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もふもふ

盗み食いダイエット

作者: 山目 広介

 ある日の事。ちょっと太り過ぎだと言われて食事が制限されてしまった。

 今までは自由に食べてお替りをねだれば追加を貰えた日々。

 食事のあとのデザートにおやつも当然ガツガツ出来た。

 それをいきなり制限するなんて耐えられるわけがない。

 お替りが出来ない食事にデザートのない食事。果てはおやつの時間までが無くなっている。

 お腹は抗議の声明を高らかに発し、必死のアピールをしている。なのに無情の「ダメ」の一言。

 この悲痛な叫びが聞こえないかのように無視してくれる。

 このままでは私は飢えてしまう。この飢餓感は知らないものには分からない苦しみ。

 秒針が刻む動きが一万を超えようとしたところで私の中の空腹と言う名の獣が咆哮を上げる。


 夜。皆が寝静まる静寂が支配する薄暗闇の中、私は足を動かす。

 抜き足、差し足、忍び足。


 ギシッ ミシッ バキッ


 ……

 床が腐っていたようだ。

 決して私の体重が支えられなかったわけでは断じてない。

 これが有名な耐震偽装とかなのだろう。若しくは手抜き工事というやつだったのだ。

 歩くたびにミシミシ言っているがこれは欠陥住宅だったため仕方がないのだ。


 そしてようやく物置の前に来た。

 隙間に手を伸ばす。爪で引っかけそっと押し広げる。




 ギギギィイイ バタンッ




 音を立てながら開ききって壁にぶつかってしまう……

 唖然としてしまう。これも欠陥住宅がすべて悪い。

 辺りの様子を窺うが誰もやってくる気配はない。

 そして目当ての袋を見つけて食いちぎって頭ごと袋に突っ込んだのだった。



 ◇ ◆ ◇


「こらっ」


 そう声を掛けると同時に背中を触る。

 すると面白いように跳び上がり、珍しく走って逃げて行くデブ猫。

 これはあの走らなかったデブ猫のダイエットにいいのでは!


 そして始まった盗み食いダイエット。


 早すぎてはダメだった。

 エサに喰いつく前だと足元に擦り寄って盗み食いなんてしてませんよアピールしてくる。


 寝静まるのを待ってむくりと起き上がるデブ猫。

 そこから毎回足音を立て捲って移動しているのがバレバレ。

 そして毎回袋に頭を突っ込み激しく食べ漁る。

 袋に頭を突っ込んでいるため、周りの音が聞こえず俺が近づいても気付かない。声を掛けても気付かず食べている。背中を触ると毎回ビックリして逃げ去るを繰り返す。

 とてもおバカな姿が可愛いと思う。


 しかしこれはダイエットになっているのだろうか?


 そう考えたのは盗み食いの量が思った以上に多いように思えるからだ。

 それに体重が増えているんですけど……!



※秒針が刻む動きが一万 : つまり3時間も超えていないという。

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― 新着の感想 ―
[一言] デブ猫って、背中にお盆を乗せて歩かせたくなります。 そのくらいのスペースをもってますよね。 もはや、ヒゲで自分の身の大きさを測れないんじゃないかしら? 隙間も通れない。それも欠陥住宅にされる…
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