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第21話 ー これが私の週間スケです

「ふふ、元気だね|あの子(教え子)たち……」


 穏やかな土の日のお昼過ぎ。

 教室の窓際の席に座って、庭の木々の葉が風にはたはたと揺れる様を眺めながらひと時の休息を取る。仕事(授業)の後のコーヒーは格別だね。


 この部屋は、初めから教室として使われていた(設定されていた)部屋で、五人掛けの長机が三列あり、一番前には小さな教壇、その背後には黒板が備え付けてある。小さめの塾といった趣だ。ちなみに机などの備品をはじめ、この家の家具はすべて、『家具職人のトムさん(お父さん)』のお手製なのだとミームが自慢げに教えてくれた。


 トムさんには何度かお会いしたけど、如何にも頑固職人な風体とは裏腹に、非常に穏やかな人柄で、会うたびに「家具にガタはきてないか」などと、何かと目をかけてくれる。けど、トムさんの家具、ガタどころか歪みや建てつけなど不具合ゼロで、すべて完璧なんですけどね。シンプルだけど飽きのこないデザインで素敵だと思う。


 ところで、この世界に来てあっという間に三週間ほど経った。その間、私は何をしていたかというと、魔導詩の検証に昼夜関係なく没頭していた……と言いたいところなのだけど、実際は何一つできていなかった。想像以上に私エイミー・ライトウェルは忙しいということを思い知った、そんな三週間だった。


・月の日:午前中に二時間子供達に授業 午後は授業に使う教材作り

・火の日:村・街周辺の地理の把握 村人とのコミュニケーション

・水の日;午前中に二時間子供達に授業 午後に村の大人たちへの算数の授業

・木の日:街の図書館に行って閉館まで読書(文章がアレだから辛い)

・金の日:お昼に白狼亭でカレー&ダフィーとお喋り 午後は街の散策

・土の日:午前中に二時間子供達に授業 午後は来週の授業内容の組み立て

・日の日:疲れてぐったり 何もしないでのんびりと過ごす


 以上が一週間のスケジュールなのだけど。


 この世界、こういった曜日とか時間、そういったものがほぼ元いた世界と一緒なのには驚いた。しかもまだ体験はしていないけど、季節感もほぼ同じのようだ。

 つまり、ざっくりいうと自分という人物以外には違和感がなく快適なのだ。とはいえ肝心の自分という存在が違和感そのものなのだから、そこだけは慣れるまで苦労した。

 特に『村人とのコミュニケーション』は正直辛かった。生来の人見知りが常時発動してしまううえに、村人たちにとって私は『二ヶ月前から住み着いた人間』なのだから、ボロを出さないようにしながらコミュニケーションをとることが、心身ともに重度の疲労を課してくる。でも、最近ではそれもすっかり慣れて、今や立派な村民と言っていいレベルになったと思う。


 こんな多忙な私だけど、金の日のカレーだけは譲れない大事なことなので! ちなみに白狼亭の可愛い子ちゃんのフルネームはダフィー・コロネル。聞けば私と同い年ということもあって、それからはすっかり打ち解けて、今では貴重な友人の一人なのだ。

 店のわずかな休憩時間に街の散策に付き合ってくれることもあり、ダフィーにはとても感謝してる。だって優しいし可愛いし。


 忙しい毎日だけど、人というのはよくできたもので、そういった状況でも体が付いてくるようになるのだ。うまいこと『いい意味で手抜き』もできるようになる。つまりは『ココロの余裕』ができつつある、ということなのだろう。


(そろそろ魔導詩にも手を付けなきゃ、ね)


 二杯目のコーヒーを飲みながらそんなことを考える。


 よし、来週の授業プランは明日に回して、今日こそ魔導詩検証、始めてみましょうか。

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