風邪の勇者の病み上がり
「へーっくしょん!」
僕は町のクリニックに受診をしにやってきていた。
僕、草山蛍雪は大学一年生だ。人よりも多少病弱であるという自覚はある。
僕は待合室の本棚に目を通していた。
「四百四病書?」
なにやら縁起でもないタイトルの本に目が留まった。
僕はロビーチェアに腰を下ろして四百四病書を開いて読む。
パラ……パラ……。
医学書かな?
要約すると人がかかる病気はすべて合わせると404種類あるというもの。
病を逃れる為、人々は異世界から勇者を呼んで助けを乞うた、ってあれ?どういうこと?
……う~ん、医学書のような気がしたけどファンタジー小説だったのかもしれない。
そして召喚された404人の……多いな、勇者はそれぞれ病気持ちだった。
がん、糖尿病、高血圧、循環器疾患、動脈硬化、脂質異常症などなど……そして風邪。
いや~重大疾病の中に風邪って。
などと朦朧としながら続きを読み飛ばしていく。
勇者たちは病を治すため床に伏せ、自己免疫を高め、再発に備える。
「ふぇっくしゅん!」
あかん、悪寒がする。
大往生のがんの勇者とか、腹が重い糖尿病の勇者とかね。
高血圧の勇者は頭痛に悩まされているなあ。
お?風邪の勇者の方へ物語がシフトして――
「草山さん、草山蛍雪さん。1番の診察室にお入りください。」
そう聞いたのを最後に、僕の意識はスーっと遠くなっていった。
まさか、風邪で入院するとは夢にも思いはしなかった。
反省しています