表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
3章 進む道
29/36

魂送


 炎が爆ぜる音が響き、散ってゆく。

 力強く、時にすべてを飲み込んでしまう強大な力。

 でも、彼らを包むこの炎は、ひたすらに優しい。

 天まで昇るかのようなそれは、きっと彼らを安らぎへ導いてくれることを祈って。





 人同士の戦いは終わった。

 宝玉が無くなった後、宰相を含む貴族が逃走を図り、戦線はいっきに崩れたらしい。

 

「アルバート、皆を守ってくれてありがとう」


 陛下が僕の頭を撫でてきた。


「ウィルは魂送の準備を。ラルヴァはどうする? アルバートと先に帰るなら、誰かに送らせるが」


 ラルヴァは返事を考えてるみたいだから、僕は気になったことを陛下に聞いてみた。


「陛下ー、こんそーって何ですか?」


「亡くなった者たちが、安らかに眠れるように、魂を慰めることだ」


 なくなったもの? たましい?

 難しい……。陛下のお話は難しいよ。


「陛下、この子はまだ人の死が分からないと思います」


 人の死?

 確かに分からない。


「……確かに、分からないといった顔をしてるな。だが、知っていていい年齢だと思うが?」


「それは……」


 ラルヴァが珍しく言いよどんでる。


「いや、責めているわけではないぞ。そうだな、アルバートも皆を見送って貰えるか?」


 僕はよく分からないけど頷いて、ラルヴァと一緒に魂送に参列することとなった。





 陛下達とウィルの所に向かうと、たくさんの人が、寝てる人を運ぶ作業をしていた。

 とても、とても悲しそうだ。


「なんで悲しいの?」


 手を繋いでるラルヴァに聞いてみる。


「彼らは死んでしまったんだよ。もう、二度と起きないんだ」


 ラルヴァは並んで寝てる兵士さん達を見て、悲しそうに答えてくれた。


「起きるよ!? だって、寝たら起きるんだよ!!」


 ラルヴァはただ、首を振る。

 僕は手を放して、寝てる皆の近くにいるウィルに駆け寄った。


「ウィルー!! ラルヴァが、皆が起きないって言うんだよ。起きるよね!?」


「人は、いつか必ず死ぬんだ。そして、死んだ人間はもう、戻らない」


 ウィルは優しく頭を撫でてくれたけど、それを振り払った。

 皆は起きるよ!!

 お城を出た時は起きてたんだよ!!

 疲れちゃったから、ちょっと寝てるだけなんだよ!!


「アルバート……」





 寝てる皆を起こそうと思って近づくと、知ってる人が居た。

 カーム……。

 お城で木剣で遊んでくれた。ウィルと違ってカームは優しく教えてくれたし、ウィルにぼこぼこにされた後は助けてくれた。


「起きて、カーム!!」


 砂で汚れた顔をペシペシと叩いてみる。

 でも、ちっとも動かない……。


「ねえ、カーム。起きてよ。疲れちゃったの? お水持ってくるよ」


「アルバート、カームは……死んだんだ。」


 ウィルが僕をカームから離す。

 僕は首をブンブンと振る。起きるよ。だって、……。


「僕に今度、木剣を作ってくれるって!!」


「また一緒に遊ぼうって!!」


「だから、死んでないよ。……死んで、ないよ。」


 ウィルは黙って、僕を抱きしめる。

 寝てるだけって言ってくれない。起きるよって言ってくれない。

 僕はただ涙を流し続けた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ