表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
20/36

再会


「はあ、はあ、アルバート!! 無事か!?」


 息を切らせたラルヴァとルーク、それに兵士さん達が部屋に入ってきた。


「ラルヴァ!! ルーク!!」


 涙を流しながら呼ぶと、二人とも走って僕の方に来てくれた。

 ウィルの横に来ると、ラルヴァが僕の周りに展開している膜に触れた。


「解除」


 ラルヴァが呟くと、触れている箇所からふっと守りが消えた。

 ウィルが近づいてくると、倒れてる僕を抱き起こしてきた。


「あっぐぅぅ」


 蹴られたお腹に痛みを感じてうめき声が出た。

 ウィルは慌てて僕を降ろして、横たえてくれた。僕は両手でお腹を押さえて、体を丸めて痛みに耐えた。


「アルバート!?」


「アル坊、怪我してるのか!?」


 ウィルとルークの心配する声が聞こえるけど、痛くて返事ができずにいた。


「我が同胞に安らぎを」

「我が同胞を在りし形に」

「我が同胞が失いし力をここに」


 ラルヴァの力在る声と意思が続けざまに僕に触れ、押さえていたお腹から痛みがなくなった。

 僕がきょとんとしていると、ラルヴァが微笑んできた。


「痛くなくなった!! ラルヴァ、ありがとう!!」


 お礼を言っていると、横にいるルークとウィル、他の兵士さん達がすごく驚いた顔をしてるみたい……。

 とりあえず、動けるようになったから、起き上がってラルヴァに飛びついた。

 足の鎖がジャラジャラと音を立てて、ラルヴァとルークが僕の足を見てきた。すると、ウィルと同じように顔をしかめた。


「これ、取れないの」


「こんなものまで!!」


 ルークがすごく怒ってて怖い……。


「我が同胞から束縛の解除を」


 パキンと軽く高い音がしたかと思うと、僕の足から鎖が外れた。


「おおー!! ラルヴァすごい!!」


 足をブラブラさせながら、ラルヴァを尊敬のまなざしで見た。


「いや、これは凄いどころじゃないだろ……」


 ルークが呆然と呟いてる。ウィルも何か聞きたそうに、ラルヴァを見てる。


「とりあえず、アルバートを城へ連れて行こう」


 ウィルが頷くと、僕を抱え上げて移動を始めた。





 ウィルに抱えられたまま、お城に到着した。


「ウィルさん、よろしければ謁見の間へアルバートと向かいたいんですが」


「陛下に報告ですか? 先にアルバートを休めさせた方がいいのではないですか?」


「いえ、我々『森と在るもの』にとって、あの場は回復に最も適した所なんです」


 ウィルは不思議そうな顔をしながらも、確認してきますと言って、僕をルークに預けると先に進んでいった。

 折角お城に来たし、ウィルを待っている間に、色々見てみたくなった。


「ルーク。降ろして」


「ダメだ」


 ルークはあんまり抱っこしないから、すぐに降ろしてくれると思ったのに。


「なんで!!」


「高そうな調度品があるのに、お前を野放しにできないだろ」


「よく分かんないけど、降ろして!!」


「だから無理」


 頬を膨らませて、ルークに無言で抗議してると、ウィルが戻ってきた。


「お待たせしました。謁見の間は今は使用していないというか、使用できないので皆さんで好きにすごして良いそうです」


「ああ、そういえばアルバートが……」


 ラルヴァが呟くと、ルークが鋭い目をして僕を見てきた。


「アル坊、なにやったんだ」


「えっと、お部屋をグチャグチャのメチャクチャにしちゃった」


「……」


 ううっ。ルークが怖い。





 謁見の間に入ると、やっと降ろされたので部屋の中を見てまわった。

 椅子とか、木片の残骸が部屋の端にまとめられてるだけで、飾りとかはなくなってた。


「アル坊、本当に謁見の間が、酷い有様なんだが……」


 後ろからいつもより低い声でルークが声をかけてきた。

 怒られる気がして、振り向かずに部屋の端っこまで、走って逃げた。

 恐る恐る振り返ると、ちょっと離れたところでルークが呆れた顔をしながら僕を見ていた。

 ……うん。あれは大丈夫だ。お説教するときの顔じゃない。

 ほっとしてると、ラルヴァが座り込んでいて、ウィルが心配そうにしているのが見えた。

 不安になってラルヴァの所へ走り寄った。


「ラルヴァ、どうしたの? 痛いの?」


 ラルヴァは「疲れただけだから大丈夫」と答えると、僕の頭を撫でてくれた。


「学園長、本当に大丈夫なんですか?」


 ルークも近くに来て心配そうに話している。


「ああ。魔法を使った反動で疲れてるだけだから。ここで休めばすぐに回復する」


「そういえば、アルバートを助けに行ったときに結界のようなものがあって、近づけなかったのですが……。あれはどういった力なのですか?」


「拒絶の意思を込めた守りです。遠くから使えたのは宝玉の力でアルバートとつながりがあったからですね」


「拒絶ですか……」


 ウィルが難しそうな顔をしながら、「部下の訓練に使えるか?」とか呟いてる。


「到着したときに使われたアル坊の怪我を治した力と、拘束を外した力も宝玉の力なんですか?」


「いや、違う。宝玉はもうあの場にはなかったから……。あそこまで大きな力となったのは、私が『森と在るもの』であり、対象がアルバートだったからだ」


「『森と在るもの』は大きな魔法の力を使えるということですか?」


 ラルヴァを頷くと、少し考えてから答えた。


「私とアルバート……、『森と在るもの』は、自身そのものが触媒のようなものなんだ。世界意思を感じ、伝えることが出来る。直接、世界意思に触れているようなもので、普通の人より大きな力を使うことができる」


 ルークが興味深そうに僕を見てきた。なんだろう? 怒ってないけど、なんだか怖い。


「アルバート、ルークは研究者だから気をつけなさい。実験材料にされるから」


「実験材料って?」


 ラルヴァに聞き返したら、何故かルークに両肩を捕まれて向きを変えられた。


「アル坊、大丈夫だ。それは、アル坊が面白そうで興味深い素材、いや検体か? なだけだから。ふふふっ」


 こっ、怖い。よくわかんないけど怖い。

 どうやって逃げようか考えていると、謁見の間の扉がすごい勢いで開いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ