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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
3章 進む道
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戦と僕(後編)


 王国軍と貴族軍が戦う最中、衝撃が僕を襲った。

 頭をグチャグチャにされた感じで気持ち悪い。立っていられなくなって、蹲ると陛下が慌てて声を掛けてきた。


「大丈夫か!?」


「……」


 無理。気持ち悪い。

 声も出ない。

 手をギュッとして、目もしっかり閉じて、耐える。


「ウィル!! アルバートを救護隊へ連れて行け。ラルヴァも付いて……大丈夫か? お前も顔色が悪いぞ。」


「少し、待って、下さい」


 ラルヴァの辛そうな声を聞いて、力を込めて目を開ける。

 顔をしかめて辛そうな顔。初めて見る……。

 そんなことを思ってると、膝を突くと僕を軽く抱きしめてきた。


「アルバートの、お守りを、使わせて、もらうよ」


 僕は無言で頷く。

 辛くて声は出せないです。

 ラルヴァは僕の首からかかっているお守りを、服の中から引っ張り出して両手で握り込んだ。


「……」


 すると、周りに優しく暖かい感じが広がって、僕たちを包んだ。





 もう、頭も痛くない。気持ち悪くもない。

 お守り凄い!!


「大丈夫か?」


「うん!! でも、さっきの気持ち悪いのは何?」


 元気になったから陛下にちゃんとお返事。


「気持ち悪い? 特には感じなかったが。戦に当てられたか?」


「いえ、向こうの『森と在るもの』が出てきたようです」


 ラルヴァが小さく答える。

 いつもの感じじゃ無くて、元気がなさそう。


「それで、なぜお前らが倒れるんだ? まさか、宝玉か?」


「宝玉での魔法はまだ使われていません。倒れかけたのは、宝玉に増幅された彼の思い、意思に飲まれ掛けたためです」


 意思? 思い?

 あれが?

 ああ、彼は……。この戦にまた、悲しみが増える。


「お前達は、もう下がれ」


「まだ、下がれません」


「十分、役立ってくれた」


 ラルヴァは動かない。

 強固な意志を感じる。陛下とウィルも、いつもと違うラルヴァに戸惑ってるみたい。

 うーん。ラルヴァは話さないし、僕が教えていいのかな?


「陛下、陛下ー」


「ん? 救護隊の方へ行って休むか?」


「そうじゃないよ!! 彼はね、心がなくなっちゃたの。たくさん、たくさん辛かったの。だから、壊れちゃったの」


 さっきの衝撃は、喜びや悲しみ、いろんな感情がごっちゃになったものみたい。今はお守りで直接は感じないけど、意味を持たない意思が止めどなく、戦場に響いているのが分かる。

 こんなことは、普通あり得ない。喜びも悲しみも、すべてが混ざって、意味をなさない感情になってる。

 心が壊れるほどのことをされたんだ。同じ人間なのに……。


「彼、壊れた……。まさか!!」


「宝玉を、使わせるためでしょう。彼は、拒んで戦ったのだと思います」


 ラルヴァが感情を込めずに、淡々と呟く。


「なんてことを」


 陛下、ウィルも、顔をしかめて少しうつむいてる。

 だけど、僕たちの悲しみが癒える間もなく、ただただ、それは始まる。





 唐突に、彼の暴風のような思いに、明確な悪意が乗せられる。


(灼熱……、討て……)


 誰か分からないけど、森に願う意思が聞こえる。

 これは、王国軍への敵意。

 森が戸惑う気配を感じるけど、願いに力が返された。


「なっ!!」


 陛下とウィルが驚きの声を上げながら、空を見てる。

 僕も同じ方を見ると、王国軍がたくさん居る上空に、炎が唐突に存在を始めた。

 それは、次第に巨大化して熱量を増やしている。戦場の後ろの方にいるのに、顔が熱い。


「アルバート」


 ラルヴァが僕の名を呼ぶ。

 僕は頷くと、森に願う。ラルヴァ、それに宝玉を通して森と繋がるのが分かる。


(それは悲しい力だよ。みんなを傷つけてしまう。だからお願い……、消して!)


(私たちの子)


 森の声が聞こえる。

 悲しみの声。

 そして聞こえなくなる。


 ……帰らないと。


 空の炎から熱が無くなり、無数の小さな輝きとなって地上に降り注ぐ。






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