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#99 白く光り輝く石のように

馴染みある部屋という風景のなかで、ピンクのマグカップに入った白湯を飲み、真ん丸の林檎にかぶり付いて出来た、ガタガタしたクリーム色の空白を眺めた。


気が付けばスマホをいじり、画面上のきれいな歯並びをしているあなたの姿を、隅から隅まで満遍なく眺める生活が続いている。


LOVEという、美しさ溢れる曲をイヤホンで耳に繋ぎ、音の観点からジワジワと耳を癒すことを決めて、それをすぐに実行した。


すぐに玄関チャイムに呼ばれ、手をついた斑な黄土色のテーブルには、紛れてしまい肉眼では認識できないくらい、細かいお菓子の破片のようなものがあり、それが指や手のひらをザラつかせた。


玄関に向かうと、玄関ドアのガラス部分から外の植物の楕円のようなものの連なりが輝きを放ち、その影たちがさざ波のように揺れていた。


靴のかかとを軽く踏み、摺り足で近寄りドアを開けると、美しく整っている白石さんの姿がそこにはあり、神々しさに満ちていた。


五感情報から背くことなく、全てのものを全身で浴びたあの日の余韻が、まだ根強く残っている身体が、また暖かさを増す。


白石さんは、玲音のことで話があるという旨を私に伝えてきて、私は急な階段を足を目一杯に動かして登り、白石さんを部屋へと導き、招き入れた。


「玲音くんのことで、話したいことが沢山ありまして」


「はい。あの、今の玲音はどんな感じですか?」


「だいぶ、落ち着いていると思います。特に変わった様子はありません」


「そうですか」


「菜穂さん。玲音くんとは毎日連絡取ったり、してますか?」


「はい。メールはいつもしていて、頻繁に会ってますよ」


「そうですか。よかったです。最近は菜穂さんのことをあまり話してくれないんです」


「前は話してくれていたんですか?」


「はい。でも、最近はたまに暗さが目立つときもありまして。少し前には、菜穂さんへの感謝や愛を、色々と語ってくれたこともあったんですけど」


「心配ですけど、それは嬉しいですね」


「やっぱり菜穂さんと玲音くんは合っているんだと思います。ずっと支えてあげてください」


「はい。ありがとうございます」


父以外で、気が許せて何でも喋れる人は、あなたが初めてかもしれないけど、かもしれないとか、だろうという言葉を何回も使ってしまっている私はまだ、あなたに対して何も定まっていないと言い切ることが出来る。


机の上に、キャップが取れてそのままになっているペットボトルのミックスジュースがあり、そこから甘い香りがふわふわと流れ来る。


白石さんが床にピンと座り佇むなか、私は歌唱不能の喉に擦らせるように、ミックスジュースのドロドロを勢いよく入れ込んだ。


部屋の中でも、暗い部分と明るい部分がハッキリとした色として出ていて、まさにあなたのような性質のある部屋だと感じた。


帰ることを伝えてきた白石さんを送るために玄関まで付いていくと、再びチャイムが鳴り、白石さんが開けたドアの隙間からは、あなたの寂しそうな姿がポツリと見えた。


あなたが目の前にいるだけで、パッと意識の全てが呑み込まれていき、あなたのために身体を動かしているような、そんな感覚になれた。


身体はまだまだ燃える余地を残していて、顔から次第に火が着いてゆくのが、皮膚の感覚からしっかりと分かった。


室内のドアのガラスに映る私のツインテール、目立たない場所にあるあなたの雰囲気に似た時計などが目に入り、高まったあなたへの気持ちをぶりっこウインクであなたに伝えた。


あなたの手を引っ張り、部屋に連れてくる間のあなたのまばたきは、瞼を閉じている時間が、前に比べて短いと感じた。


私は匂わせたり遠回しに伝えることが出来ず、ストレートにしか伝えられない性格だということを、階段の途中、突然のハグであなたに全身で伝えた。


遠くを走る電車が、コクリコクリという地響きをたてて、一定のリズムをこちらに押し付けてきて、それをあなたの鼓動と重ねて、心でギュッと抱き締めた。

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