出発と盗賊
闇ギルドを壊滅させた日から2日が経った。あの日忘れていたのはおじさんを回収する事だった。
まぁ、ダリアとイチャイチャしたかったから別に良いんだけど。
多分、分かっていてもやった。そして、次の日におじさんに『俺、置いてかれたんですけど!』って怒られたけど。
昨日は1日休みにして、ダリアとホテルで添い寝したりご飯を食べに行ったりとイチャイチャしていた。
冒険者は自営業だから好きな時に働けて休めるのが良い。
これは僕が理想にしていた生活だ。日本にいた時みたいに毎日学校に朝早くから行かなくてもいいし受験勉強だってしなくてもいい。
それもこれも異世界に来ることが出来たからだ。
面倒な事が無くなっただけじゃなくて、ダリアという巨乳美少女にも出会えた。
そういう意味ではこの国に感謝しても良いのかも知れない。
まぁ、その前提にあるのが僕が強いという事なんだけど。
やっぱり弱肉強食のイメージがある異世界で弱ければこんな呑気に過ごせないだろう。
現に多少なりとも余裕があるのは武力に自信があるからだ。
そして、この国ともしばらくの間はおさらばだ。
今日からは隣国に向けて出発するからね。
まぁ、といっても今日中には戻って来るんだけど。
やっぱり、いくら魔法で綺麗にできると言っても、毎日のようにお風呂に入っていた日本人の僕には湯船に浸からないなんて我慢出来ない。
そこで考えたのは隣国までの道を出来るだけ進み、日が暮れたら転移魔法でこの街に帰るという作戦だ。
転移魔法でいきなり隣国まで行ければ良いが、一度行った事がある場所じゃ無いと転移は出来ない。
そうやって、隣国までの道を進んで2日目にダリアから報告があった。
「複数人から見られてます」
この街道は周りに木々がたくさんあり、こちらを監視するなら絶好の場所だ。
「盗賊でも居るんじゃね」
どうでもよさそうにおじさんが言う。まぁ、このメンツなら盗賊に負けることは無いだろう。
「じゃあ、盗賊が出たら僕とダリアは街に戻るね」
「何でだよ! 俺また置いてかれるの!」
「冗談だよ」
「それより、視線に関しては無視する方向で良いですか?」
「うん、いつも報告してくれてありがとう。凄い助かってるよ」
僕にはまだ気配探知とか出来ないし、ダリアにはとても助けられている。
こうやって良いコミュニケーションを取るためにもドンドンとありがとうを発信して行こうと思う。
何かのビジネス書にもそうやって書いてあった気がする。
「お役に立てて良かったです」
そう言って嬉しそうに微笑む彼女が可愛いくてつい抱きしめてしまう。
最近はこういうスキンシップがお互いに増えた。
「ケッ! 朝からイチャイチャしやがって!」
「てい!」
心底鬱陶しいと顔に書いてあるおじさんからの野次が僕たちに入る。
良いところを邪魔されたので、その腹いせとして僕は魔法で攻撃を開始する。
「あ、危な!! 今死ぬとこだったよ俺!」
「チッ!」
外したか。
「舌打ち! 今コイツ舌打ちしたよ!」
「いつ襲われるか分からないんですから静かにして下さい」
ゴミを見るような目でダリアが言う。
「え! ダリアちゃんもイチャイチャしてたじゃん!! お父さん悲しい!」
と騒いでいるおじさん目掛けて矢が飛んできた。
この攻撃は僕がしたわけでは無いが、良いタイミングだったと思う。
「うお! 危な!」
その後も絶え間なく矢が飛んでくるが結界を僕とダリアに張って防ぐ。
「俺には!!」
あんな感じで大袈裟に騒いでいるが普通に避けられるだろう。
本当にヤバかったら結界を使っても良いが、今は別に問題無いかな。
「やれ!」
痺れを切らした指揮官らしき男の声で下っ端の盗賊たちが四方から攻めてくる。
「ダリアは正面の敵をお願い」
「分かりました」
「おじさんは自分の近くをお願い」
「おう!」
残りの敵は氷魔法のアイスランスを使い串刺しにする。
仲間がやられて勝てないことを悟ったのか指示を出していた奴が逃げ出した。
「お願いしていいダリア?」
「はい!」
そう言ったダリアは嬉しそうにしながら盗賊を追いかけて短刀で始末した。
あの男だけはレベルが35あったから少なからずダリアのレベルアップに繋がるだろう。
レベル上げをしてもらいたい気持ちもあるけど、それ以上にダリアは僕に何かを任されると嬉しそうにするからなるべく頼るようにしている。
こうして盗賊を倒したりしながらホテルとの行き来を繰り返すこと3日で隣国にたどり着くことが出来た。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、広告下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を押して応援してくれると嬉しいです!
していただいたら作者のモチベーションも上がり、とても喜びます!
宜しければお願いします!




