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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
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お祭り前夜


 学園長とお城に行ってから、数日が経過した。

 その間は、いままで通りに授業に参加して、お休みの日はみんなでお出かけに行ったりして過ごした。

 授業が終わったから、マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんと一緒に、いつもは帰っているんだけど、今日はなんか違うみたい。

 ルークも授業の片付けが終わったのに、まだ教室に居る。


「帰らないの?」


 僕が不思議そうに聞くと、みんなちょっと困った顔になった。


「アル坊、明日から建国祭なんだ」


「建国祭?」


「この国ができた日で、戦争で亡くなった人を弔う目的で始まったんだが……」


 僕が良く分からなくてきょとんとしていると、ルークは頭を掻いて言い直してくれた。


「あー、お祭りだな。色んな出店や催しが開催されるんだ」


「おおー!! 楽しそー!!」


 僕がどんなお店があるのかなー、楽しみだなーとわくわくした。


「アル坊は留守番な」


「えっ?」


 僕が聞き返すと、ルークは全く同じ言葉を放った。


「アル坊は留守番な」


「や、やだー!! 僕も行く―!!」


 僕は叫んでからルークの足にひっつき、服を引っ張りながら抗議した。

 ルークは困った顔をしたけど、おいてかれるのは絶対やだから、叩いたりしながら猛アピールした。


「まー、予想取りの反応だな」


「そうね。そもそも一人で留守番させるのも不安よね」


「あー確かに。なにやらかすか分からないからなー」


 後ろからマークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんが話してる声が聞こえるけど、それどころではないので、ひたすらルークに連れてってとお願いした。


「分かったから、落ち着け」


「本当? ほんとに本当?」


「本当だ。だから泣くな、叩くな、引っ張るな!!」


 僕はとりあえず服を放すと、本当かなと思ってルークをジーッと見た。

 ルークは「疑り深いな」と言いながら、頭をぽんぽんと叩いた。


「俺は、見回りの担当があるからずっとは無理なんだ。だから、マークとミーシャにも空いてる時間をアル坊と居てもらうようにする」


 僕は後ろを向いて、マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんを見た。二人とも笑って、一緒にお祭りを楽しもうと言ってくれた。

 嬉しい気分になりながら、ルークに「学園長も一緒?」と聞いた。


「学園長は、城に行かなきゃならんらしい」


 瘴気の件について報告書を作ったり、『森』から貰った触媒の登録申請をすることを、学園長と陛下が話していたのを思い出した。


「忙しいって言ってた……」


 僕はしょんぼりと呟いた。


「学園長とは、今度一緒にお出かけでもしてもらえ」


 僕は「うん」と頷くと、ルーク達はそれぞれの予定について、話し合いを始めた。





 建国祭の予定がある程度決まったあたりで、教室に学園長が入ってきた。


「よかった。まだ居てくれて」


 学園長を見て、ルークが「何かご用ですか?」と聞いた。僕はいつものように、学園長に走り寄ってから、ひっついた。


「明日からしばらくの間、知り合いのウィルさんが、アルバートの面倒を見るのを手伝ってもらえることになったのを連絡に来たんだ」


「それは助かります。建国祭の間はどうしても、アルバートが一人となる時間があったので。しかし、ウィルさんですか、本当にいいんですか?」


「それは大丈夫。アルバートも彼のことは知って……」


 学園長は僕を見ると、少し不安そうに「覚えているかい?」と聞いてきた。


「覚えてるよー。お城からここまで一緒に来てくれた人でしょ。」


「そうか。明日、学園まで来てくれるから、一緒に行動するようにな。迷惑をかけちゃだめだよ」


 僕はちょっとふて腐れながら「迷惑なんかかけないよー」と呟いた。


「みんなにも迷惑をかけるが、アルバートを頼むな。ウィルさんも気さくな人だから、仲良くしてくれると嬉しい」


 みんなが頷くと、学園長はまだ仕事があるからと言って、僕をマークお兄ちゃんにくっつけると、教室から出て行った。





 学園長が教室から居なくなった後、僕たちも解散することになったので、僕はマークお兄ちゃんとお部屋に向かった。

 お部屋に入ると、アクセルが椅子に座ってお菓子を食べてた。


「おかえりー」


「アクセルずるいー。僕もお菓子食べたい!!」


「ははっ。いいぞ」


 アクセルは笑いながら僕にお菓子を手渡してくれた。

 僕が幸せ気分いっぱいでお菓子を食べていると、アクセルが「どうだった?」とマークお兄ちゃんに話しかけていた。


「予想通りだったよ。ルーク先生に泣きながらひっついてた」


 マークお兄ちゃんは楽しそうに答えた。ルークと聞こえたからちょっと反応したけど、僕は次のお菓子を狙うことを優先した。


「あとは、泣くな、叩くな、引っ張るな!!ってのがおもしろかったな」


「あははは。なんか語呂がいいな。そんで、これから何回も使われそー」


 アクセルは笑いながらも、もう一個ちょうだいとお願いしていた僕に、新しくお菓子を渡してくれた。さっきのとは色が違うけど、これも美味しそー。


「ああ、そうだ。ウィルさんって人がアルの面倒を見る手伝いをしてくれるみたいだから、よろしくって学園長に頼まれた」


「へー。じゃあ、屋台からしばらく離れられないときも、アルバートを見てもらえそうかな?」


 僕はお菓子を食べ終えたので、アクセルの袖を引っ張りながら気になったことを聞いてみた。


「ねえねえ、アクセルー、屋台って何?」


「ん? 明日のお祭りで水飴っていうお菓子を売るんだよ」


「水飴? 美味しいの?」


 僕は期待を込めた目でアクセルを見つめた。


「あははは。きらきらな目になったなー。水飴は甘くて美味しいぞ。明日はアルバートにもあげるからな」


「やったー!! みーずあめっ!! 美味しいみーっずあめ!!」


 マークお兄ちゃんとアクセルが「何の歌だよ」と笑ってる。

 僕は寝るまで、明日の水飴を楽しみにしながら過ごした。


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