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プロローグ


 ここではないどこか、今ではないいつか。

 神と魔と人とが共存する世界──パラダイア。


 七つの地域に分かれるこの世界の一角をなす、森と山と平原の地ロンダルギア。

 人の支配する平原と相対するように存在する森と山の領域には、魔王が住まう。


 グレンデル・アークライト・ロンダルギア。

 この地を治める当代の魔王。魔なる者たちの絶対の支配者にして魔城の主。

 彼の者の威容の前には、あらゆる魔族がこうべを垂れるという。


 魔王には8人の妻と、10人の子供がいた。

 魔に連なる様々な種族から選りすぐられた妻たちと、(くな)いで出来た愛し子たち。

 いずれも見目麗しく、才気に溢れた者たちである。


 だが、それだけの才能が集まれば、当然の如く始まることがある。

 それは魔王の、跡目争い。


 いずれ優れた子らなれば、妻たちは己の子こそ最もふさわしいと謳う。

 なれば、ただの年功序列で済ませるなどという無粋は許されない。


 そうして今代の魔王もまた、古きしきたりにのっとり子らに告げる。

 次代の魔王にふさわしき者を決める伝統の儀式。


 すなわち、ダンジョンメイクをせよ、と──!!


「もちろんじゃ、パパ様!!」


 今、新たに跡目争いへと飛び込む少女が一人。

 身長140cmにちょっと届かない、白い素肌の色々とぷにぷにしている体躯。

 この場に立つ誰を映しても揺らぐことなく澄み切った、青い色の瞳。

 ツーサイドアップに整えられた、腰まで伸びた長い金髪。

 側頭部から生える立派な一対の巻き角は、彼女が只人ならざる者だと示して。


「フフンッ!」


 強気な物言いにあわせて揺れる、出し入れ自在の蝙蝠羽と、その根元、臀部から伸びる先端ハートの魔の尻尾。

 セクシーさ全振りの露出過多、ほぼ下着のような衣服をまとう、彼女こそ。


「わらわこそ、パパ様をぶちのめし次代の魔王となるべき存在!」


 魔王グレンデル第七夫人オクトリア・デモニカ・ロンダルギアの二番目の娘。

 10人の子らの末の末、最も愛されし魔族の姫(デモンプリンセス)


「姉上にも兄上にも、すぐに追いつき置き去りにしてくれるわ!」 


 ミラアリス・デモニカ・ロンダルギア。

 最も遅き、そして最も新しき王位への挑戦者である。


「よいか? パパ様! ママ様方! そして姉上、兄上! あと有象無象ども!」


 彼女の成人を祝う場で、ミラアリスは居並ぶ家族、魔王の配下へ向かい宣言する。


「次の魔王はこのわらわ、ミラアリス・デモニカ・ロンダルギアが絶対なってやるから、そのつもりでおるのじゃぞっ!」


 無理無茶無謀。

 傲慢にもほどがあるその誓いを、誰もが笑う。


 ある者はできるものかと言い返し、またある者は無理はするなとたしなめる。

 年近きライバルは不快さを隠さず、先駆者は遅すぎる始まりに憐憫の視線を送る。


 彼女の言葉をまじめに受け止めたのは、彼女の腹心であるエルフの秘書と──


「……その意気やよし!」


 彼女の父、偉大なる魔王グレンデルその人だった。


「我が娘ミラアリスよ。お前の奮闘、しかと見届けさせてもらおう」

「うむうむ。楽しみにしておるがよいぞ! パパ様!!」


 敬し、いずれ乗り越えるべき父からの激励を受け、ミラアリスは気炎を上げる。

 対して観衆は、魔王から彼女へと注がれる確かな期待を感じ取り、言葉を失った。


「わらわは、成し遂げてみせる!」


 そう、これは彼女の物語である。


 魔王の末娘、末妹たるミラアリス・デモニカ・ロンダルギア。

 彼女が魔王を目指し、ダンジョンを作り、育み、争い、勝たんとする物語。


 つまり。


 ロリっ娘魔族があーだこーだしながらなんかいい感じに頑張るおはなしである!



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