田中という男2
私には唯一ゲームフレンドがいる。
彼の名前は田中くん。
彼もまた人間が嫌いな男であった。
好きなものは金、信じるものも金
趣味はパチンコと風俗
毎回パチンコにいっては、勝ったお金で風俗にいくらしい
お気に入りはマリアちゃんだってさ。
「マリアが俺に会いたがってんだよね、ちょろっと口説いただけなのにさ困っちまうよなー」
笑ってしまうくらいのドヤ顔で田中くんは続けた。
「でもぶっちゃけ風俗嬢は風俗嬢だよ。付き合うとか考えられねえ なんかあいつ、めちゃくちゃ付き合いたがってきてさ。そりゃ顔は可愛いけどさ、胸ないしないわ」
ボイチャごしにラーメンを啜る音が聞こえた。
この男はきっと私のことを女としてカウントしてないだろう
だってこんな会話普通異性のまえでしないからね。
「ふーん、でも田中くんってさ顔ブサイクだよね、なんでモテるのかな?」
「は?お前はっきり言いすぎだろ。まあいいけどさ、そりゃイケメンよりもめちゃくちゃ努力してるもん。会話磨いたりとかファッション変えてみたりね」
彼のファッションははっきり言ってダサい。
花鳥風月をモチーフにしたパーカーに、ゼブラ柄の短パンをいつも履いている。
「あ、ああなるほどね、人によってはスター性感じるかもね」
「バカにしてる?うっざ」
ブチッ
ボイチャが切れる音がした。