邂逅
暖かい温もりのなか、僕はそこに漂っていた。
心地良い空間に、ただただ、広がってゆく。
時に、僕に向かう意思を感じて、それに戯れる。意思に触れることで生まれる波紋に、委ねた僕もまた流れてゆく。
どの位たったのか。
短くも長くも感じる時の中で、新たな意思がまたぶつかってくる。
僕と合わさり、包み込んでくる。そして、帰って行く。
そこに、新たな意思が生まれる。僕から生まれる。
寂しい……。
ここに在って、無かった僕の感情。
生まれたのは寂しさだけど、感情を感じることで嬉しさもまた生まれる。
また、意思が僕にたどり着く。
優しさに触れ、みんなを思い出す。
思い出は、新しい感情を生み、周りに広がる。
「もっと、みんなと一緒に居たかったな……」
声なき声が響き渡る。
ふと、大きな存在に包まれるのを感じる。
何も聞こえず、何も見えない。だけど、ただ大きな何かが在るの分かる。
「何だろう?」
感情と思い出が戻ってきたためか、意思が声のようになって僕から響く。
何となく気になって僕自身を見てみると、体もどきが在った。なんか、モヤモヤが集まったような感じ。透明だし……。
うーん? マークお兄ちゃんが話してたお化けかな? あのお話は怖かった。泣きそうだったのは内緒だけど。
「……」
自分の体? を見てビックリしたり、マークお兄ちゃんを思い出したりしてると、僕を包んでる大きな存在から、何かが伝わってくる。
でも、それが何か分からない。意思でも感情でも無いみたいだけど。
「ごめんなさい、分からない」
僕が伝えると、大きな存在は一部を僕に重ねてきた。
僕の存在と混ざるような、不思議な感覚だ。でも、怖くはない。
何だろうと思ってると、僕と混ざってた存在はすっと離れた。
僕を包んでた大きな何かが、だんだんと集まって固まってゆくような感じがする。
何が起きるのか、ちょっとワクワクしてると、僕と同じようにモヤモヤみたいのが見えるようになってきた。
「おおー!!」
次はどうなるんだろう?
楽しみにしながらジーッと見てると、人型になった。
うーん?何となく、ラルヴァに似てるかな?
「これで伝わるだろうか?」
耳から聞こえる言葉とは違うけど、確かに聞こえる。
「うん!! 今度は分かるよ!!」
ここには、何も無くて、ただ在るだけだったから、お話しできるのが楽しい!!
「僕はね、アルバートです。あなたは?」
「私には個という概念はない。この状態も、アルバートの存在に合わせただけのものだ」
えっと、サッパリです。
うーん? 名前がないってことかなー?
じゃあ、ラルヴァと似てるから……。
「おじいちゃんって呼んでいい?」
「かまわない」
やった!!
名前じゃなけど、これでお友達だ!!
ルークから ―お友達の作り方(初級編)― を教えて貰っといてよかったー。
それにしても、おじいちゃんかー。
初めて会ったと思うけど。
「おじいちゃんは、とっても懐かしい感じがするよ」
「それは、アルバートの根源が、私を元としているからだろう」
えっと、えっと……。
ダメだー。
「難しくて分かんないよー」
「この意思のやり取……、言葉は、アルバートの存在から学んだものだが。上手くいかなかったか? 存在の共有は問題なく……」
「まっ待って。言葉は大丈夫だよ。えっと、ただ……」
「ただ?」
くっ、聞いて欲しくない。
ルークや、マークお兄ちゃんからよく言われたけど。それを僕から言うの!? 自分で!?
「話しの内容が難しくて分かんなかったの。僕はおバカなんだって……」
頭がお花畑とか、鳥の頭とか、意味はよくわかんなかったけど。ルークのあの顔は、絶対悪口だよ。
「そうか」
淡々と返された。
馬鹿にしたりしてないけど、なんかこう、グサッと来たよ。
でも自分で言っちゃったけど、そんなことないよとか言って欲しかったよ。でも、おじいちゃんに言われると、それもキツいような……。




