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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
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初日(前編)

 ほっぺたを引っ張られる感じがした。でも、この微睡みから抜け出したくなくて、いやいやしていた。

 そうすると、ほっぺたが引っ張られなくなった。そして、また深く深く、意識が沈んでいくと、いきなり苦しくなった。


「……ふがっ」


 息ができなくなって目が覚めると、アクセルに鼻を摘ままれていた。


「いひゃい!!」


 僕が文句を言いながら暴れると、笑いながら「おはよう」と言われた。


「おはほー」


 僕も挨拶を返した。鼻を摘ままれたまま。

 変な声でおはようになったので、またアクセルに笑われた。酷い……。

 アクセルは僕の鼻を解放すると、代わりに濃い茶色い何かを顔の上に置いてきた。何だろうと思って、顔に置かれたそれを手に取って見た。

 それは全身が細かい毛に覆われていて、両側に無数の足がくっついていて、頭っぽい所から2本の長い触覚が生えていて……。


「ぎゃーー!!」


 僕は慌てて叫んで、手に持ったそれをどうすればいいかも分からず、やっぱりまた叫んだ。


「ぎゃー!! てっ手に!! アッアクセル、取って!! 取って!!」


 僕は思いっきり手を伸ばして、それをできるだけ遠くにしつつ、アクセルに助けを求めた。


「ぶははははは!! ダメだ。面白すぎ!!」


「いっ、いいから!! は、早く!! なっ何これ!! 取ってー!!」


 僕はもう涙目でぼやけてよく見えないけど、手に乗ってる感触が気持ち悪い!!

 アクセルは盛大に笑いながら、やっと僕の手からそれを取ってくれた。

 布団の上を這って進み、アクセルから離れた寝台の端に逃げた。


「くくくっ、もういいのか?」


 アクセルがジリジリと近づいてくる。手の上にそれを乗せながら。


「来ちゃダメー!!」


 僕が首を左右に振りながら、寝台の端っこで固まっていると、部屋の扉が開いてマークお兄ちゃんが入ってきた。


「いつまで遊んでるんだよ。つーか、まだ朝早いのに叫んだら迷惑だろ」


「マ、マークお兄ちゃん!! 助けてー!!」


 僕は涙声になりながらも、助けを求めた。

 マークお兄ちゃんは首を傾げていたけど、アクセルの手を見て納得の表情を浮かべた。


「アクセル、一人で遊ぶなよ。やるなら混ぜろよなー」


「いやー。早く使ってみたくてなー」


「まー、まだ他にもあるからいいけど。そろそろ時間がなくなるから、アクセルは部屋から出ろ。アルが怯えてこっちに来ないから」


 なんか不穏な感じがしたけど、今はアクセルの持ってる何かの方が重大だ。アクセルを見て警戒をしていたけど、笑いながら部屋を出て行った。

 完全にアクセルが見えなくなると、やっと体の力を抜いてほっとした。


「アル、建国祭の準備があるから、ちゃっちゃと着替えて朝ご飯を食べよう」


 マークお兄ちゃんはそう言うと、僕の着替えを取り出し始めた。





 お出かけの準備をして、学園の入り口に到着すると、ウィルが待っていた。今日はお城で会ったときみたいな兵士さんの服じゃなくて、普通な感じだ。

 それでもしっかりした体型で、背も高いから普通の人とはちょっと感じが違うかな?

 走り寄りながら、「ウィルー、おはよー」と声をかけた。

 ウィルも笑顔で「おはよう」を返事をくれた。そのあと、僕の後ろの方に目を向けた。


「初めまして、マークです。ウィルさんでしょうか?」


「ああ。よろしくな。そっちはアクセル君かな?」


「はい。俺のことも知っているんですか?」


「ラルヴァさんから、聞いてるよ」


「「ラルヴァさん?」」


 マークお兄ちゃんとアクセルが揃って首を傾げてる。ウィルも困惑した感じだ。


「あれ? 私のことはラルヴァさんから聞いてると思ってたけど?」


 ウィルが僕の方を見たから、「そうだよー。昨日、マークお兄ちゃんと一緒に聞いたよ」と答えた。


「えっ?」


 マークお兄ちゃんがびっくりして僕を見た。忘れちゃったのかな?


「ウィルが来るって、ルークとミーシャお姉ちゃんと一緒に聞いたでしょ」


「もしかして、学園長のことか?」


「なにが?」


 僕が首を傾げてると、ウィルが「ラルヴァさんは、ここの学園長だよ」とマークお兄ちゃんに教えた。


「そういえば、学園長の名前って知らなかった」


「俺も」


 ウィルはちょっと苦笑しながら「今日は一緒に行動するけど、よろしく頼むな」とお願いしてきた。


「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


 お互いに挨拶を済ますと、大通りに向かって一緒に歩き始めた。ちなみに僕は、なぜか有無を言わせずにマークお兄ちゃんに肩車されることになった。






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