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第11話 ー いざ白狼亭へ

「おおぉ、まさに異世界じゃない!?」


 どこを眺めてもいちいち驚いてしまう。端から見たら分かりやすいほどのおのぼりさんだ。

 この街のメインストリートであろう、『露天街』と呼ばれるこの大通りには、たくさんの露店が立ち並び、売り子とお客さんの値引き交渉の声や、客引きの声があちらこちらから聞こえてくる。前世ではほぼ家に篭って黙々と仕事をしていた私にとって、この景色は新鮮なものと改めて思わされる。


 でもなにか違うな、なにか違和感がある。なんだろうと顎に人差し指を添えて考えてみると……


「あ、そうか。『人間』しかいないんだ」


 異世界といえば、だいたい人間以外の種族――エルフとかドワーフとか獣人とか――がいたりするものだけど、そういった他種族は今のところ目に入らない。

 これもいずれ……。なんか色々と先送りしてるよね。来たばかりだから仕方ないんだけど。で、そんなことを考えていると、お腹の虫がぐぅっと呼んでいる。


「……まずは、食文化かな?」


 この街、というかこの世界を知るにはまず食文化でしょ?

 再びステボ(と、呼ぶことにした)をトントンとこめかみを叩いて呼び出し、食堂を探してみる。


「食堂は三軒、と……。あ、ここなんかいいかも?」


 私が興味を惹かれたのは『白狼亭』と記された食堂。理由は単純に名前だ。なんか異世界っぽいしかっこよくない?(中二病的に)


 店名をさらにタップすると詳細が表示される。


『手頃な価格で良質な食事を提供する庶民の懐に優しい食堂。店主の作る様々な料理には、母の愛情すら感じる者もいる。評価★★』


 ……随分と私情の入った紹介文だけど、これって一体誰が書いているんだろう。しかも星★★というのも気になるね。何段階の星★★?


 ここであることに気づく。


「私、お金ないんじゃない?」


 あっ、と気づいてステボをささっと操作すると。


 やっぱりありましたお金アイコン。そうだよね、さすがにお金は存在してるよね。さてさてと所持金をみると、150,000ガルと書かれている。この世界の通貨はガルっていうんだね。で、150,000ガルってどのくらいの価値になるんだろうか?

 前世では海外旅行のガイドブックなんかを見ると、おおよその通貨価値がわかるのだけど、そんなものがこの世界にあるのかわからない。だから。


「まー、とりあえず行ってみましょうか?」


 少し胸を張って白狼亭に行ってみることにした。

 もちろん通貨価値を調査するためだけなんだからねっ! めっちゃお腹空いてるからじゃないんだから! ……すいません嘘です空腹で今にも倒れそうです。

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