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夢シリーズ

ノアの方舟

作者: 岸野果絵
掲載日:2014/10/19

 夢の中で私はちょっぴり特別な存在だった。


 私の両親は仲間たちと宇宙船に乗ってこの星にやってきた。

ソラからやってきた彼らは一世と呼ばれていた。

そして一世の両親から生まれた私は純血二世と呼ばれていた。

 一世たちはこの星の元々の住人たちと交流し、いつしか共に暮らすようになっていた。

なかには共に暮らし、そして家族になる者たちもいた。

 一世たちやってきてからは気の遠くなるような時間がたっていた。

一世の寿命は長いが生き残っているのはほんの数名だった。

私の両親もすでに亡くなっていた。


 ある日、一世と純血たちに召集がかかった。

宇宙船のなかで何かの上映会があるらしい。

 該当者の11名は宇宙船内に集合した。


 上映会がはじまると、全ての窓は閉められ、外が見えないようにカーテンがされた。

船内は真っ暗になった。

私はスクリーンに映し出されるものに夢中になってみいっていた。

 

 誰かが窓のカーテンをさわったらしく明かりがもれた。

誰かが立ち上がり窓に駆け寄った。

そして勢いよくカーテンを全開した。

 私たちが宇宙船に入るまでは快晴だった。

雲一つない抜けるような青空だった。

 しかし今、窓から見える外は薄暗く、時折ピカピカと稲妻が光っていた。

滝にように流れ落ちる雨水で窓の外は歪んで見えた。

外は嵐になっていた。

 一人の男が叫びながら外に出ようとした。

入り口のレバーはびくともしない。

ドアを叩きながら何かを叫んでいた。


 私は思い出していた。

叫んでいる男は先日双子が生まれたばかりだったのだ。

男の妻も子供もこの船内にいない。

男の妻子は純血ではなかったのだ。


 男はドアをあきらめたのか窓の方に走ってきた。

私はあわてて窓から飛びのいた。

男は窓にしがみつくと無理矢理こじ開けようとした。

何人かが男を取り押さえようとしていた。

 私は怖ろしくなって、なるべくそこから離れていた。

気がつくと、足元がなんとなくゆらゆら揺れているような感覚があった。

揺れはだんだんと大きくなっていった。

 男はあきらめたらしく、うずくまって床を叩いて泣いていた。

私は恐る恐る窓の方に行き、外を眺めた。

 宇宙船の窓のところまで水がきていた。

いや、すでに水の中に宇宙船は浮いている状態だった。

大水ですべてが水の下に沈んでしまっていた。

窓から見える景色は見渡す限りの水だった。

下は水、上からも滝のように雨が降っていた。

 私は窓からあわてて離れた。

このまま水に飲みこまれてしまう気がした。

私は船内の窓から一番はなれた隅っこに座り込んだ。


 まぶしさに目を開けた。

窓から射しこんできた光がまぶしかったのだ。

 仲間が私の肩をたたき腕を引っ張った。

私はうながされるままに立ち上がり窓に向かった。

 窓の外は明るかった。

それはまるで台風一過の晴天のようだった。

だが、あいかわらず船は水の上に浮いていた。

水面の上を光がゆらゆらと踊っていた。

 向こうの方に島が見えた。

よく見るとあちらこちらに島が見えた。

私はあの島は以前は高い山だったのだろうと思った。

 船内の人々は落ち着きを取り戻していた。

のんびりと談笑している姿を見ていると、あの騒ぎが嘘のようだった。

 船はある島(山)を目指してるようで、みるみる島影が近づいてきた。


 上陸することになった。

年長の人から順々に外へ出た。

私もおそるそそる、ゆっくりと地上へ降り立った。

久しぶりの地面はとてもどっしりと固かった。

 最初に降りた年長の人が地平線に向かって呼び声をあげた。

目を凝らすと、遠くの方に人影のようなものがみえる。

それはどんどんと近づいてきた。

 全身金色に輝くとてつもなく大きな人だった。

その姿ははまるで仏像、ちょっとスリムな大仏のようだった。

その人はクロールしながらこちらにやってきた。

近くに来ると泳ぐのをやめて水の中に立ったようだった。

口のあたりまで水につかっていた。


「どうじゃった?」

顔だけでも身の丈よりずいぶん大きな金色の人に年長者は話しかけた。

金色の人はしばらく何かを思い出すかのようにじっと動かなかった。

「その大きさじゃ話も出来んな」

年長者がそういうと金色の人はみるみる小さくなっていった。

そして普通の人のサイズになり水から上がってきた。

驚いたことに普通サイズになると金色でなくなり普通の色になった。

「けっこう生き残ったよ」

「とりあえず大掃除は終わったな」

金色だった人は大きく頷いた。


 これから私たちはこの星の人々となるべくかかわらずに生きていくことになるだろう。

なんとなくそう思ったところで目が覚めた。

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