表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仕立て屋〜世界の舞台裏〜   作者: tismo
少年は、そして、勇者を夢見る
7/13

第六話 森の騒乱(1)

森の騒乱(1)


エルルゥ一行、村の子供達は丘を登って行進していた。

昼になる前であともう少しでキャンプポイントに着く予定だ。

複数日のキャンプになるため、荷物はなかなかに重たい。


子供達は日々の訓練から鍛えているにもかかわらず、非常に疲れきっていた。


途中で現れた魔獣達との連戦が主な原因だろう。

子供達に大きな緊張を与えた。


魔獣達は群れで現れ、敵も味方も複数同士の戦いだった。村の男達はなれていたが、エルルゥからのお願いにより、危険なとき以外は手を出さないようにいわれていた。


複数同士の戦いは、一対一では楽に勝てた勝負から一気にセンスを必要とする戦いへと発展させていた。

子供達は自分の役割と仲間達の動作に気を配る方法を身につけていった。

魔法使いや弓使いなど後衛なら戦士の邪魔にならないよう魔物に的確に魔法を当てるタイミングの習得。

戦士や剣士などの前衛なら魔法使いや弓使いが、魔法を構築する時間の確保や後衛へと敵を通さないための前衛同士での即座のコンビネーションを学んだ。

一対一よりも格段に難しさが増しているものの、仲間がいることでより効率よく安全に敵を倒すことができるのを子供達は学ぶ。確実に成長していた。

とはいったものの、この日は何故か・・・魔獣の数は多かった。

子供達がへとへとになるのも無理はなかった。



しかし、戦いはまだ終わらない。

行進の先頭グループは本日一番の大物と戦っていた。



甲殻獣シェルベーア



背中に亀の甲羅を抱えた熊のような魔獣だ。魔族の瘴気で背中の皮膚が異常に固い。亀のような甲羅の皮膚であるためその名が付いている。背中の皮膚はどうやら重いらしく逃げようと思えば逃げるのは簡単であるが、訓練であるため逃げるのは許されていない。

このレベルの魔獣はこの森でも主クラスの強さだ。北側の土地に多く生息するのだが、大陸東南部に位置するここにもわずかながら生息する。背中からの攻撃は初級魔法であれ剣であれ通用しないため、正面きって戦うしかない。正面に立ったら立ったで、爪による非情な一撃が待っているためあまり勝機は見当たらない。近隣の住人は見かけたらすぐに逃げる。


そんな魔獣とやりあっているのは、トニーとルクスだった。

トニーは魔法と剣、両方を使って巧みに甲殻獣に傷を増やしていっている。ただ攻撃に前に出すぎて、爪による一撃や牙によるするどい噛み付きに完全に対処できていないので傷をところどころ負っている。

ルクスは完全に近接専門の剣士だ。その素早さやエルの教えた剣技を応用して見事に攻撃を受け流しているが、トニーのことが見えておらず、ところどころ魔法の邪魔やトニーにぶつかって受け流すことに失敗していたりした。


グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


甲殻獣の咆哮。

体力を消耗しすぎた二人のまだ成熟しきっていない体に深く響く。



「ぐぅぅうぅ」


「くっ・・・おのれ獣が・・・!」



敵からにじみ出る威圧感。

それがまた彼らの動きを遅くする。


甲殻獣の猛攻に徐々に追い込まれていく二人。

エルルゥは冷ややかな目で二人を観察している。じとー

そのことが二人をなにより焦らせていた。



「ルクス、ちゃんと俺の動き確認しろよ!

「お前も前に出すぎだ!おとなしく後ろに下がって魔法を詠唱してろ」



まさしく足の引っ張り合い。

二人の姿を見てエルルゥは物憂げにため息をついた。

周りの大人達からも、駄目だこりゃ、というあきれた声が聞こえた気がした。


しかし、


二人と一匹が戦っている奥に潜む森から複数の獣が叫ぶ声が聞こえ、先ほどの咆哮に孕む意味に気づき、エルルゥを含めその場にいる全員の表情は硬直した。




2011.06.13 タイトル変更#森の戦いが少し長くなるのでタイトルを変更します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ