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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
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謁見の間


 ぼんやりと目が覚めた。

 だけど、さらさらな敷布と柔らかな感触が気持ちよくて、もうちょっと寝たい……。また寝ようと決めたところで、「アルバート?」と僕を呼ぶ声が聞こえた。

 体を横にごろんとして向きを変えると、学園長と知らない女の人が僕を心配そうに見ていた。


「学園長、おはよう?」


「ああ、おはよう。具合はどうだ?」


 ぐあい?

 とりあえず、今の気分は。


「気持ちよくて、眠い感じ」


 僕は敷布をなでなでしながら、学園長に答えた。いつも寝てるところより、とっても気持ちいい。

 フワフワとサラサラが絶妙だと思う。


「大丈夫そうですね。念のため、もう少し休ませてあげてください。私は陛下に報告してきますので、少し席を外します」


「分かりました」


 女の人が部屋から出て行くのを見てから、「今の人は?」と学園長に尋ねた。


「お医者さんだよ」


「お医者さん!? 学園長、風邪ひいたの? 大丈夫?」


 僕が勢いよく起き上がって矢継ぎ早に質問すると、学園長はちょっと驚いてから軽く笑った。


「お医者さんが診てたのは、アルバートの方だよ。」


「僕? 僕は元気だよ?」


 特に調子が悪いところもないから首を傾げながら答えた。

 もしかして、元気だけど風邪ひいちゃった!?


「ねぇ、僕……もしかして、風邪なの?」


 ビクビクしながら聞いてみると、不思議そうな顔で「違うよ」と教えてくれた。

 僕は、ほっとして胸をなで下ろした。

 よ、よかったー。


「なんで風邪をそんなに怖がってるんだ? 今まで風邪をひいたことないよね?」


「だってだって、ルークがね、風邪を引いたらね、何とかってやつで、針を腕にぶすっと刺すって言ってたんだよ!! 絶対に痛いよね!?」


 針を刺すなんて、信じられないよ!

 学園長は笑いながら、「チクッとするだけだよ」と言いながら、起き上がった僕を布団に寝かしつけた。


「アルバートは、陛下と謁見しているときに倒れたんだよ」


 僕に「覚えてないか?」と聞きながら、心配そうに、優しく微笑みながら尋ねてきた。

「うーん? 確か、絨毯がふかふかでー」


 陛下とお話ししていた時のことを思いだそうとしていると、部屋の外が慌ただしい感じになった。





 言い争うような声が部屋の外から聞こえて、しばらく僕と学園長は扉の方を見ていた。すると、突然に扉が開いて陛下が入ってきた。

 僕がびっくりしていると、「もう大丈夫そうだな」と話しかけてきた。


「えっと、おはよう?」


 陛下はきょとんとしてから、笑って「おはよう」と返してくれた。

 そんなやり取りをしている僕たちに、学園長が呆れながら話してきた。


「陛下……、危険だと言われたんじゃないですか?」


 陛下は謁見の時とは違い、気さくな感じでニカッと笑うと、側近達を近衛に力づくで押さえさせてると答えた。

 学園長は呆れたままだ。


「起きたばかりで悪いんだが、大丈夫そうなら謁見の間に来てもらえないか?」


 僕は元気だから大丈夫だよと答えた。


「そうか。助かる」


「陛下、謁見の間の状況はどうなっているのですか?」


「光は未だ存在しているが、特に害はなさそうだな。一応だれも入れないようにしてはいるが」


「そうですか」


 陛下の言った光が気になって詳しく聞いてみると、光の粒がたくさん舞っているらしい。しかも、僕が叫んで光りが溢れるとともに、大きな力が解放されて部屋がめちゃくちゃらしい。


「えっと、ごめんなさい」


「いや、大丈夫だ。わざとじゃないことは分かっている」


 僕たちは陛下に案内されて、また謁見の間に向かった。





 謁見の間まで到着すると、扉の前で陛下が兵士さんに命令をした。


「ウィル、誰も入れるな」


「しかし……」


 ウィルと呼ばれた兵士は、戸惑い心配そうな顔で陛下を見ている。


「大丈夫だ。あの光は俺らには害を与えない。ただ、他は分からないから誰も入れるな」


「分かりました。危なそうであればすぐに逃げるか、私を呼んでください」


「分かったよ。後は頼むな」


 陛下はそう言うと、大きな扉を開けて僕たちと謁見の間に進んだ。

 パタンと扉を閉める音を聞きながら周りを見ると、椅子はひっくり返り、絵画や装飾があちこちに散らかっている。

 僕がこの惨状を見てぼーっとしていると、淡い光を放ちながら、たくさんの光の粒が降ってきた。

 光の粒は僕の周りを漂い、優しい感じと心配そうな感じを醸し出してる。


「ラルヴァ、どうだ?」


「大丈夫そうです。慈しみ、優しさといったものを感じます」


「アルバートはどうだ? なにか感じるか?」


「うーん、心配してくれたみたい。もう大丈夫だよって言うね」


 そう言うと僕は光に意識を向けた。


(もう大丈夫だよ。心配してくれてありがとう)


 陛下がちょっと慌てて「おい!」と僕に声を掛けたけど、光に集中していたから返事ができなかった。

 光の粒は僕の周りから螺旋を描きながら、昇ると薄くなり消えていった。


「消えちゃった」


「はぁ、体は大丈夫か?」


 陛下がため息をつきながら、僕に聞いてきたので「大丈夫だよー」と元気に言った。


「そうか。ラルヴァ、あれは『森』の意思か?」


「断言はできませんが、意思を感じたことと、この場であることから、おそらくは」


 陛下が僕の近く人きてしゃがんできた。


「お前さんが倒れる前のことを覚えてるか?」


「ふわふわの絨毯?」


 陛下が、がくっと頭垂れた。なんかダメだったかな? 首を傾げてると、今度は学園長が話をしてきた。


「アルバートは『森』に居るみたいと言った後に、倒れたんだよ。そのあたりのことは、覚えてるかい?」


「うん。ここは『森』に居るときみたいな感じになるよね」


 陛下が「ここは森の木や触媒をちりばめた、特別な場だからな」と答えてくれた。


「それでね、いろんな思いを感じたんだよ」


 陛下と学園長が、どんな感情を感じたのかを聞いてきた。僕は、陛下と学園長からは優しくて寂しい感じと答えた。

 すると、また寂しい感じがしてきた。陛下は少し元気のない声で、「そうか。他にはなにか感じたのか?」と聞いてきた。


「その後は、すごくすごく怖くなったの。それで気づいたら寝てたみたい」


「その怖い感じは誰からか分かったか?」


 僕は分からなかったから、陛下に首を振った。

 陛下は少し考えてから、僕を見ると「怖い思いをさせて悪かったな」と頭を撫でてくれた。


「大丈夫だとは思うが、学園に戻るまで護衛を付ける」


「護衛ですか?」


「ああ、お前達を失うわけにはいかない。最近は妙な金の流れもあるし、お前らの特殊性も露見してしまったからな」


「分かりました。私の方でも気をつけるようにします」


「あと、今日の謁見で触媒の話もでてしまったから、念のためそちらの方も気をつけてくれ」


「はい。陛下もお気を付けください。アルバートの話からすると、陛下が狙われている可能性も高いですから」


「ああ、そうだな。ウィル、入ってきてくれ」


 陛下は扉の方へ声をかけると、扉が勢いよく開いて兵士さんがすごい勢いで入ってきた。陛下は苦笑しながら「大丈夫だ」と答えた。


「悪いが、護衛としてラルヴァとアルバートを学園まで送ってくれ」


「護衛ですか?」


「ああ、頼むな」


「かしこまりました」


 僕と学園長は、ウィルと一緒に学園へ帰ることになった。

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