二度寝とビュッフェ
昨日までは目覚めるとスヤスヤと眠るダリアの顔が目の前にあった。
けど今日から真ん中にはリンの姿もある。
まだぐっすりと寝ているが。
ピクニックに行った先で食べ物の匂いに釣られてきた彼女。
つぶらな瞳で「1人は寂しくなった。仲間に入れて」なんて寂しそうに幼女に言われたら断れなかった。
それに彼女のステータスは高いし仲間にするのには申し分ない。
そんな事を考えていると布団の中がもぞもぞと動き真ん中から頭が飛び出してきた。
起き上がるったリンは当たりをキョロキョロと見渡して僕を見たあとに頭をこちらに差し出して来た。
多分これは撫でろと言う意味だろう。
僕がリンの頭を優しく撫で始めると彼女は気持ち良さそうに目を細めていた。
満足したかなと思って手を離すと寂しそうにこちらを見たのでもう少しだけ続けた。
「うん……おはよ」
撫でられて満足したリンは起き上がり挨拶をした。
「おはよう」
そんな様子をボーと見ていた寝起きのダリアが僕の前に頭を突き出したので撫でる。
優しく撫でると気持ちよさそうに微笑んでくれて可愛い。
「おはようございます〜」
まだ起きたばっかりで完全には意識がはっきりとしてないみたいだ。
ダリアが起きたのを見てリンがまた頭を突き出す。
どうやら僕だけじゃなくてダリアにも頭を撫でて欲しいみたいだ。
ダリアがリンの頭を撫でてるのを見ているとなんだか微笑ましい気持ちになる。
今日は普段より早く起きたけどやる事ないんだよな。
「まだ眠いし二度寝するね」
僕がそう言うとまだ眠そうなダリアがそれに続いた。
「それでしたら私も」
「じゃあ……リンも寝る」
・・・
2回寝てしっかりと睡眠を取った僕たちは朝ごはんを食べに行く。
朝はいつもホテルのビュッフェをダリアと食べに行くことが多い。
今日からはリンもいるのでいつもよりも賑やかになりそうだ。
「いい匂い……美味しそう」
さっそく、クンクンと匂い嗅いでから周りの料理を見まわして目を輝かせるリン。
すでにその口元からはよだりが垂れそうになっている。
「好きなだけ食べていいよ」
「食べ放題……嬉しい」
リンはそう言って嬉しそうに尻尾も揺らしていた。
皆んなで食べ物を取りに行くとリンが凄い勢いで皿に色々な物を乗っけていく。
「凄い勢いですね」
「そうだね、僕たち2人よりも食べそうな勢いだよね」
「昨日も凄かったですもんね」
ダリアは苦笑しながらも微笑ましそうに見ていた。
「ダリアはリンを可愛いがってるよね」
彼女は早い段階からリンを警戒する事なく可愛いがっていた。
もしかしたらリンが仲間になりたいと言った時にダリアは何となく反対するんじゃ無いかとも考えていたがそれは杞憂だった。
むしろ妹のように可愛がっている。
正直、自惚にはなるけど僕との2人旅を続けたいのかなって思ってもいた。
「そうですね、もしかしたら妹がいるからかも知れません」
「妹?」
「はい、故郷にいた妹の世話をよくしていたので」
「そっか」
「それにリンは何か構ってあげたくなるような魅力があると思うんですよね」
「あー、それは分かる」
僕も初めてあった時に食べ物をあげちゃったし。
「今日はデザートから食べようかな」
話してる間にもリンが皿に食事をよそって座っている。
どうやら僕とダリアを待ってくれているようだ。
だからお腹を空かせているリンのためにも早く戻ろう。
「良いですね。私もそうします」
僕はプリンやケーキなんかを選んで席に戻った。
最初に甘い物を食べてから主食をよそったり、真ん中ぐらいでスイーツを挟むのが自由で贅沢な気がして僕は結構好きだったりする。
「待たせてごめんね」
「大丈夫……食事は皆んなで食べた方が美味しいから」
そんな可愛い事を言ったリンの頭を隣に座るダリアが撫でいた。
にしても、リンのお皿の中はでっかい肉にローストビーフ、チャーハン、パスタ、ウインナーといった物が乗っていて凄いことになっている。
何というか健康に悪そうと言うか太りそうなメニューだ。
もう少し野菜を取った方が良いんじゃないかと思いながらも、僕も子どもの頃はあんな感じによそっていたなぁと懐かしくなった。
それから、リンは5分ちょっとでそれを平らげるとおかわりをしに行った。
結局彼女はあれから5回ぐらいおかわりをして満足そうにしていた。
僕とダリアが食べた以上にリンの胃袋に食べ物が消えていった。
一体あの小さな体のどこにあれだけの料理が入って行くのか不思議だ。
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