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I'm not a hero.  作者: 星野紗奈
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罪な話

お久しぶりです、星野紗奈です(^^♪


新しいパソコンに変えたので改めてデータを整理していたところ、ちょうど二年ほど前に書いていたものが見つかったので、あえて当時のままここに投下しようと思います!

このシリーズの今までの作品とは違う点がいくつかあるのですが、主題にそった解釈ができるのでシリーズの一環として投稿することにしました。

闇の時期だったので(笑)明るい作品ではないですが、お楽しみいただければ幸いです!


それでは、どうぞ↓

 私は、罪人だ。今も昔も、変わらず罪を犯し続けている。もうどこにも逃げることができない、最低最悪の罪人だ。

 小学生の時、友達の大切にしていた車の形をした消しゴムを、私は何食わぬ顔で盗んだ。もう一人の私が、自然に、そういうことを起こさせたのだ。だから、そのあとはもちろん、私は罪悪感を抱えざるを得ない状況となった。それでもあの頃は、子供のいたずら心が勝ったのだろうか、懲りずに何度か規則に反したことをした。例えば、おやつがない遠足で飴を友達から受け取ったり、バレンタインに友達と交換したチョコレートをランドセルの裏に隠したり。お菓子に関わったことが多いあたり、やはり、幼稚だっただけだろうか。それなりに沢山の人が体験していそうなことではあるが、私の心に罪悪感というピースを埋め込むには十分だった。結果、それを打ち消すために、私は人と関わる技を手に入れた。所詮、道化師だ。先生と仲良くして、友達と仲良くして、近所のおばさんと仲良くして。そういう風にいい子のレッテルを貼りつけることで、私は罪悪感から目をそらし続けた。

 中学生になると、責任を負うことからも逃げ始めた。リーダーにはならないくせに、そういう役職に就いた人と仲良くして、意見をさりげなく反映させた。多数決で複数意見から一つを選ぶときは、わざと誰も投票しないようなところに手を挙げて、自分の票が決定打にならないようにした。小学生の時に手に入れた道化師という仮面は、当時の私にとって、必要不可欠なものとなっていた。逆に言えば、道化師であるもう一人の私がいれば、なんだってできる、そんな気さえした。

 しかし、高校にあがって、そのような感情は無くなった。というか、私のありとあらゆる感情が、既に薄れていた。それがわかった頃から、急に、道化師の存在が怖くなった。というのも、私と道化師との感情のずれをはっきりと感じるようになったからだ。具体的に言うと、友人と話している時に、もう一人の私が笑っているのだ。誰も違和感に気がつかないほど、ごく自然に。私は何も面白くないのに、道化師はそれをさも愉快そうに笑うのだ。

 それから私は、泣く回数が極端に減った。元々、私は根っからの負けず嫌いで、勝負事に負けると毎回泣いていた。その私が、ほとんど泣かなくなった。悲しいと思う時は必ず、もう一人の私が笑うのだ。まるで、私の真意を隠すかのように。もしくは、あなたは泣くべきではない、とでも言うかのように。泣けない、というのは想像以上に怖いものだ。時々、夢から目が覚めると、涙を流していることがあるのだが、そういう時はとんでもない虚無感に襲われて、大抵体を起こすことができない。どうして私は泣いているのか、本当に泣いているのは私なのだろうか、もしやこれは道化師によるただの演出かもしれない。そういう風にしか考えることができなくなって、また心苦しくなるから、結局二度寝をしてごまかすのだ。

 こんな生活をしているから、私は相手に真実を話すことができなくなった。つまり、嘘をつくようになったのだ。例えば、友だちと会話をしている時、私が隙を作れば、道化師はすぐに嘘を吐く。私にとって、嘘とは足枷だ。罪悪感と私を繋ぐ枷でしかないのだ。だから、もう一人の私が嘘をつくとき、今もなお、罪悪感が私の後をぴったりとついてきているというのを嫌でも理解する。

ここまで話しておいてこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、道化師であるもう一人の私は、決して悪い奴ではないのだ。彼女がいたから今の私がいるのは事実だし、彼女から学んだことも数え切れないほど多い。しかし、彼女がいては、私はきっと前に進めないのだ。前で述べた通り、彼女は嘘吐きだから、私に足枷をつける。人が生きるにはとても大きすぎる罪悪感を、私に背負わせている。そうさせてしまったのは、私に他ならないのだが、彼女を壊す以外の対処方法が私には思いつかない。だから時々、こうやって語り掛けるのだ。

「泣けよ、道化師」

 もう一人の私は、私の道化師で、仮面で、鎧なのだ。きっと、私を守ろうとしてくれただけなのだ。傷つくことを極端に恐れた私が犯した最も大きな罪は、彼女を生み出しいてしまったことだったのだ。それを知って、彼女は泣かないから笑っているのではなく、泣けないから笑っているのだとわかった。私が、そういう存在を求めてしまったのだ。私は、人と関わる事を諦め、責任の一切を放り出したいと言っておきながら、罪悪感から目をそむけきることができず、その罪を道化師である彼女に押し付けた。あなたがいなければ、あんなことはしなかったのに、何も始まらなかったのに、と。知らないうちに、私は道化師を身代わりにしていたのだ。私は昔から、何も変わっていない。

 私はこれから、前に述べたものより大きな罪を犯さなければならない。自ら生み出したものを、自らの手で破壊する。これほど矛盾して最低な行為が他にあろうか。彼女が泣けば、彼女が壊れれば、私は前に進める。それだけを信じて、自分だけが薄汚く生きていくために、私はもう一人の私にこう言うのだ。

「泣けよ、道化師」

 そんな言い訳じみた話をする私は、まぎれもなく罪人だ。

いかがだったでしょうか?

実はこの話、元々エッセイコンテスト用に書いたものだったんです。今読み返すと三流小説みたいだなぁ、なんて思えますが(笑)

シリーズ用に書いたものではないので「ヒーロー」という単語は出てきませんが、「ヒーローでない=ヒーローと対象の位置にいる罪人」と解釈してこのシリーズの一部とさせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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