添い寝と闇ギルド
「うん、美味しい!」
「レン様のお口に合ったのなら良かったです」
僕たちを追いかけてきた漆黒の勇者一行を倒した後、途中で出てくるゴブリンやワイルドボアなんかのモンスターを倒しながら道を進んでいたのだが、日が暮れて視界が悪くなってきた。
なので今日はこの場所で野宿をする。そして、今の僕はダリアが作ってくれた料理を堪能している最中だ。
彼女が作ってくれたのはシチュー。料理が完成する前から美味しそうな匂いがして空腹を刺激する。
しっかりと煮込まれた野菜や肉が美味しく、食べていて安心感を感じる家庭的な味わいだ。
「本当に美味しかった。料理を作ってくれてありがとうダリア!」
こんな場所で美味しい料理を作ってくれた彼女にしっかりと感謝の気持ちを言う。
「いえ、喜んで頂けて嬉しいです」
そう言って、ふんわりと笑った彼女はとても可愛くて、少しだけドキッとした。
「じゃあ、そろそろ寝よっか」
「はい、レン様」
しっかりとテントも2つ購入してあるので色々と問題は無い。
「じゃあ、テント出すね」
「レン様」
テントをアイテムボックスの中から取り出していると、ダリアが話しかけてきた。
「ん? どうしたの?」
何かやりたい事でもあるんだろうか?
「私はレン様と一緒のテントが良いです」
「え?」
……それだとわざわざテントを買った意味が無くなるのでは?
というか、そんなご褒美を貰っていいんですか神様?
「ダメですか?」
いきなりの事に動揺していると、断られると思ったのかダリアが懇願するような表情をしながら上目遣いで見つめてくる。
そのビジュアルと仕草でお願いされると可愛いすぎて断れない。
何かこんな感じのパターンで僕が許可をするという事が、つい最近もあったような気がする。
「だ、駄目じゃ無いです」
というか、逆にダリアは本当に僕と同じテントで良いんですか?
「それでは、テントは1つということで」
彼女が嬉しそうに微笑みながら言う。
「はい」
テントの準備が終わるとダリアはスタスタと中に入っていく。
僕も覚悟を決めて中に入った。そして、ダリアがいる方向とは反対に背を向けて横になる。
ちなみに、僕がテント一帯に強力な結界を張っているから見張りは必要ない。
実は女性経験のない僕は女の子と同じ部屋で寝たことがない。
ましてや、夜中に野外で2人きりなんてなかなかに痺れるシチュエーションだ。
そんな、くだらない事を考えていたら10分ほど時間が経っていた。
気がつくと僕の背中にはとても柔らかい2つの果実が押しつけられている。
ダリアは着痩せするタイプで、見た目以上に立派な物を2つ持っている。
そして、僕は現在進行形で後ろからダリアに抱きつかれているのだ。
当たり前だが密着している事で背中に柔らかい2つの果実の感触を感じる。
とてもドキドキして心臓の鼓動が速くなっていくのが自分でも分かる。
「あの、ダリア?」
とりあえず、状況を変えるために彼女に話しかけてみる。
「スゥー…… レン様」
寝てる?
何この生殺しみたいな状況。寝息が聞こえるんだけど、ダリアは本当に寝てるの?
だとしたら無防備過ぎだと思うんだけど。僕だって男だよ。
まぁ、その分信頼されてるって事だろう。やっぱりダリアは僕のこと好きなんじゃないかな?
とにかくこのままだと色々とヤバいし、全然寝れないからステータスでも確認にしよう。
ワイバーンと漆黒の勇者4人を倒しているからレベルはそこそこ上がっているはずだ。
漆黒の勇者のレベルも確か60前後だったから、かなりのレベルアップが期待できるだろう。
ステータス
[ 名前 ] 佐藤 蓮
[ レベル ] 65
[ 体力 ] 920
[ 魔力 ] 880
[ 攻撃 ] 650
[ 防御 ] 620
[ 魔攻 ] 700
[ 魔防 ] 550
[ 素早さ ] 850
[ スキル ] 写真家
写真家
・ 勇者
・ 聖女
・ 賢者
・ 結界師
・ 鑑定士
・ 成長
予想通りレベルは上がっていた。
やはりワイバーンや漆黒の勇者一行のレベルは僕より上だったから、一気に経験値が手に入ってレベルが43も上がったんだろう。
あと、パーティー結成を記念してダリアと写真を撮ったから、経験値2倍のスキルを手に入れる事が出来たのも大きい。
その時に、僕のスキルや異世界に来た経緯なんかを話そうか悩んだけど、まだ早いかなと思った。
正直に言えば、僕はダリアにかなり絆されちゃっている。これがハニートラップだったら確実に騙されるだろう。
それでも、さすがに出会って間もないのに信用しすぎるのは違うかなと思い僕の事は話さなかった。
人間をたいして信用せずに、上っ面だけのコミュニケーションを取っていた18年に背く気がしたというのもある。
とはいえ、これから長い付き合いになるかもしれないダリアから何も言わずにスキルをコピーした事に対しては罪悪感もある。
だからこそ、騙されても自分にダメージが出ないぐらい強くなりたい。
そうすれば、騙されても返り討ちに出来るから、こういう時に打ち明けやすくなる。
まぁ、ダリアにも厄介な秘密があるらしいし、お互い様ということで。
ドン!
うん?
結界に何がぶつかった音がした。
どうせ眠れないんだから確認しに行くことにする。
テントを出るとおじさんが結界に蹴りを入れていた。
「おいおい、思ったより硬いな」
「いや、おじさんが弱いんじゃない?」
「いや、これでもおじさんは強いんだよ! って誰がおじさんだ! 俺はまだピチピチの26歳だ!」
「な! あなたは!」
おじさんが出した大きい声で起きたのか、後ろからダリアの驚いた声が聞こえる。
「ダリアはあのおじさん知ってるの?」
「はい、あの人は……」
「誰でしたっけ?? その辺に生えている中年じゃないでしょうかレン様?」
どうやら彼女にもおじさんが誰か分からないようだ。
「いや! 違うじゃんダリアちゃん!」
「向こうは知ってるみたいだよ。あ、もしかしてストーカーとか?」
ダリアぐらいの美少女ならおじさんみたいなストーカーが居てもおかしくは無い。
「はい、そうなんです。私情に付き合わせて申し訳ありません」
「いや、そう言われると確かに否定出来ないとこもあるけど!」
「面白いおじさんだね」
「はい、打てば響くという感じです」
「本当のところは知り合いなの?」
「はい、私を狙っている闇ギルドの幹部です」
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、広告下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を押して応援してくれると嬉しいです!
していただいたら作者のモチベーションも上がり、とても喜びます!
宜しければお願いします!




