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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
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捕らわれた力

暴力描写があります。


 堅くて冷たい感触を頬から体全体で感じて、意識が浮上してきた。

 ボーッとしながら、目を開けてみると、何故か床に転がってた。

 とりあえず起き上がろうとしたら、ジャラジャラと音が聞こえてきた。音の元を辿ると、僕の足が鎖に繋がれていた。


 「えっ、なにこれ!?」


 上半身を起こしてから、どうにか鎖を外そうとしてみたけど、ビクともしない。

 どうすればいいか分からなくて、「ヒック、ヒック」と止まらないしゃっくりをしながら鎖をいじっていると、「起きたか」と低く冷たい声が聞こえた。

 鎖を外すのに夢中で気づかなかったけど、3人の大きな人たちが近づいてきていた。


「ヒック、これ取ってー!! お願い!!」


 3人とも僕の言葉を聞かず、それぞれが話を始めた。


「本当にこんな餓鬼が必要なのか?」


「さぁな。貴族様の考えることは分からん。ただ、長も重要視してるからな。さすがに長の指示は蔑ろにはできん」


「そうだな。この後は……」


 鎖に繋がれて、知らない場所と人、怖くて何も考えられなくなった。


「ヒック、ラルヴァー、ラルヴァー、うぁー」


 心のまま声を出して泣いていると「チッ」と舌打ちが聞こえて、バンッと音とともに顔に衝撃を感じて倒れ込んだ。

 頬がジンジンとして、頭もガンガンしている。殴られたと気づいて、恐怖でいっぱいになって、叫びそうになった。


「騒ぐなら、黙るまで殴る」


 静かに、低い声で、怒気を含みながら警告をしてきた。

 恐怖で泣き叫びそうになるのを必死に押さえ込んだ。


「ヒック……」


「そこで、黙っておとなしくしてろ」


 そう命令すると、僕から少し離れていった。





 声を押し殺して、倒れたまま泣いていた。

 気づくと、綺麗な服を着た人たちが僕を見下ろしていた。


「この子供ですか?」


 奥の方から、低い声が聞こえた。さっき、僕を殴った人たちの誰かだ。

 怖くて、涙がどんどん出てくる。我慢できなくなって、小さく震えた声をあげた。


「うぁ、あっ。助けて。ラルヴァのとこに返して」


 必死に、見上げながら手を伸ばした。

 でも、僕の手も願いも届かず、きびすを返して離れていった。

 耐えきれず、泣き声が出る。


「城で見たから間違いないだろう」


「では、その子供が謁見の間の惨状を?」


「ああ。詳しい話は宰相殿が来てからだな」


「それにしても、子供の泣き声は不愉快ですな」


「そうだな。ここからは声は漏れないだろうが。おいっ、こいつを黙らせろ。ただし、絶対に殺すな」


 上半身を起こされて、後ろから猿ぐつわをかまされた。

 頭の後ろで布を結ばれるのが分かって、慌てて僕は暴れて外そうとした。

 そのとき、ドッという音とともに、衝撃がきた。すぐにお腹から痛みを感じて、苦しくなって、猿ぐつわをされた口からうめき声が出た。

 僕は、息ができず苦しくなって崩れ落ちて、お腹にめり込んでいた足が引かれた。





 床に転がり、膝と背中を丸めて痛みに耐えてると、少しずつ痛みが引いてきた。

 そうすると、若干落ち着いてきて周りを見る余裕が出てきた。まだ痛くて体は動かせないけど。

 僕は部屋の角っこのほうに転がっているみたい。目の前に見える床は、古そうな木でできていて、ほこりがたくさん溜まってる。

 部屋自体は広いけど、椅子や机、それに大きな箱がたくさん置かれていて、狭く感じる。

 怖くてあまり見れないけど、部屋の中心から向こう側にかけて、椅子や床に座ってぼそぼそと話をしている人たちがいる。

 さっきの綺麗な服を着た人はいなくなったけど、いつ部屋に入ってきたのか、今は10人くらいに増えてる。

 それを見て、また怖くなってくぐもった小さい声を出しながら泣いてると、さっきの綺麗な服を着た人が部屋に入ってきた。その後ろから、確か王城で陛下の隣に居た人が続いて、僕の方に近づいてきた。


「宰相殿、これで必要なものはすべて揃いましたな」


「ああ。ただ、こいつが浚われたことで、陛下が思いの外、多くの兵を動かした。内通者を使った案でなく、彼らの伝手で砦まで移動した方がいいだろう」


「彼らの長の指示で、移動に関しては問題ないようです。ただ……」


 言葉を句切ると、僕を見下ろしてきた。それにならって、宰相と呼ばれた人も僕を見た。


「これの移動が困難か」


「はい。彼ら、あと私兵で確認しましたが、兵も多く検閲も厳しいようです」


 宰相は僕を見ながら少し考えると、顎を触りながら話し始めた。


「偽装した商隊で運ぶのが無理そうなら、検閲は強行突破で運び出せ。戦力的に問題ないだろう」


「では戦闘となる準備もさせておきましょう。しかし、この子供にそこまでの価値がありますか?」


「ある。宝玉を使うには『森と在るもの』が必要だ」


「砦には既に捕らえた者がいますが?」


「通常、宝玉を使うと力に耐えきれず、死ぬことになるそうだ。1回でも使えれば十分な効果だが、その子供は何回かは使えるだろうとのことだ」


 冷たく、ただ道具を見るかのように僕を一瞥してきた。死ぬと言う言葉と、話してる人たちの目を見て、震える体を一生懸命に動かして、少しでも離れようとした。

 宰相は2歩だけ歩いて僕に詰め寄ると、しゃがんで僕の顎を無理矢理に持ち上げてきた。


「お前はおとなしく私たちの命令に従え」


 怖くて止まらない涙を流してると、優しく懐かしい声が聞こえた。



 

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