【めあさん:は?勝手にしろや。】
【自分:じゃあ、さよなら。】
こうしてめあさんとの最初の出会いは終わった。




