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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
1章 学園生活
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学園案内


 ルークは教壇から僕たちを見下ろして、これからのことについて、説明を始めた。


「さて、アル坊の学園生活が今日から始まるわけだが、マークにミーシャ、こいつをよろしくな頼むな。あと、今日の授業とテストは明日にまわすから、アル坊に学園を案内してやってくれ」


「「はい」」


「特に、マークは寮の部屋も同じだから、面倒を見てやってくれ」


「はい。ってえ?」


「2人部屋なのに今はお前だけだろ?」


「そうですけど」


「ミーシャ、アル坊をもっとしっかり抱きしめろ」


「え? はい」


 ミーシャは戸惑いながらも僕をギュッと抱きしめてきた。僕もルークを見ながら「何で?」と思った。


「アル坊、今日からご飯と寝る場所は、俺とじゃなくてマークとなるからな。じゃ、2人ともあとは頼んだ」


 ルークはそう言うやいなや教室から颯爽と出て行った。


「えっ。待って、待って!」


 僕は慌ててミーシャの腕から抜け出そうと暴れ始めた。

 ミーシャはびっくりして放すと、僕は急いで教室の外に駆け出した。が、既にルークは見えるところに居らず、置いていかれた思いから泣き叫んだ。





 僕が泣き止んで、お昼時となったことから、とりあえず食堂に向かうことになった。

 僕はしょんぼりしながら、黙ってマークとミーシャの間をとぼとぼと歩いていた。

 

「困ったなー」


「そうね」


「それにしても、あれは絶対アルが泣くことを確信してやったよな?」


「ええ。私にアルバート君を放すなと言ってたしね」


「うーん。自分じゃ説得できないから俺らに丸投げしたってとこかなー」


「本当に教師なのかしら? ちょっと酷いわよね」


「ほんとになー。っと着いたな。おすすめでいいか?」


「ええ。お願い」


 しばらくすると、マークが元気よく僕とミーシャに声をかけて、ご飯を机に置いた。


「持ってきたぞー。 アル、今日は勝手に決めちゃったけど大丈夫か?」


「うん、ありがとー。 マークお兄ちゃん」


 僕はまだ元気はないが、お礼はしっかりと言った。ルークもお礼は大事と言ってたし……。

 教室に向かう途中で、ルークがお兄ちゃんとお姉ちゃんが居るからなと話したのを思い出した。だから、マークはマークお兄ちゃんと呼ぶことにした。


「私、私のことも呼んでみて」


「ミ、ミーシャお姉ちゃん?」


 いきなり迫って来たからビクッとなって、僕はおっかなびっくりミーシャお姉ちゃんの名前を呼んだ。

 幸せそうな顔をしたミーシャお姉ちゃんに、マークお兄ちゃんが怪訝そうな顔をした。

「ミーシャ、お前ちょっと色々と、やばい」


「ぐっ。なんかこう、庇護欲が半端ないのよー」


「まあ、分からんでもないが。そうだ、アルちょっとこれを見てみ」


「お水?」


「よーく見てろ」


 マークお兄ちゃんは僕の目の前で、水の入ったお茶碗を集中しながら逆さにした。すると、水が溢れると同時に氷に変わり、さらに形を変えていった。


「すごーい!! お犬さんになったー!!」


 僕はさっきまでの元気のなさが嘘のようにはしゃいで、犬の形となった氷をまじまじ見つめては、すごいを連発した。


 僕はマークお兄ちゃんが作ってくれた氷のお犬さんを見ながら、ご飯を食べた。全部は食べられなかったので、マークお兄ちゃんに食べてもらったけど……。

 途中でミーシャお姉ちゃんが僕に「食べさせてあげる」と言ってきたけど、僕は1人で食べられるので断った。そしたら泣きそうな顔になったので、どうしようと思ったけど、マークお兄ちゃんに「ほっとけ」と言われたので、気になったけど1人で食べた。





 ご飯を食べた後、僕はミーシャお姉ちゃんに手を握られながら食堂を出た。


「さて、これからどーするかなー?」


「学園裏の庭園に行かない? アルバート君も『森と在るもの』なら、自然の中が落ち着くのかもしれないし……」


「そうすっかー」


「アルバート君。庭園は広くて色んな植物があるんだよ」


 僕はほとんど外に出たことがないから、とても楽しみになって笑顔で「うん」と頷いて、庭園に向かった。





 庭園は、花や木々がたくさん存在し、小鳥の歌声で賑わっていた。僕は色とりどりの花を見て「うわー」と感嘆の声を上げた。

 マークお兄ちゃんが笑顔で庭園内なら、好きな所で遊んでいいと言ってくれた。だから、一番気になっていた庭園の真ん中にある大きな木に向かって走った。

 大きな木の近くに来ると、風に揺られた葉擦れの音とともに、悲しい声が聞こえた。僕はお話しようと思って、大きな木の幹に手を触れて「どうしたの?」と聞いてみた。


(ルーベルクの森に来て。私たちを助けて欲しいの)


 声を聞いたら悲しくなって、僕は泣きそうになりながら大丈夫か聞いてみた。


(大丈夫。あなたと一緒にいる人たちがルーベルクの森に行くから、その時に一緒に来て)


(分かった。みんなにお願いするね)


(ありがとう)





「アル、どうした?」


 すぐに走って戻って来た僕に、マークお兄ちゃんが不思議そうに訊いてきた。僕は走った勢いそのままお願いをした。


「マークお兄ちゃん、僕も森に行きたい!」


「森?」


「うん。ルーベルクの森」


「あれ、アルバート君は私たちがルーベルクの森に行くの知ってたの?」


「あそこの大きな木に教えてもらったの。たぶん、ルーベルクの森の木だと思うんだけど」


 僕は庭園の真ん中にある大きな木を指しながら、木とお話したことを伝えた。


「へー。『森と在るもの』ってそんな風に話すんだ。でも助けてってなんだろうな?」


「そうね。明日、ルーク先生に一緒にお願いしましょ」


「ありがとー。ミーシャお姉ちゃん」


 僕は明日ルークにお話することに決めて、面白いものがないか探すために、また庭園の中に向けって走った。

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