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世界を救うオタクの話

作者: 零河

あらすじの情報が少ない、だって?

読んだら分かるよ。

 この星には一つの生命、則ち人類と呼ばれる種族しか生きていないらしい。

 その情報を得た際の彼の反応は、勝ち誇ったような物だった。


 彼、という言葉が指すのはこの空間――宇宙船に於いて一人しか居ない。或いは一人という表現方法が正しいのかさえ疑うべきだ。何故ならここは宇宙船、であれば彼という言葉が指しているのは正しく宇宙人なのだから。


 ただしその表現——宇宙人という呼び方もここでは改める必要があるだろう。何せ宇宙に住んでいる人というジャンル分けをするならば、人間も等しく宇宙人である為だ。


 彼の種を現すならば――ギャラクシアス・クラフト・マリトッツォ星人である!!

 そして彼という個体を現すとすれば、マリトッツォ・タナカであった。


 そんなギャラクシアス・クラフト・マリトッツォ星人のマリトッツォ・タナカは一人ほくそ笑む。「こんな星一つを侵略する程度、赤子の手を捻るより簡単だ」と……。

 しかし彼にも一つだけ憂慮すべき点があった。則ち彼等ギャラクシアス・クラフト・マリトッツォ星人に於けるアドバンテージにしてディスアドバンテージでもある()()()()()()()


 この能力は相手の思考を読む事で一時の対応から対局を見極めるまで、幅広く応用が効く(ワザ)であった。だが同時に制御が効かないという欠点も抱えている。

 例えば大勢の人物が多種多様な事柄を思案しているとしよう、そこへギャラクシアス・クラフト・マリトッツォ星人を放り込んだとあらば、様々な意識の混濁によって脳内は汚染され、僅か一秒程で死に至るのだ。


 故に彼は、知的生命体が一つしか存在しない地球という惑星を嘲っていた。

 種の違いとは思想の違いに直結しており、逆に同じ種は似通った思考回路を持っている。というのが彼、マリトッツォ・タナカの持つ一般的な認識であった。


 しかしながら、彼の故郷でも普段から皆同じ思考を続けている訳ではない。普段は「アッポポの実は美味しいなぁ」とか「ギューギューニクはジューシーだなぁ」とか「レモネードは地中で生成されている筈だ」といった事柄を考えている。


 だが、大きな思考とでも呼ぶべき――例えば彼等の故郷での王たる「プレジデソト」を決める際には、大体が9:1程の比率に別れる。因みに前者がプレジデソトに選ばれる人物への票で、後者がその他という大きな括りであった。

 因みに彼等の星には他の知的生命体も住んでいるので9:1の9に選ばれた人物でも、必ずプレジデソトになれるかと言われればそれも違う。


 なので大きな事柄――例えば本能的な思考に陥らせる事が出来たならば、その一瞬を突いて付近の人類を皆殺し、更にはそこを拠点として数日と掛からずに地球全土をギャラクシアス・クラフト・マリトッツォ星人の支配下に置ける筈だ。


 では思考誘導に最も適しているアクションは何か――。


 恐怖である。


 そして、


『ドォォォォオオオオオオンッ!!!』


 という轟音が響くと同時、宇宙船(円盤)から発射された何か凄そうなビームのようなアレが、日本の秋葉原にあったそこそこ高いマンションを貫通した。マンションが崩れ始め、人々の思考は統一される「何が起こった、怖い、恐ろしい、助けてくれ」個人差はあろうとも皆一様に恐怖し始める。


 マリトッツォ・タナカは勝ち誇る。


「テュフフフフ、これでここら一帯はアタクシの……アタクシ達の物ですねぇ!」


 今聞こえた声がマリトッツォ・タナカの声である。

 彼は地球人――主に秋葉原に居た人物の一部を参考にして、胸部に居乳のメイドを描いたシャツを着た。そして含み笑いを湛えて――いざ、地球に降り立つのだ!!


 因みに今までは、宇宙船の宇宙的な化学のようなアレで生み出された謎素材の効果によって人類からの意識を上手い具合にシャットアウトしていたので雑念が入り込んで来る事は無かった。



 ――そこで一人、二人と人類が立ち上がる。


 我こそは秋葉原の、地球の救世主だと言わんばかりに立ち上がり、異世界より持ち帰った聖剣を掲げ、または召喚獣を呼び出し、または冒険の最中に出会った仲間と共に未知なる存在へ立ち向かわんという者達が居た!!


 聖剣を掲げた帰還勇者の田中氏、召喚獣のグリフォンを乗りこなす異界の召喚士サモナー鈴木氏、ロッドの先端に溶鉱炉を思わせる高温の炎を灯した賢者マスターメイガスの佐藤氏、超文明の遺産を掘り起こした探索者シーカーの高橋氏、マジックガンナーとして異世界で名を馳せた伊藤氏、幼馴染の手を握り締めて絶望の運命に抗う刻の魔術師(ルーパー)の小林氏(御年三十二歳)、短剣を構えて敵を睥睨する渡辺氏!


 並び立つケビン、ギルサンダー、テルム、アストリア、リーシャ、ピルナ、ケビン、ミシュマン、ランドール、ビアンナ、リル、ケビン、ケーキオイシイネー、ケビン、ケビン、ケビン!


 彼等は仲間と共に敵へと立ち向かう……ッ!!



 という妄想を繰り広げた者がざっと三千人程居たらしい。


 この地球という星はマリトッツォ・タナカからしても人口だけは多かったらしく、ついでにここまで思想の分岐が激しいとも思わなかったらしく、まさかこの状況で痛い妄想を繰り広げる十代から四十代がこんなに居るとも思わなかったらしく――



「ぐぁぁぁあああああああああ」



 マリトッツォ・タナカは頭を抱えるy「あああああああああああああああ」


 抱えるようにして吠えt「ああああああああああああああああああああああ」


 吠えていた「あああああああああああああああああああああああああああ」


 こうして人類はギャラクシアス・クラフト・マリトッツォ星人のマリトッツォ・タナカの脳へと思考を滑り込ませ、そして脳を焼き切るという快挙を果たs「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 彼等は人知れず英雄となった……。


 そして、彼等(地球人)恐怖(逸話)は地球以外の星々で語り継がれる事となる。

 地球以外では、今や彼等OTAKUという生き物は一種の伝説と化しており、夜に眠ろうとしない子供には「早く寝ないと地球人(オタク)に脳を焼き切られますよ」と親から脅される事になったのだとk「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



 うるさぁぁあああああああああああああああいッ!!!!!

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