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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
3章 進む道
34/36

邂逅


 暖かい温もりのなか、僕はそこに漂っていた。

 心地良い空間に、ただただ、広がってゆく。

 時に、僕に向かう意思を感じて、それに戯れる。意思に触れることで生まれる波紋に、委ねた僕もまた流れてゆく。


 どの位たったのか。

 短くも長くも感じる時の中で、新たな意思がまたぶつかってくる。

 僕と合わさり、包み込んでくる。そして、帰って行く。

 そこに、新たな意思が生まれる。僕から生まれる。


 寂しい……。


 ここに在って、無かった僕の感情。

 生まれたのは寂しさだけど、感情を感じることで嬉しさもまた生まれる。


 また、意思が僕にたどり着く。

 優しさに触れ、みんなを思い出す。

 思い出は、新しい感情を生み、周りに広がる。


 「もっと、みんなと一緒に居たかったな……」


 声なき声が響き渡る。





 ふと、大きな存在に包まれるのを感じる。

 何も聞こえず、何も見えない。だけど、ただ大きな何かが在るの分かる。


「何だろう?」


 感情と思い出が戻ってきたためか、意思が声のようになって僕から響く。

 何となく気になって僕自身を見てみると、体もどきが在った。なんか、モヤモヤが集まったような感じ。透明だし……。

 うーん? マークお兄ちゃんが話してたお化けかな? あのお話は怖かった。泣きそうだったのは内緒だけど。


「……」


 自分の体? を見てビックリしたり、マークお兄ちゃんを思い出したりしてると、僕を包んでる大きな存在から、何かが伝わってくる。

 でも、それが何か分からない。意思でも感情でも無いみたいだけど。


「ごめんなさい、分からない」


 僕が伝えると、大きな存在は一部を僕に重ねてきた。

 僕の存在と混ざるような、不思議な感覚だ。でも、怖くはない。

 何だろうと思ってると、僕と混ざってた存在はすっと離れた。





 僕を包んでた大きな何かが、だんだんと集まって固まってゆくような感じがする。

 何が起きるのか、ちょっとワクワクしてると、僕と同じようにモヤモヤみたいのが見えるようになってきた。


「おおー!!」


 次はどうなるんだろう?

 楽しみにしながらジーッと見てると、人型になった。

 うーん?何となく、ラルヴァに似てるかな?


「これで伝わるだろうか?」


 耳から聞こえる言葉とは違うけど、確かに聞こえる。


「うん!! 今度は分かるよ!!」


 ここには、何も無くて、ただ在るだけだったから、お話しできるのが楽しい!!


「僕はね、アルバートです。あなたは?」


「私には個という概念はない。この状態も、アルバートの存在に合わせただけのものだ」


 えっと、サッパリです。

 うーん? 名前がないってことかなー?

 じゃあ、ラルヴァと似てるから……。


「おじいちゃんって呼んでいい?」


「かまわない」


 やった!!

 名前じゃなけど、これでお友達だ!!

 ルークから ―お友達の作り方(初級編)― を教えて貰っといてよかったー。





 それにしても、おじいちゃんかー。

 初めて会ったと思うけど。


「おじいちゃんは、とっても懐かしい感じがするよ」


「それは、アルバートの根源が、私を元としているからだろう」


 えっと、えっと……。

 ダメだー。


「難しくて分かんないよー」


「この意思のやり取……、言葉は、アルバートの存在から学んだものだが。上手くいかなかったか? 存在の共有は問題なく……」


「まっ待って。言葉は大丈夫だよ。えっと、ただ……」


「ただ?」


 くっ、聞いて欲しくない。

 ルークや、マークお兄ちゃんからよく言われたけど。それを僕から言うの!? 自分で!?


「話しの内容が難しくて分かんなかったの。僕はおバカなんだって……」


 頭がお花畑とか、鳥の頭とか、意味はよくわかんなかったけど。ルークのあの顔は、絶対悪口だよ。


「そうか」


 淡々と返された。

 馬鹿にしたりしてないけど、なんかこう、グサッと来たよ。

 でも自分で言っちゃったけど、そんなことないよとか言って欲しかったよ。でも、おじいちゃんに言われると、それもキツいような……。






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