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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
3章 進む道
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最強はだれ


 ラルヴァの腕の中でぐったりしてると、結界の外に人影がぼんやりと見えた。

 だれか来たのかな?

 けっこう、いっぱいの人影がこっちに向かって来るみたい。


「ラルヴァ、話しても平気か?」


 結界のすぐ近くに来た陛下が、ラルヴァに声を掛けてきた。


「はい、大丈夫です」


「そろそろ訓練でこの部屋を使う時間だが、まだ待たせたるか?」


「いいえ、もう大丈夫です。場所を貸してくださり、ありがとうございました」


「陛下、ありがとうございました!!」


 僕もしっかりと、大きな声でお礼を言った。

 挨拶とお礼は大切です!! ルークの教育的指導? で身にしみてます!!

 ……ルークの拳骨は、何故にあんな痛いのか?


「かまわんよ。それと、話したいことがあるから来てもらえるか」


「申し訳ありません。もう少しでこの結界が解除されるはずですので、その後の時間で調整いただけますか」


「かまわんが、何故だ? 魔法の有効時間でも検証してるのか?」


 ぐっ、痛いところを。

 とりあえず、陛下から視線を逸らしてラルヴァに、顔を埋める。恥ずかしいし。


「そういうわけではないのですが……」


「?」


「実は、解除ができずに閉じ込められてる状態でして」


「はっ?」


 陛下が惚けた声を出して、理解したのか笑い始めた。


「くくくっ、ラ、ラルヴァでも解除できないのか?」


 息も絶え絶えだよ!! 酷いよ!!


「はい。ある意味、暴走した結果なので」


「そうか。では先に部屋で……待ってるから……、そこから……出られたら来てくれ。」


 そんなに!?

 ちゃんとお話も出来てないよ!?

 疲れてぐったりに、しょんぼりもまた追加だよ!!





 結界が消えた後、残ってた兵士さんに案内されて、綺麗な部屋に通された。

 部屋に置かれた装飾がとても綺麗だけど、そんなことより!!

 それはお菓子では!?


「先ほど笑ってしまったからな。お詫びを用意した。これで許してくれ」


 もちろん!! 許しますとも!!

 というより、いつでも笑っていいですよ。そして、お菓子ください!!


「ラルヴァ!! 早く早く!!」


 ラルヴァが答えるより先に、陛下が不穏な笑顔で割り込んできた。


「アルバートは、そこで降ろすように」


 ラルヴァが軽くため息をついて、抱えていた僕を降ろした。

 床に降ろされた僕は、自分で歩いて陛下の所へ向かおうとした。


「あれ?」


 膝から力が抜けて、その場にカクンと座り込んでしまった。

 立ち上がろうとしても、手にも足にも力が入らない。


「アルバート? いらないなら代わりに食べるが?」


 陛下が楽しそうに聞いてくる。


「ダメ!!」


 がんばって進もうと思うけど、やっぱり力が入らない。

 陛下は、椅子に座ったままで、楽しそうに僕を見てるだけ。周りの人も困った感じか、陛下と同じように笑顔になってるかで助けてくれない……。

 助けてくれない。そう思うと悲しくなってきた。


「陛下」


 窘めるように、女の人が陛下を呼んだ。若干、怒気を感じる。

 ぼやけた視界の中、陛下が目にも止まらぬ早さで僕の所に来ると、抱きかかえてきた。


「すまん。調子に乗りすぎた」


 そう言うと、僕は陛下の正面となる位置の椅子に運ばれた。隣にはラルヴァが座った。





 僕が落ち着くと、陛下がまた謝ってきたけど、助けてくれたから別に気にしない。

 それより、陛下が隣に立つ女の人を見ては、ずっとビクビクしてる方が気になる。


「さ、さて、話の内容だが……。すまんが、アルバートには辛いことを思い出させる」


 そう言って、僕が誘拐されたときのことを聞いてきた。

 確かに、あのときは怖くて、悲しくて、辛かったけど。皆が助けてくれたから、もう大丈夫。だから、覚えてることを、しっかりと陛下に伝えた。


「やはり、宰相が反乱を指揮してるのか。ラルヴァ、宝玉の件はどう思う?」


 陛下は手で額を覆い、疲れた感じだ。あの宰相殿って呼ばれてた人が友達だったのかな?

 友達が居なくなったら寂しいもんね。……なんか僕が泣きそう。


「貴族軍が攻めてくるときに使われると、被害が甚大になるかと。ただ、そこに私とアルバートが居れば無力化、少なくとも威力を押さえることができるかと思います」


 ラルヴァと一緒に、むりょくか?


「戦場にお前らを連れて行けと? あんな運命を背負わせた上に、さらに辛い思いをさせることなど!!」


 いきなり怒鳴られて僕はビックリして、固まっちゃったよ。こう、びくーっとした。

 でも、怖くはない。すごく辛そうな声で、悲しい。


「陛下、ありがとうございます。ですが、個人でなく、国民を。少数でなく多数を。あなた様は、個人の感情でこの選択を誤ってはいけません」


「……」


「ねぇラルヴァ、むりょくかって?」


「使えなくする、または効果がでないようにすることかな。宝玉は……、そうだな、触媒のような物で、大きな魔法を使えるようになるんだよ。」


「ふーん。僕とラルヴァでむりょくかするの?」


「そう。そうしないと、宝玉を使った魔法で、たくさんの人が傷ついてしまうから」


「それは、ヤダ!! 僕もちゃんとお願いして、むりょくかする!!」


 魔法で人を傷つけちゃうのはダメ。森が悲しくなっちゃう。





 陛下が落ち込んじゃった。ラルヴァに怒られたからね。

 しょうがないなーと思いながら、陛下の側に近づいて、頭ナデナデをしてあげた。


「っ!!」


「ふふっ」


 陛下がすごいビックリした顔で僕を見てきた。

 と同時に隣から笑い声が聞こえた。隣を見ると、女の人が楽しそうに笑って僕を見てる。僕も見る。……何で僕は見つめ合ってるの?


「ふふっ、私はマーサ。マーサおばちゃんと呼んで」


「うん。僕はアルバートです」


 マーサおばちゃんはニコニコだ。つられて僕もニコニコ。そしてナデナデは忘れない。

 陛下は、口をパクパクさせてる。なにそれ? よく分からないけど、ナデナデナデナデ。


「さあさ、アルちゃん。そんなダメダメな陛下なんかほっといて、お城の探検に行きましょ」


「おい!!」


 僕が返事をする前に、陛下がちょっと怒った声を出した。


「あらあら。もう、大きくなったんだから、いつまでも甘えないの」


「くっ!!」


 陛下よりマーサおばちゃんのほうが強いみたい。陛下は一番偉いって聞いたけど。

 うーん? マーサおばちゃんは最強?


「アルちゃん、ラルヴァさんがお帰りになるから、今日は私と遊びましょ。また明日に、お友達が遊びに来てくれるからね」


「うん!!」


 マーサおばちゃんのニコニコは止まらない!! だから僕も止まらない!!

 ラルヴァもちょっと笑ってる。陛下は・・・・・・さっきよりへこんじゃった。






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