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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
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帰城


 バンッと音を立てて開いた扉を、ビクッとしながら見ると、ミーシャお姉ちゃんがすごい勢いで入ってきた。

 僕と目が合うと、真っすぐ走ってくる。目が怖くて、逃げようとしたけどルークに捕まれてて動けない……。


「ミ、ミーシャお姉ちゃん、おはよぐぅーえ」


 ルークからひっぺ返されて、力強く抱きしめられた。

 ていうか、苦しい。


「ミーシャ、アルが死にそうだ。」


 マークお兄ちゃんの声で我に返ったのか、力を緩めてくれた。

 でも、僕はぐったりだ。


「あっ、ごめんなさい」


「アルバート君、大丈夫? お姉ちゃんが怖かったね。」


「ちょっと、サラ!!」


「まあまあ、とにかく無事でよかった」


 アクセルが僕の頭をクシャクシャとしてきた。


「アル、食欲あるか? お城の料理だからきっと美味しいぞ」


「お腹すいたー!! マークお兄ちゃん、ごはん!!」


「持ってくるから待ってろ。アクセル手伝え」


「あいよ」


「あっ、私も手伝うわ」


 マークお兄ちゃんとアクセル、サラはそう言って部屋から出て行った。

 ご飯のお話したからか、グーッとお腹が鳴った。


「ふふっ、もうちょっと我慢してね」


「うん」


 でもお腹がすいて、切ない……。


「ミーシャ、アル坊を頼むな。俺は学園長と話してるから」





 しばらくすると、兵士さんたちが細長い机をいくつか持ってきた。

 そのあとに、運んできたご飯を皆で食べることになった。


「うまっ!!」


 マークお兄ちゃんとアクセルは、うまうま言いながら食べてる。

 僕は無言。食べるのに忙しいです。


「お城のご飯が食べられるなんて!!」


 サラが感動してる。美味しいもんね。


「私は、謁見の間で、しかも立ちながらご飯を食べるとは思わなかった」


 お腹が落ち着いて、「美味しかった」とミーシャお姉ちゃんと話してると、陛下がやってきた。


「アルバート、食後はこの菓子がおすすめだ」


 そう言って僕にお菓子を乗せたお皿を渡してきた。

 綺麗にいただきました。


「美味しい!!」


 陛下は嬉しそうにして、マークお兄ちゃん達にも配り始めた。


「うまっ!!」


 マークお兄ちゃんとアクセルは、さっきからそれしか言ってない。


「あっ、すいません。マークと言います。アルバートの知り合いですか?」


「ああ」


 そう言うと、陛下は僕を抱き上げてから、髭を擦りつけてきた。


「陛下、お髭いたい!!」


 顔をしかめて、陛下の顔を手で押しのけた。痛いし、じょりじょりしてヤダ。


「えっ!?」


 誰かのびっくりしたような声が聞こえた。

 見ると、皆がびっくりした顔で固まって、こっちを見てる。


「……えっと、なに?」


「って本当に陛下じゃないですか。変装までして何やってるんですか」


 兵士さんが慌てて声をかけてきたと同時に、皆が騒ぎ出した。





 すごかった。うん。

 あんな混乱した場は初めて見た。良く分からない意思もめちゃくちゃに乱れ飛んでて、陛下からだけはすごく楽しそうな意思を感じたけど……。


「俺、すごい不敬をしたような」


 マークお兄ちゃんが陛下を見ながら茫然と呟いてる。

 ちなみに、陛下はラルヴァとお話し中。


「アクセル、アクセル!! あれ取って!!」


「ほいよ。これも食べるか?」


「うん!!」


「お前らはどんなときも通常運転だな……」


「ルーク!! ルークも食べる?」


「いや、いい。それより、アル坊とマーク、陛下と学園長が呼んでるから行くぞ」


「うん。これ食べたら行くね」


 アクセルからお菓子を受け取ろうとしたら、マークお兄ちゃんにいきなり抱えあげられた。


「マークお兄ちゃん、降ろして!! まだ食べてないの!!」


「いや、ないだろ。陛下よりお菓子を優先すんなよ」


 マークお兄ちゃんの脇に抱えられながら、陛下の前まで連れてこられると、そこでやっと降ろされた。

 折角アクセルが持ってきてくれたのに。

 絶対おいしいのに。


「ほら、アルバート、これ食べてみろ」


 陛下は僕の口に何かを入れてきた。

 もぐもぐすると、ちょっと硬い。さらにもぐもぐすると、甘くなってきた!!

 さすが陛下!! と思いながら見つめた。


「ふっ、ちょろいな」


「やっぱり自衛の魔法を教えても、食べ物で誘拐されるかな?」


 ラルヴァが苦笑してるけど、そんなことより魔法!! まだ駄目って言われてたけど、もういいのかな!!


「魔法!! 教えて!! 僕もお犬さん作りたい!!」


「犬?」


「俺じゃない、私が水から作った氷の犬のことです」


「ああ、なるほど。後、敬語は不要だ」


「陛下……」


 ラルヴァはいつも陛下を呆れた目で見てる気がする。





 陛下から、また悪い人に捕まるといけないから、僕はお城にしばらく住むんだよと言われた。

 あと、ラルヴァも魔法を教えてくれるらしい。


「大丈夫か?」


 陛下が聞いてきたから「うん」と頷いた。


「マーク君、どう思う? アルバートは城で暮らせるかな?」


 マークお兄ちゃんは僕をちらっと見てから、ラルヴァに答えた。


「無理じゃないでしょうか」


「えー!! 大丈夫だよ!!」


 マークお兄ちゃんに抗議すると困った顔をして、僕に質問してきた。


「1人で寝れないだろ? というか、城にアル1人だけになるけど?」


「なっ何で!! マークお兄ちゃんは!?」


「俺は授業があるから学園」


「ルッルークは!?」


「俺は教師だからな。マークより無理だ」


 すがりつくようにラルヴァを見た。


「ごめんな。学園長としての仕事があるからずっとは一緒に居られないんだ。なるべくは居るようにするけど」


 だれも一緒に居てくれない……。

 ん? お城だと駄目なら。


「一緒に帰る」


 マークお兄ちゃんにくっついてから、陛下にバイバイと手を振った。


「ブハッ」


「うわっ!! 陛下きたない!!」


 陛下の口から唾が飛んできた。「もー」と言いながら袖で顔を拭った。


「悪い悪い。友達の誰かがいるなら大丈夫か? あと、ウィルでも大丈夫か?」


 1人じゃないなら大丈夫かなと思って頷いた。ウィルはもちろん友達です。

 皆が交代でお城に遊びに来てもらうからと言われて、僕はお城に居ることになった。




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