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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
3章 進む道
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魔法に挑戦


 窓から差し込む朝日が僕の顔を覆い、微睡んだ意識が鮮明になっていく。

 目を開けると、優しい光がサラサラと流れながら僕を照らしていた。

 上半身を起こした僕は、降り注ぐ朝の力に身をゆだね、心を広げ、そこに在るものを感じていた。


「おはよう」


 大好きな声。大好きな人。

 僕を見つけて、僕を僕にした人。


「ラルヴァ、おはよう!!」





 久しぶりに、ラルヴァと一緒に朝ご飯を食べた。

 落ち着くー。こう、ほわーっとする。

 マークお兄ちゃんと食べる朝は、授業ギリギリになるから2人で、うおーって感じで大変。でも美味しい。

 ルークの作るご飯はダメダメとして、ミーシャお姉ちゃんよりも美味しい!!

 アクセルに教えてあげたら、ミーシャお姉ちゃんには、絶対言っちゃダメって注意されたから、内緒だけど。


「美味しかったー!!」


 心の感じるまま、声が出た。


「そうだな。やっぱり、お城の料理は美味しいな」


 僕は頷いて、ニコニコした。ご飯は美味しいし、ラルヴァも居るから、ニコニコは止まることを知らない!!

 ラルヴァが教えてくれたけど、お城には料理を作るのがお仕事の人が居るらしい。

 そして、僕の尊敬する人となった!! 会ったことないけど!!

 お願いしたら会えるかな? そしたら、お菓子の作り方を教えて貰おう!! よし、まずはラルヴァにお願いしよう。


「今日は、魔法の練習をしような」


「本当!!」


「ああ。陛下に訓練場を借りる許可を取ったから、そこで結界を張る練習から始めよう」


「うん!!」


 さよなら料理の人。ごめんね料理の人。今度、絶対に行くから!!

 一番美味しいって教えてあげて、お礼もちゃんと言うから!!。





 ラルヴァと向かった訓練場は、屋内で丈夫そうな石で出来た壁に囲まれていた。

 広いなー。何もなくてつまらないけど。それにしても……。


「誰もいないねー」


 凄く広いのに、僕とラルヴァだけ。

 ポツンとした感じで寂しい。


「ああ、今日だけ貸し切りにして貰ったんだよ」


 わざわざ貸し切りに? こんなに広いのに?

 はっ!! 秘密の訓練!! つまり、凄い魔法を教えてくれる!?


「なんか凄い期待してるようだけど、アルバートの魔法が暴発したら危ないからだよ」


 酷い!!


「ラルヴァまで、僕の純情な気持ちを弄ぶなんて!?」


「全く、誰にそんな言葉を教え込まれたんだか」


 それはアクセルです。内緒って言われたから教えられないけど。

 うーん? ダメだったのかな? やっぱり教えて貰ったとおり、ルークに言わないといけなかったのかなー?


「なんで首を傾げてるのか分からないけど、そろそろ魔法の練習をしようか」


「うん!!」


「じゃあ、結界を張るのをやってみようか。前に、私が使った時の感じを覚えてるかい?」


「覚えてるよ!! えっと、僕を守る壁……、あらゆる力を拒絶する領域……」


 僕を守ってくれたラルヴァの魔法、意思を思い出すと、自然と言葉が紡がれた。


「……」


 ラルヴァが黙ったまま僕を見つめてる。

 その目にたたえる感情は深く、僕には分からない。


「ラルヴァ?」


「大丈夫。完璧だよ」


 いつものように笑って、優しい声を掛けられた。

 褒められて、自然と笑顔になった。というより、勝手ににやける顔が止められないよ。


「そこまで意思を理解できているなら、後は乞い願うのみ。願いを届ける先は、アルバートなら分かるよ」


 うん。願う先は分かる。いつも、何よりも近く、そして遠くに感じてる。

 ルーベルクの森。そこにただ在るもの。そして、僕がつながる先。


「そう。世界意思といった言葉に惑わされず、感じるまま願えばいいんだよ。意思を声に乗せて、願ってごらん」


 ゆっくりと、ラルヴァの声が染みこんで来る。いつも僕を守ってくれる優しい力。

 あのとき、守ってくれたように、僕も。


「ここに、僕たちを守る壁を創って……」


 僕の意思が広がって、懐かしいあの場所へとつながる。

 願いを乗せた声に、歓喜を伴う意思と力が答えてくれる。





 えーっと。初めての魔法は……、失敗。

 しょうが無いよね。初めてだもん!!

 一応、僕たちを守る結界は出来たんだよ!? 解除できなくて、僕とラルヴァが閉じ込められちゃったけど。

 自分の魔法で閉じ込められるとかって呟いてるラルヴァの声は、僕には届かない!!


「それにしても、あり得ないほど強力な結界だ。外が歪んで見えるから空間に対して、大きな力が作用してるのかな?」


 ええ、解除も出来ないくらいです。

 しょんぼり。


「そんなに落ち込まなくてもいいよ。それより、普通の人ではこんな力ある魔法は使えないんだから、誇れることだよ。力加減はこれから練習すればいいんだから」


「うん」


 頭垂れた僕を優しく包むと、抱きかかえられた。


「折角だから、魔法についてもう少し勉強しような」


 僕が頷くと、ラルヴァはゆっくりと語った。

 まず、魔法は万能ではない。

 だから僕が創った結界も、もう少ししたら消えてしまう。

 それに、拒絶といった概念そのものを扱う魔法は、大きな力が必要で使用者の心身に負担がかかる。僕は……、ラルヴァに抱えられるまで床にチューしてました。

 他にもたくさん制限があるらしいけど、それは今度みっちりお勉強させると、とってもいい笑顔で言われた。


「最後に、魔法を使うときは言葉を利用しなさい」


「言葉?」


「そう。この結界を創るとき、意思を乗せた言葉を使ったよね。魔法は言葉が無くても発動はするけど、使った方が安定するし、強い力を扱えるから」


「分かった-。でもルークたちは魔法を使うときに言葉を利用してないよ?」


「使うべきなんだけど、言葉に意思を乗せる感覚を説明できないんだよ。『森と在るもの』は意思を身近に感じてるから感覚的に分かるんだけど。ただ発音すればいいというものでもないからね」


 説明かー。僕もラルヴァが使ったのを感じて、同じような感覚で何となくやっただけだしなー。 

 疲れたし、説明しないからいいやと考えたとき、結界の外に人影が映った。






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