美少女と漆黒の勇者一行
まぁ、普通に助けるんだけどね。
だって、凄い美少女なんだもん。
見た感じの年齢は恐らく僕より少し下だと思う。
ぷっくりと柔らかそうな唇と雪のように白い肌。
程よく引き締まり豊かに膨らんだ胸、整った顔立ちに綺麗な黒髪をミディアムヘアにした可愛らしい女の子だ。
助けた後に危害を加えられても嫌だから、僕でも対処できるレベルのステータスなのかだけは確認しておく。
ステータス
[ 名前 ] ダリア
[ レベル ] 68
[ 体力 ] 290
[ 魔力 ] 278
[ 攻撃 ] 296
[ 防御 ] 265
[ 魔攻 ] 250
[ 魔防 ] 320
[ 素早さ ] 350
[ スキル ] 急成長、少女の祈り、気配感知
レベル68か。
僕が今まで鑑定したなかでは一番レベルが高いし、スキルも3つも持っている。
急成長は経験値が2倍に、少女の祈りは他者のステータスを2倍に出来て、気配感知は相手の気配が分かる見たいだ。
少女の祈りは1日に使用できるのは一回で、時間も1時間限定らしい。
それでも十分強いけど。可愛いくてスキルも強いし、助けた後にパーティーとか組めると良いな。
後、写真は撮らせて貰おう。
「ぁ……」
とはいえ、先ずは彼女を助けなきゃ。
僕はスキル聖女の力を使うために両手を彼女に向ける。
両手には白い光が溢れ、その光が彼女を優しく包んでいく。
そうして、光が収まると死にかけだった彼女の顔に生気が戻ってくる。
取り敢えずは上手く行ったみたいで良かった。使った事の無いスキルでぶっつけ本番だったからね。
「あれ、私は?」
それから数分後に彼女は目覚めた。まだ意識がぼんやりとしているようだが。
「あの男たち……」
「目が覚めたみたいだけど、体調はどうかな?」
「あなたは? あれ? そういえば傷が治っています。死んでもおかしくないぐらいの傷だったのに」
傷が治ってる事に気づいたみたいだ。
自分の体を手で触りながら不思議そうにしている。
「僕が治したんだ。迷惑だったかな?」
「いえ、本当に助かりました。命を救って頂きありがとうございます!」
「うん、どういたしまして」
「あ!」
何かを思い出したのか、急に彼女の顔に焦りのようなものが見えた。
「あの! 今すぐ逃げないと!!」
「逃げる?」
もしかしたら、あの傷はモンスターに付けられたもので、ソイツから何とか逃げていたのかも。
「私たちはワイバーンに襲われて逃げてきたんです!」
彼女が鬼気迫る表情で伝えてくれる。
「ワイバーン?」
正直なところ異世界に来たばかりの僕にはワイバーンの強さがどれぐらいなのかよく分からない。
ドラゴンとか言われればイメージ的にも強いのかなーとも思うけど。
「はい、私たちは冒険者のギルドの依頼で臨時のパーティーを組んで森の調査に来ていたんですけど」
「調査?」
臨時で冒険者を集めて調査をするという事は森に異変でもあったのかも知れない。
「最近、森に生息している居るはずのオークが平原まで出てくる事が多いらしく」
「それの調査に来ていたと」
「そこでワイバーンに出くわして……」
「仲間がワイバーンにやられた、もしくは」
さっき彼女は「あの男たち」と良くないニュアンスで言っていた。
という事は、他の冒険者は彼女を置いて逃げたのかもしれない。
最悪の場合は彼女を囮にして。
「今回の臨時クエストには3つのパーティーが参加していました」
「私を含めて全員がCランクの冒険者で、私ともう1人の方がソロで活動している冒険者でした」
「最後の1組だけがパーティーを組んでいると」
「はい、漆黒の勇者一行を名乗る分不相応な奴らです」
厨二病を拗らせてたのかな?
それとも、異世界では普通なのか。
にしても、彼女の棘のある言い方からして逃げだのは漆黒の勇者一行なんだろうな。
「最初は出てくるオークを倒しながら順調に進んでいたのですが……」
「ワイバーンが現れたと」
「はい、逃げるのが難しいと考えた私は戦おうと前を向きました。しかし、彼等はそんな私を背後から蹴り飛ばしたんです!」
あー、やっぱりそういう感じか。彼女の言い方的にもそんな気がしてたんだよね。
「うん、それは酷いね」
「それで蹴り飛ばされた私はワイバーンの攻撃を食らってしまったのですが、もう1人の冒険者の方が私を逃すために囮になってくれたんです」
なるほど、だから彼女は傷を負ったのにワイバーンから逃げる事が出来たのか。
その冒険者がワイバーンを倒している可能性は低い。
ワイバーンが勝利していたとして、それで満足しているかどうか?
そもそも、ワイバーンって人間を食べるのかな?
でも、食用以外でも人間を襲う事はありそうだな。
自分の縄張りに入ってきた侵入者を撃退する為とか。
まぁ、別にワイバーンと戦っても良いんだけどね。
最悪の場合は魔法を使えば逃げれそうだし。
「その人のおかげでここまで逃げて来れたんだね」
「はい、あの彼の方には助けられました!」
「うーん、でも少し遅かったかも」
「え?」
「Gaaaaaaaa!!」
もう来ちゃったんだよね、ワイバーン。
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