表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
1章 学園生活
9/36

ルーベルクの森(後編)


 僕が動けなくなったので、ここで一旦休憩することになった。

 ミーシャお姉ちゃんの腕の中に収まりながら周りを見ると、淡く光る小さい粒がたくさん舞っていてとても綺麗。


「幻想的ねー」


「確かに綺麗だなー」


 マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんも周りの景色に見蕩れていた。

 ルークが「この光はなんだ?」と聞いてきたけど、僕も知らないから首を傾げながら「分かんない」と答えた。


「えっ!?ルーク先生、この光景はいつもと違うんですか?」


「ああ。俺は生徒と何度も来てるが、こんな光を見たのは初めてだ」


 みんなが僕を見ていて、ちょっと居た堪れない感じ。


「アル坊が原因なのは間違いなさそうだが……」


「そうですね。木に触れた時に光が溢れましたしね」


「あれは凄かったなー」


「うん!! すごくキレーだった!!」


 木全体から、葉っぱ一枚一枚からの光の雨を思いだして、「すごかったよねー!!」と言いながら、僕を抱えているミーシャお姉ちゃんの腕をパンパン叩いた。


「ふむ、ある程度回復したみたいだな。アル坊、『世界意思』……それとも『森』か? 話した内容を言えるか?」


 僕は「うん!」と頷いてお話したことをみんなに伝えた。





 ルークは僕の話を聴いて、しばらく黙って考え込んでいた。


「そうだな。まずは……瘴気避けの水晶に魔法をかけることからやってみるか。マーク、水晶を出してくれ。」


 マークお兄ちゃんは「了解です」と返事をしながら、背負っていた大きな鞄を下ろして、中から水晶を取り出した。


「よし。じゃあ、3人で重ねがけをするぞ」


「「はい」」


 水晶を僕に持たすと、3人は僕の前に手を差し出して、真剣に水晶を見始めた。

 緊張した様子に僕も静かに手の上に置かれた水晶をじっと見つめた。すると、周りに浮かんでいた光の粒が集まりだして、水晶の中に入っていった。

 僕はびっくりしたけど、水晶を落とさないようにしっかり持ち直した。


「こんなところだな。魔法も上手く発動したようだな」


 ルークが僕の持ってる水晶を確認して、差し出していた手を引いた。それを見て、マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんも「ふー」と言いながら、手を引いた。

 水晶を見ると、少し濁ってたはずなのに……。今は透き通っていて淡い青色の光を帯びている。


「おー!! きれー!!」


「ん?どれどれ……。ほんとにきれーだな」


 マークお兄ちゃんは水晶を見ながら「何で見た目が変わったんだ?」と首を傾げた。


「確かに綺麗だけど……。それより発動するときの魔法の力にびっくりしたわ」


「確かに。今までに感じたことのない強さだな……。アル坊の言った通り、俺らに力を貸してもらえたんだろう」


「あとは俺ら自身に瘴気を防ぐ魔法をかければ、先に進んでも問題ないのかな?」


「そうだな。アル坊、もう動けるか?」


 僕は立ち上がって歩いてみてから、「うん!! 動けるようになったー!!」と言って、みんなの周りをぐるぐる回った。


「それなら、魔法をかけたら先に進んでみるか」





 みんなが魔法をかけ終わると、僕たちは森の奥に進み始めた。すると、周りを漂っていた光の粒が集まり、大きな光となって僕たちを先導し始めた。

 しばらく光りに導かれていると、霧が立ち込めてきて先の方が見えなくなった。でも、周りに浮かんでいる小さな光の粒よりも中に霧が入ってこないので、歩くには十分だった。


「この霧が瘴気なのか?」


 ルークが誰に話すでもなく呟いた。


「そうかもしれませんね。周りの光が私たちを守ってくれているように見えますし……」


 僕はこの霧が瘴気かもしれないと分かって、ルークに「大丈夫? 倒れない?」と聞いた。学園長が瘴気で倒れると言ったのを思い出して不安になった。


「ああ、大丈夫だ」


「ルーク先生、前の光りが動かなくなりましたよ。ここが目的地なんじゃないですか?」


 ルークが周りを見渡しながら「そうみたいだな」と答えた。


「アルバート君の話だと、ここで魔法を使えばいいみたいだけど……」


「うーん、アルを通じて森に魔法を使うってのが良く分からないだよなー」


 そう言って僕を見ると「アルは分かるか?」と問いかけてきた。僕もさっぱりだからルークを見た。


「アル坊、適当にやれ!!」


 自身たっぷりに言われたから、僕はしっかりと頷いて、「やるぞー」と気合を入れた。 そしたら、マークお兄ちゃんは「やる気満々だな!!」と笑って、ミーシャお姉ちゃんは「適当って、どうなの」と呆れていた。


「アル坊と暮らして分かったが、こいつは……ノリと勢いと泣き虫でできてる。だから、理屈をグダグダ説明するより効果的だ」


 ミーシャお姉ちゃんがジト目でルークを見てる……。ちょっと怖い……。


「まぁ、確かにアルはそんな感じだし、とりあえずやってみるのがいいんじゃないか?」


「……そうね」


 ルークは僕の頭に手を置いてから「ほら、お前らもアル坊に触れ」と言った。

 マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんが触ってきたけど……。


「なんで、みんな頭を触るの?」


 てっぺんをルーク、後ろ側をマークお兄ちゃん、ほっぺたをミーシャお姉ちゃんが触ってる。なんで手とかじゃないの?


「アルの頭はちょうどいい位置にあるからな」


 マークお兄ちゃんが答えてくれたけど、なんでいい位置か分からない。けど、ニヤニヤしてるから、あんまりいいことじゃないのかも。


「ほら、始めるぞ。アル坊もちゃんとやれよ」


 僕は頷こうとしたけど、頭が抑えられてて動かないから「わかったー」と口だけ動かした。





 しばらくすると、優しい気持ちを周りから感じて、ルーク達が『森』のために頑張ってくれているのを感じた。

 僕もみんなの願いが『森』に伝わるように、願いが叶うように一所懸命に祈った。

 すると、風が生まれ、頬を優しく撫でてから『森』の隅々まで広がっていった。


「上手くいったのか?」


 マークお兄ちゃんが僕の頭に手を置いたままぼんやりと呟いた。

 周りからは霧が無くなって、代わりに柔らかな葉擦れの音と、木々の間から差し込む光の柱で満ちていた。


「たくさんの嬉しいって気持ちでいっぱいになってるよ」


「そうか。上手くいったようだな」


 みんなが僕の頭から手を離すと、疲れたみたいでその場にへたりこんでしまった。

 僕が不安になって「大丈夫?」と訊くと、マークお兄ちゃんが軽く笑って手をブラブラさせた。


「大丈夫よ。ただ、こんなに大きな力に触れたのは初めてだから、ちょっと疲れちゃったの」


 座ったみんなの周りをウロウロしていると、ルークが僕に話しかけてきた。


「ちゃんと瘴気が消えたか聴くことができるか?」


「うん。大丈夫だよー」


「それじゃあ、俺らが動けるようになったら、アル坊が話した木のところまで戻るか」


 僕は首を傾げなら「何で?」とルークに聞いた。


「何でって。木に触れて話す必要があるんだろ?」


「ここの木じゃダメなの?」


 何でダメ何だろうと思って聞いてみたら、不思議そうな顔で「ここの木で話せるのか?」聞き返された。


「話せるよ」


 迷わず答えると、「基準が全く分からん」とルークが呟いた。


「じゃあ、アル坊、聴いてきてくれ。ただ、動けなくなるまで長く話さないようにな」

 僕は頷くと、また『森』とお話するために木に向かって走り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ