引越し
ライトブルーの瞳をした少女が、新しい木製の小屋に入っていった。
まだ、木の香りがするほど、新しかった。
「わぁ……。すごい」
少女はつぶやいた。
そこに、黒い髪の少年が現れた。
「リン、荷物ここでいい?」
そう言われて、リンはにっこり笑いながら振り向いた。
ライトブルーの髪をなびかせて。
「そこでいいよ、ロン。ありがとー!」
ロンは調子の良いリンにあきれながら荷物を運ぶ。
リンはその様子を眺めながら、ベットに寝転んだ。
その瞬間、ロンは持っていた荷物を落とした。
「ちょっとリン、手伝ってって言うんだったらやってよ」
するとリンは面倒くさそうにベットから降りて、荷物を拾った。
その光景を見て、ロンも荷物を拾う。
リンはダンボールに包まれたものをどんどん出していった。
そして、全部出し終わると、満足したかのようにまた違う荷物を取りに行った。
「リン、これ邪魔なんだけど」
ロンは散らかっている服や小物を足でどかしながら進んでいく。
「あ、蹴らないでよぉ~」
リンは慌てて服を拾った。
リンの水色のスカートが風に揺れる。
「ロンも旅ばっかよくするよね。私は家でごろごろする方が好きだよ? 本は読まないけど」
「リンは運動不足なんだよ」
二人は小屋の掃除をしながら話し始めた。
リンはロンの言葉を聞くとむくれながら言った。
「運動不足って、今運動してるじゃんかー」
「今だけだろ」
あっけなく返事をされて、リンはまたむくれた。
しかし、今度は何も言わずに、クローゼットに服を直した。
「てか、旅なんかして何が面白いの?」
リンは不思議そうにそう聞いた。
すると、ロンは少し笑いながら言った。
「何だろうね」
ロンが意味ありげに答えたのが不満だったのか、リンはまたむくれた。
そして、ふいに小さな窓に目をやった。
「ねぇロン、お客さん、来るかな?」
リンがこの小屋に住む理由は、リンが店を開くからだった。
そう薦めたのはロンだった。
「リンが作るお菓子は美味しいから、店でも開いたら?」
ロンのその一言で、リンは店を開く決断をしたのだった。




