表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバートと森の不思議な関係  作者: よし
1章 学園生活
10/36

帰還


 僕は「嬉しい」気持ちを一番感じる木を探して、走り寄った。

 見上げると、木の葉に水滴がたくさんついていて、降り注ぐ光りを浴びてきらきらしていた。


(大丈夫? 上手くできた?)


(私たちの子。ありがとう。今は淀みも歪みも消えている)


 僕はホッとしながら(本当!!よかったー)とはしゃいだ。


(私たちの子。お友達にこれを渡してあげて)


 目の前に淡い光が現れると、その中から澄み切った宝石が3つ、僕の手に落ちてきた。


(わー! キレー! これ何?)


(私たちが願いを聞いて、力を貸す過程を通ったもの。お友達が媒体と呼んでるもの)


(あっ!! ミーシャお姉ちゃんが探してやつだ)


(これは何度も願いと力を通したもの。だから力が強い。お友達の願いに対して、私たちから送れるもの)


(うん。わかったー。ちゃんと渡すね)


(私たちの子。あなたにはこれを)


 一枚の葉が降ってくると、僕の前で結晶のようになって、手の上に触媒と一緒に乗ってきた。


(これはお友達があなたを大切にする願いから、私たちの力を通して生まれたもの。きっと、あなたを守るものとなる)


(うん。ありがとー。大切にするね)


(さあ、お友達が待ってる。行きなさい)


(うん。またねー)


 僕はもらった触媒とお守りを両手で落とさないようにしながら、みんなのところへゆっくりと戻った。





 みんなの元に戻ると、ルークが「どうだった?」と聞いてきた。


「綺麗な、えっと、触媒?をもらったよー!!」


 僕が両手を前に出して「ほらっ」と見せた。


「アル坊、よくわからん。何で触媒を貰うことになったんだ?」


「あっ、瘴気が無くなったんだって。それで、これがお礼だって」


 僕は触媒をみんなに一つずつ渡した。


「アルのおかげで探さずにすんだなー」


「ええ。それにこれはとっても綺麗ね」


 ルークがちょっと難しい顔をしてるのが気になって「どうしたの?」と話した。


「これは国宝級なんじゃ……」


「「えっ」」


 ルークは難しい顔のまま、マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんはすごくびっくりした顔で触媒を見てる。


「ダメだった?」


「いや、ダメじゃないんだが。マーク、ミーシャ、学園長に相談するから言いふらすのは自重してくれ」


「はい。でもこれ、私たちがもってるより、ルーク先生が持っていたほうがいいかしら」


「それはお前たちが持ってろ。『世界意思』から頂いたものになるのかもしれないからな」


「うわー。どうやって保存しとくかなー」


 マークお兄ちゃんが触媒を見て、おっかなびっくりしてる。


「確かに。持ってるのもちょっと怖いかしら……。あらっ、アルバート君、何を持ってるの?」


 僕は葉の形をした水晶を摘んで、「お守りを貰ったのー!!見て見て、綺麗なんだよー」と言いながら腕を上げた。


「綺麗ね。よかったね」


「アル坊、落ち着け。そろそろ学園に戻ろう」


 ルークはそう言うと、帰る準備を始めた。それを見て、マークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんも触媒をかばんに入れてから、移動の準備を始めた。





 ルーベルクの森から学園に戻ると、ルークが今日は解散とだと言った。


「アル坊、俺は学園長の所に行くが、お前はどうする?」


「行くー!!」


「分かった。マーク、今日はアル坊を学園長に渡すことにする」


「了解です。アル、また明日な」


 僕はマークお兄ちゃんとミーシャお姉ちゃんにバイバイをした。


「今日は学園長のとこにお泊まりできる?」


「ああ。今日はいるらしいからな」


 僕は久しぶりに学園長と一緒になれることから、「やったー!!」と舞い上がった。


「嬉しそうだな?」


「うん。本を読んでもらうんだー」


「それは、『ルーベルクの森』での報告が終わってからな」


 僕とルークは、お話しながら学園長の部屋まで向かった。





 学園長の部屋に着くと、「おかえり」と学園長が迎えてくれた。


「ただいまー」


 僕は挨拶をしながら、学園長の所に向かった。そうすると、僕を抱きかかえて膝の上に乗せてくれた。


「学園長、『ルーベルクの森』での事について、報告します」


「ああ、頼む」


「まず、アル坊が受けた依頼は瘴気の排除でした」


 学園長は少し顔をしかめながら「そうか」と頷いた。


「お前たちには危険な目に合わせてしまったな。なにもできず、申し訳ない」


「『世界意思』が関わっていれば、断るわけにもいきませんし、学園長に責任はありませんよ。それに、瘴気に対する対応をできる限りしていただけたと思います」


「いや、私は『森と在るもの』だ。瘴気に関しては責任が存在するんだ」


「そうなんですか? ただ、今回は瘴気の排除については問題なく解決しました」


 少し疑った感じの声音で「解決できたのか?」と呟いた。


「ええ。アル坊にも確認してもらいましたから。あと、相談したいことがあります」


 ルークはそう言うと、森で光に包まれたこと、触媒をもらったことを詳しく学園長に話した。

 学園長は少し考えて、ゆっくりと答えた。


「森での光は、恐らくだが『森』の力が具現した形だと思う。以前、アルバートを見つけた時に一度だけ見たことがある」


「力の具現……ですか?」


「ああ。光からは意思を感じたから、魔法の根源に近いものかも知れない」


「そうですか。とりあえず、問題は無さそうですね」


「そうだな。それより触媒については対策が必要かな」


「国などに提出が必要ですか?『世界意思』からの物と判断したので、マークとミーシャにはそのまま持ってるように言ったんですが……」


 おお!!ちょっと困った感じの声だ。めずらしい!!


「それで問題ないが、国に登録を申請しといたほうがいいだろう」


「登録ですか?」


「ああ。それで自身のものである証明とすることができる。それに、万が一に盗まれた場合でも触媒の特定ができたほうがいい」


 ルークがなるほどといった顔で頷いた。おお!! またしても珍しい!!

 僕がさっきからびっくりしてルークを見てると……睨まれた。


「アルバートの貰ったお守りを見せてもらえるかい?」


 僕は「いいよー」と答えてから、マークお兄ちゃんに買ってもらったかばんからお守りを出した。


「これもらったのー。見てー、すごくきれーなんだよ!!」


「ほぉ、綺麗だな」


「いいでしょー」


「ああ。ふむ、これからアルバートを守る『意思』を感じるな。確かにお守りになるな」


「守る『意思』ですか?」


「瘴気を和らげる効果のあった水晶の魔道具と似たようなものだよ。あれには、瘴気を防ぐといった『意思』が込められているんだ」


「ほー。それでは、このお守りも魔道具の扱いになるんでしょうか?」


「いや。これには具体的な効果があるわけではなく、あくまでアルバートを守る『意思』が込められているものだから、魔道具ではないな」


 そう言って僕にお守りを返してくれた。


「アルバート、後で紐をつけて首から掛けられるようにしよう。そうしたら、いつでも身に着けていられるし、失くさないだろう?」


「うん!!」


「それでは私はこれで失礼します。明日、アル坊を迎えにきます」


「ああ、頼む」


 ルークが部屋から出ようとしたので、手を大きく振って「バイバイ」と言った。そしたら、「じゃあ、明日な」と言いながら出て行った。

 僕は、学園長とルークの難しいお話が終わったので、本を読んでもらうと思って、お願いをした。


「いいよ。読みたい本を持っておいで」


 学園長が僕を膝から降ろしたので、面白そうな本を探しに本棚に向かった。

 そのあとは、寝るまで学園長に本を読んでもらって過ごした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ