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異世界で自由に生きたい  作者: 鯖の味噌煮
2章
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新しい仲間と相部屋


「てことで、新しく仲間になった自称元闇ギルドの幹部を名乗るおじさんです!」



 新しい仲間をダリアに紹介する。



「組織を裏切らせたのに扱いが酷くない!」



 おじさんが文句を言っているが、気にしないことにする。 



「よろしくお願いします。おじさん」



「おう、久しぶりだな」



 という事でおじさんが仲間になった。

 まだ、ぎこちない感じを2人から感じる。



「おじさんがレン様の攻撃を避けながら逃げたせいで、私はあの場所に1人で取り残されたんですからね」



「いや! 避けないと俺が死んでたからね! っていうか、結界にお前を閉じ込めてたのはレンだろう!」



 そう、戦闘に夢中でダリアを閉じ込めたまま、気付けば戦いながら移動してたんだよね。



  彼女からしたらお互いに知り合いだから、内心ではヒヤヒヤしていたかも知れない。



「ごめんね、ダリア」



 謝ったけど同じ状況だったら、心配になって結界に閉じ込めると思う。ダリアを守りながら戦わないといけない事はこれからもあるだろうし。



 だからこそ僕はもちろん、出来ればダリアにも今より強くなって欲しい。



「いえ、レン様は私を守ろうとして下さってので良いんです」



「あれ? 俺の時と態度が違くない」



 おじさんがダリアの態度の違いに困惑している。 



「あなたとレン様では格が違うのですから当たり前です」



「俺、3年ぐらいお前の面倒を見てたんだけど……」



 おじさんが悲しそうに言う。

 というか、そんな長い間一緒に居たんだ。



「別に頼んでません」



 おじさんに冷たいダリアだけど、これは彼女なりの照れ隠しな気もする。



「ガーン!!」



 露骨に落ち込んだ表情を見せるおじさん。リアクションが良いから見ていて飽きない。



 とはいえ、僕はまだおじさんを信用したわけじゃない。

 歩く時は基本的に先頭を歩いて貰う予定だし、いつでもダリアを守れるように警戒はしておくつもりだ。



 僕の勘違いでダリアとは何の縁も無いのなら殺そうと思ったんだけど。

 話を聞いてると数年の間、一緒に住んでたみたいだし。



「じゃあ、おじさんのせいで起こされて眠いし、僕たちはもう一回寝るから」



「確かに私もおじさんのせいで眠いです」



「お前ら酷くない、俺だって眠いよ」



 まぁ、全員が深夜に活動してたわけだから眠くもなるよね。



「じゃあ、おじさんは僕たちのテントには近づかないでね」



「邪険にされておじさんは悲しいよ」



「じゃあ、お休み」

「お疲様れです」



「無視ですか!」











・・・





 深夜に寝たのもあって次の日に起きたのは昼過ぎだった。



 僕が起きると美味しそうな匂いが漂っていた。どうやら今日のお昼ご飯はサンドイッチとオムレツみたいだ。



「うん? 何か良い匂いがするな?」



 僕と同じように昼食の良い匂いに釣られておじさんがやってきた。



「あ、サンドイッチにオムレツだ! ちょっと前まではよく作ってもらってたなぁ」



 懐かしそうな表情で物欲しそうに料理を見つめている。



「え? おじさんの分はありませんよ」



 そんなおじさんに「え、何言ってんの?」と言った表情をして対応するダリア。



「え!! マジかよ……」



 ダリアの手料理が食べれないと知ってショックを受けるおじさん。



 でも僕は知っている。ダリアがおじさんの分をちゃんと作っていることを。



「冗談ですよ」



 本気でガッカリした様子を見たダリアが少し気まずそうにおじさんの分も作っている事を告げる。



「ダリア! ありがとう!」



 やっぱり3年間も一緒に暮らしていただけあって、仲は良いのかな。



 ちなみに、ダリアが作ったサンドイッチは綺麗に具材が挟んであって美味しかった。

 バター風味のオムレツも中がトロトロで絶品だった。



  食事を終えた後は少し休憩してから、村を目指して歩く。



 何だかんだで、日が暮れる前には村に着くことが出来た。



 村には門番が居たが、ギルドカードを見せたらすんなり入ることが出来た。

 異世界の村には初めて入ったけど、畑や牧場なんかがあって新鮮だった。



「いらっしゃい!」



 取り敢えず村に来て最初は宿を取ることにした。折角、村に着いたのに野宿は嫌だからね。

 


「2部屋と一人部屋ひとつで一泊お願いします」



 僕が何か言う前にダリアがおばちゃんに言って部屋を取ってくれる。



「はいよ! 2人部屋は銀貨7枚、1人部屋は銀貨4枚だよ」



「はい、ではそれでお願いします」



 取り敢えずこれで、今日の宿に困る事は無くなった。



「え、俺こいつと一緒の部屋とか嫌なんだけど」



 おじさんがすごく嫌そうな表情で言うが、そんなのは僕だって嫌だから安心してほしい。



 それに2人部屋を使うのは、多分僕とおじさんの2人ではない。



「違いますよ、私とレン様が2人部屋です。なので邪魔者は早く行ってください」



「え!? 聞かないでおこうと思ってたけど、お前たちってデキてるの!?」



 それは僕が聞きたい。

 交際はしてないけど何か良い感じではあると思う。



「さ、こんなおじさんは置いといて行きましょうレン様」



 少し照れた様子のダリアが僕の手を取り早歩きで部屋に向かう。



「うん」



「ちょ! ダリアちゃーん! お父さん何も聞いてないよー!」



 なおも諦めきれないおじさんが叫ぶ。



「キモ」



「グハッ!!」



 ダリアに蔑んだ目でキモと言われたおじさんはその場に倒れ込んだ。










・・・





 彼女に引っ張られて指定された部屋にたどり着いた。



 取り敢えず僕は椅子に座ったんだけど、ダリアは立ったまま窓の方を見ている。



 何か気まずい。



 それから少し時間が経って、意を決したように彼女は口を開いた。



「あの、レン様に私の話を聞いてほしいです」


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