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アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
2章 建国祭
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登城


 今日は学園長と一緒におでかけ。

 学園長は王様にお話するお仕事らしい。

 初めて見たお城は、全体的に白い石が光を受けてキラキラ輝いていて、とても綺麗。あと、たくさんある大きな柱をよく見ると、細かい模様が刻まれていて僕にもすごいと分かった。


「うわー、大きくて綺麗だねー」


 僕はお城を見上げて感嘆した。


「お城は広くて迷子になるから、手は放さないようにするんだよ」


「うん」


 学園長は、城門の横にいる兵士さんのところに向かった。


「ディザイアの学園長をしているラルヴァです。本日、謁見の約束をしているのですが、確認いただけますか?」


「伺っております。私がお部屋までご案内させていただきます」


 僕と学園長は兵士さんの後を歩いて、お城の中に入った。





 しばらく歩くと、立派なお部屋に案内された。


「謁見の準備が済むまで、しばらくこちらでお待ちください」


 そういって、兵士さんはお部屋から出て行った。

 お部屋の中を見ると、真ん中に綺麗な机とフカフカな感じの長椅子が置いてあった。端の方に目を向けると、少し開いた窓から風が吹き込んで、白く柔らかそうな窓掛けがゆっくりなびいている。


「大っきなお部屋だねー」


「そうだね。それじゃあ、椅子に座ろうか」


「うん。すごく柔らかそう!!」


 椅子に近づいて手を置くと、沈み込んで柔らかな感触に包まれた。


「おおー」


 楽しくなって、手を入れたり出したりしてると、学園長に抱きあげられて椅子の上に座らされた。


「学園長ー!! 沈んじゃう!!」


 学園長は笑いながら「大丈夫だよ」と言って、隣に腰を落とした。

 椅子に沈んで四苦八苦していると、扉を叩いてから兵士さんが入ってきた。


「お待たせしました。謁見の間へご案内いたします」


 学園長は立ち上がると、一人で降りられないでいた僕を抱きかかえた。そして、そのまま兵士さんの後を歩き始めた。





 大きくて立派な扉の前に来ると、案内してくれた兵士さんが「ラルヴァ様をお連れいたしました」と言ってから扉を開けた。

 扉の中に入って部屋の真ん中あたりまで来ると、学園長は僕を降ろすと片膝を突いてから、頭を下げた。

 僕も学園長を真似て、正座をしてからペコッと頭を下げた。


「久しぶりだな。ラルヴァ」


 僕たちの前に並んでる人で、一人だけ椅子に座っている人が学園長に声をかけた。学園長は顔を上げると、「お久しぶりです。陛下」と答えた。


「今日は、報告を受けた瘴気の件かと思ったが、隣にいる子供についてか?」


ふわふわの絨毯をなでなでしていると、陛下と周りの人が僕を見てきた。ちょっと怖い……。


「瘴気とこの子、アルバートといいますが、両方の話となります」


 そう言って学園長は、僕とルーク達が『ルーベルクの森』で瘴気をなくして、触媒をもらったことまでを報告した。

 陛下は話を聞き終えると、髭をゆっくり撫でながら目を閉じた。

 しばらくすると、陛下は目を開けて僕を見てきた。すると『森』から感じるのと同じように、悲しみに期待、哀れみといった思いが聞こえた。


「その子がいれば、失わずに済むのか?」


「それは、分かりません。ただ、この子にすべてを押しつけるのは……。今回はたまたま上手くいっただけかもしれません」


 学園長と陛下から悲しみを感じて、不安になって学園長を見上げた。優しく僕を見ると、頭を軽く撫でてくれた。

 そうすると、慈しむ思いが僕を包んで守られているみたいになって、嬉しくなった。


「なんか、『森』に居るみたい……」


 僕が何となくそう言うと、学園長はびっくりした顔になった。


「そこまで分かるのか」


 声が聞こえた方を見ると、陛下も僕を見て驚いていた。僕もだけど、陛下の周りにいる人たちも不思議そうな顔をしている。


「陛下? 私にもご説明いただけますか?」


 陛下の隣に立ってる人が、代表して質問をした。


「ここ謁見の間は祝福された場だ。祝福が適切な言い方かは微妙だが。それで……」


 うーん? ちょっと黒いもやもやっとした感じがする。陛下は優しそうな感じで好きだけど、隣の人は嫌いな感じ……。何だろう?

 そう思っていると、嫉み、憎悪、そして殺意が部屋を黒く深く覆い、僕の心を侵してきた。

 怖い。

 怖い怖い怖い。


「ぅあ……、あ、あ」


「アルバート? どうした!」


 僕は怖くて何も考えられなくて、学園長の手もはね除けて叫んだ。


「あーーーー!!」


 光が勢いよく舞い散るのを見て、僕の意識は真っ暗になった。






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