閑話(ビックリ屋敷)
ウィルと一緒に催しをしている屋敷にやってきた。
マークお兄ちゃんが一緒に行けなくて、凄く悔しそうな顔をしてたから、きっととっても面白いんだと思う。
ただ、ウィルに「アルの反応を後で事細かに教えてください」って言ってたのが気になるけど。
「ここが『ビックリ屋敷』なの?」
「ああ。結構混んでるな」
確かに『ビックリ屋敷』の前に、たくさんの人が並んでる。
僕たちも並んで、ウィルにどんなことをやるのか尋ねてみた。
「このお屋敷で何やるの?」
「毎年違う内容だから分からないんだ。去年は『カラクリ屋敷』だったかな?」
「カラクリ?」
「俺は中に入らなかったから詳しくは知らないが、隠し扉や動く床とかあったらしい」
なにそれ!? 面白そー!! カラクリやりたいなー。
と思ってると、ウィルがふっと笑った。
「これがキラキラお目々? お菓子を前にした時と同じかな。」
「キラキラ? それより、お菓子あるの!?」
「ない」
キッパリ、ハッキリ言われてがっくり。
お祭りのお菓子は、美味しくて、いっぱい種類があって楽しいのに。なんで持ってないの!!
じーっとウィルを見てみる。お菓子食べたい思念をバシバシ飛ばす。
「睨んでも無いもんはない」
「ぶーぶー」
「駄々こねるとお菓子買わないぞ」
「ごめんなさい!!」
速攻謝る!! マークお兄ちゃん直伝、アクセル監修!!
手は指までピンと伸ばして横に揃え、背筋も伸ばしてから腰を折る。
「完璧な謝罪だな……。お菓子は屋敷を出てからな」
「はっ!!」
「……」
びしっと背筋を伸ばして返事をする。
あれ? あきれ顔? ルーク用なのかな? ミーシャお姉ちゃんにも聞いてみようかな。
ウィルとお話してると、やっと僕たちの番になった。
扉を開けて『ビックリ屋敷』の中に入ると、少し広い空間があって、奥に大きな階段が見えた。
とりあえず、奥に進んだ。
「うわっ!!」
突然、足場が消えて、浮遊感を感じたと思ったら、僕は床に嵌まってた。
胸の辺りまで落ちてて、出られない。ジタバタしてみても、やっぱり出られない。
「ぶはっ」
笑われたから文句を言おうとしたけど、身動きが取れなくて、ウィルが居る後ろを向けない。むー!! ジタバタジタバタ!!
「あはははっ、ほら出してやるから、動くな」
そう言うと、僕の両脇に腕を通してから、持ち上げてくれた。
笑ってて釈然としないけど、助けてくれたからなー。
「……ありがと。」
ぼそっとお礼をした。
「どういたしまして。ほら、先へ行こう」
「うん」
今度は落ちないように、進む前に右足を前に出して、床をちょんちょんってしながら進んだ。
ちょんちょん効果で、落ちずに階段の前までどうにか来れた。でも穴が5個もあったよ!! 多すぎじゃない!?
階段は落ちる幅がないから、安心して普通の早さで昇った。
「ぶべっ」
ずるずるずる。
階段を上ってたはずが、階段がなくなった。転んだ僕は、階段が急勾配となったため、一番下までずり落ちた。
なんでさ!!
悔しくなって、床にへばり付いたまま、バンバンと手で叩いた。
「もー!!」
「あはははっ」
ウィルは普段あんまり笑わないのに!!
恨みがましく見ると、目をそらされた。そのまま、トントンと軽やかに階段だった坂道を上って行っちゃった。
僕たちは、やっと『ビックリ屋敷』から出てこれた。
そして、僕は今、ウィルに抱えられている。荷物のごとく……。
「面白かったな」
「面白かったけど……」
もう、ぐったりだよ。
なんで壁が倒れてくるの!!
天井は落ちてきちゃだめだよ!! 途中で止まったけどさ。
それにそれに、なんで甲冑が突然動いて、走って追いかけてくるの!!
「いや、アルバートが面白かった。あいつらがおもちゃにするのが分かる」
なんか、文句を言わないといけない気がする。きっと褒められてない!!
でも、ウィルの脇に抱えられた僕は、疲れてだらーん状態。
「もう一回入るか?」
思いっきり首をブンブンと振ったら、また笑われた。
何故か楽しそうなウィルに抱えられて、お祭りを巡りまわった。




