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第45話 ー お茶を作りましょう!

 キッチンテーブルに布をいっぱいに広げ、持ち帰ったバルサミントをザッと広げる。茎をひとつ摘んで匂いを嗅いでみると、確かにミントのいい香りがした。

 シルフィードは不思議そうな顔で、広げたバルサミントの上をゆっくり旋回しながら見ている。


「エイミー様。これを一体どうなさるつもりですか?」

「えっとね……、これをお茶にしてみようかと思います!」

「お茶、ですか? ……なるほど、ダフィー様の件ですね」

「その通り」


 そういえばなぜこの世界の人は、これをお茶にしようと考えなかったのか不思議に思った。あまりの繁殖力の旺盛さに、そこまで考えが及ばなかったのかな?

 いや、この世界はお世辞にも教育レベルがアレだから、まさかこんな雑草が一手間かけるだけで、美味しい茶葉になることすらわからないんだろう。まぁ、これもきっと『設定』なんだろうね。


 前世ではミントといえば、お茶をはじめとして例えば料理やお菓子に使ったり、化粧品にも使われたりしていたようだけど、一方では『ミントテロ』と言われるくらいに繁殖力旺盛で、地植えは禁物、とか言われている植物。これが成功すれば有効活用もできるし、ダフィーも喜んでくれるかも。いずれはお菓子とかも提案してみようかな。


 でも、今回はお茶を作れるかの検証なので、まずは一掴みのバルサミントを水洗いする。で、このあとはシルフィード次第なのだけど……。


「あのねシルフィー。あなたに頼みたいのはね、今これって刈ったままじゃない? これをチャクラムで葉っぱと茎を切り分ける――」

「こんな感じでしょうか」


 言い終わる前に全部綺麗に切り分けられてる……。チャクラムまったく見えないし。バルサミントもわずかに動くだけで一切飛び散らないし、一体どうなってるんだろう。


「えぇ、そ、そうね。そんな感じでいいよ。それでね、私、チャクラムがまったく見えないんだけど、速度ってどのくらいで飛ばしてるの?」

「今のは時速でいうと500km程度でしょうか」

「す、すごいわね。でもこの量だから一瞬かもしれないけど、これだけの量――」

「こんな感じでしょうか」


 ……もう開いた口が塞がらないよ。一瞬じゃないこれ。テーブル一面に広げたバルサミントが全部見事に茎と葉に切り分けられていて、しかも茎だけご丁寧に袋に戻してるし。茎は不要ってわかってるんだ。

 あぁそうか、私の思考と記憶を読んでるんだものね。そりゃあわかるか。


「え、えぇ大丈夫、完璧だよ。でもさ、最後まで言わせてよ!」

「なぜでしょう? この方がはやいかと思ったのですが」

「私だってビシッと言ってドヤ顔したいのよね」

「ドヤ顔……。なるほど、つまり『どうだどうだ私ってすごいでしょ私できる娘なんだからね! バカじゃないの? とか言わないでくれる? バカって言う方がバカなのよバーカバーカ』という顔をしたいということでしょうか?」

「そこまで言ってないから」


 一体この娘、どこまで私の記憶を読み取っているんだか……。


―――――――――――――――――


 とまぁそれはさて置き、問題は乾燥なのだけど、どのくらい乾燥させればいいのかなぁ。いくつかに分けて実験するしかないかな。

 テーブルの上に残ったバルサミントの葉をザルに移して、丁寧に水洗いをしてから再びテーブルの上に、なるべく葉が重ならないよう広げる。

 さて、どこで乾燥させようかと思案していると、


「エイミー様。それであれば私にお任せしていただければよろしいかと」

「ん? だってシルフィーって風を……あ」


 なるほどね、シルフィードは『エアコン』だもんね。『エアコン』といえば、そう、『ドライモード』だよね!


「じゃあ、今回は乾燥スピードを三つに分けてみようか。はやい・普通・ゆっくり、くらいの感じで。シルフィー、それでいける?」

「了解しました。では今日はもう遅いので、エイミー様は先にお休みください」

「そう? ごめんね、任せちゃって」

「いえ、夜更かしは美容の敵なのですよね? 私のことならお気になさらずにお休みください」

「ありがとう。じゃあ先に寝るね、おやすみシルフィー」

「おやすみなさいませ、エイミー様」


 ほんとできる娘よねシルフィーって。だって乾燥作業をキッチンで進行しながら、私が快適に眠れるように寝室も冷房維持してるんだから。

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