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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
3章 進む道
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帰城


 眠ってしまった皆を見送ってから、僕たちはお城に戻ってきた。

 全員で帰れなかったのは残念で悲しいけど、いつまでも落ち込んでると安らかに眠れないってウィルに言われたから、頑張って元気になろうと思う。

 まずは、なんか楽しそうなことを探さないと。


「アルバート、誰か探してるのか?」


「うーん。そういう訳じゃないんだけど」


 キョロキョロしながら、ウィルに答える。

 ふと、陛下と目が合うと、マーサおばちゃんを思い出す。


「ウィルー!! マーサおばちゃんってどこにいるのかな?」


「待て!! 何故、俺を見た後にマーサが出てくる!?」


 慌てた感じの陛下が、僕の肩を思いっきり掴んでくる。


「えっと、マーサおばちゃんがね、ウィルを使って鍛え直さないとって。それでね、楽しいから僕も一緒にねって言われたの」


「待て待て待て!! よっ要望はなんだ!!」


 要望?

 よく分かんないけど、陛下がおもしろいことに!!


「陛下、落ち着いて下さい。今回は、陛下と一緒にアルバートも参加ですから、大丈夫ですよ」


「いやいやいや、それは大丈夫じゃない。全く大丈夫じゃない!! というか、アルバート、お前は何をやったんだ?」


 何もやってないと思うけど?

 うーん?


「寝台の下に隠した、水と氷にまみれた布団、割れた容器」


 ウィルがぼそっと呟いたにもかかわらず、はっきりと後ろから聞こえた。

 氷の熊さんを作る練習を……しました。それで、床がぬれちゃったから、お水が入ってた器も壊れちゃったから……。

 チラッと後ろを見ると、口角を上げてニヤッとした顔をしたウィルが居た。


「……」


 僕は、そっと視線を逸らす。

 あれは、いけない。木剣でビシバシ兵士さん達を叩いてた時と同じ顔。

 さりげなく、慎重に、ウィルとの間に陛下が来るように移動する。


「あっ!! こら!! 俺を盾にするな!! そんでウィルは、その顔をやめろ!!」


「ラ、ラルヴァ、じゃない学園長!! そろそろ学園に帰ろう!! ルークが待ってる!!」


「学園が落ち着いたら、ルークは登城してくるから、まだ時間はあるよ。だから、ウィルさんとの用事を先に済ませていいよ」


 ちっ違うんだよ。済ませたくないんだよ!!

 どっどうしよう。

 ラルヴァを見て、ウィルを見て、またラルヴァを見て。どうしようか悩んでると、周りから笑い声が響いてきた。そして、それは人を増やし、大きく広がる。


「なっ何!?」


 兵士さんも侍従さんも笑ってる。

 あれは、止められない笑いだ。ヒーヒーして苦しそう。でも何で笑ってるの!?


「アルバートが元気になったからだよ」


 ウィルが普通の笑顔になって教えてくれた。

 そうなんだろうか。なんか違うような。

 まぁ、楽しそうだからいいけど。





 その夜、呼ばれたような気がして、目が覚めた。

 目を擦ってから周りを見ると、まだ真っ暗な時間だった。


「……誰もいない」


 マーサおばちゃんは、僕が寝るまで居てくれるけど、その後は自室に戻ると言ってたら今は僕一人みたいだ。

 うーん? 気のせいだったのかなー?


(……)


 やっぱり呼ばれてる。

 この感じは森の声かな?

 とりあえず、部屋から出て声が聞こえるように歩いてみると、謁見の間にたどり着いた。

 ここまで来る道も暗くて怖かったけど、誰も居なくて、暗くて、広い部屋はもっと怖い。


(私たちの子)


 森の声だ!! 優しい声を聞いて、怖い感じはもうしない。


(聞こえるよー)


(私たちの子。ごめんなさい)


 悲しい感じ。慈しむ感じ。そして、贖罪の思いがたくさん、たくさん流れてくる。


(謝らないで。僕はちゃんと帰るよ)


 もう限界なのも、ここに居られないのも、何となく分かる。


(ラルヴァだけじゃなくて、ルークや皆にもバイバイしてからでも大丈夫?)


(大丈夫)

(お別れするときは、あなたが居る場所を使って)

(そこは、私たちの一部が使われていて、力が強い)


(うん!! あっ、宝玉が壊れちゃったんだけど、どうしよう?)


(私たちの子。お別れの時に、あなたの力を新しい宝玉に)

(私たちは、彼らの願いを叶えられなかった)

(きっと、宝玉はまた悲しみを生む)


(大丈夫だよ。ラルヴァ達はすごいんだから!!)


(ええ。信じましょう)

(私たちの子、あなたのお友達を)

(私たちのお友達を)





 

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