もう一度会いたい
はい。新シリーズ始めます
突然の出来事だった……。ある日、僕のスマホにいきなり「花音がトラックに轢かれた」と恋人である花音の母親から連絡が入った。僕はその言葉を聞いた瞬間、急いで家を駆け出した。現場に到着すると、そこには倒れ込む彼女の姿があり、周りには散ケーキと僕の好きな特撮ヒーローのラバーマスコットが散らばっていた。どうやら彼女は元気の無かった僕を元気付けるためにサプライズをしようとしてくれていた見たいだ。僕は倒れ込む彼女を抱き抱える。
「ごめんね……サプライズ……出来なかった……」
「花音は悪くない…。守れなくてごめん…ほんとにごめん……」
涙を流しながら謝罪する僕の頬に花音はそっと手を添え
「謝らないで……誰も責めないで……あなたは悪くない……」
そう一言残して息を引き取った。僕は多大な絶望を押し付けられた。誰も悪くない、誰かを責めたところで花音は帰ってこない。そんな状況で僕は何もできなかった。それからの人生は地獄でしかなかった。食べ物は喉を通らず、精神は崩壊し、体もボロボロになり、高校にも行けず、部屋から出られず、恐怖と悲しみと憎しみに心身を駆られる毎日だったそして彼女の死から2年程月日が経った頃、僕は精神病院に入院し、少しずつ精神や体が回復しつつあった。そそして僕はある日とあるニュースを目にする。
「2年前の10月に起きた人身事故は何者かが遠隔操作を駆使して起こしたもの」という内容だった。
2年前の人身事故……そう。それは僕の彼女、花音が亡くなった事件だ。遠隔操作など有り得ない。でも、もしそうだとするなら犯人を捕まえて復讐するしか……僕がそんな事を考えていると病室のドアがノックされる。
「萩野さーん、開けますね」
看護師さんがそう言ってドアを開ける。
「萩野さんのお知り合いがお見舞いにいらしてくださいましたよ」
そう笑顔で僕に伝える看護師さんの隣に見慣れない女性が立っていた。
「こんにちは」
「それでは私はここで。何かあったら、すぐにナースコールで伝えてください」
「わかりました」
女性は看護師さんに返事をし、看護師さんは部屋から出ていく。
「あの……」
「ん?」
「誰?!」
「あぁ、ごめんなさい。忘れてたわ。私は速名梨花。あなたに話があってきたの。」
「話し?と言うかあなたは一体……」
「今から順を追って話すからちょっと黙って」
「えぇ……」
あまりにも初対面とは思えない言葉遣いに困惑するも僕は梨花さんの話を聞くために姿勢を整える。
「まず、このニュースは見たかしら?」
「あぁ、トラックの人身事故。遠隔操作で犯行されたって言われてる……」
「そう。そしてこの人身事故の被害者。倉橋花音さんはあなたの恋人よね?」
「どうしてそれを……!」
「私、これでも一応警察だから」
「そんな人が僕に何の用ですか?」
「彼女にもう一度会いたいと思わない?」
「そんなの……思うに決まってるじゃないですか!」
思わず、声を荒らげる。
「あっ、えっと、その、ごめんなさい」
「構わないわ。こちらこそごめんなさい。でも、安心してもう一度会えるから」
「え?何言ってるんですか、そんなの無理に決まって……」
「できるわ。これを使えばね」
梨花さんは腕に付けているブレスレットを僕に見せる。
「なんですかそれ……」
「政府が開発したブレスレット。これがあれば自身の望む時間に戻れる。」
「タイムスリップってことですか?何馬鹿げた事言って……」
「どうせタイムスリップできるからあなたが信じるか信じないかはどうでもいいわ」
梨花さんはキッパリ言い切る。そんなに自信があるなら信じてみても……。それに僕も……
「ほんとに過去に戻れるんですか?」
「えぇ、信用して大丈夫。」
「でも、どうして僕にその事を?」
「この遠隔操作で人身事故を起こす事件は近年多発しているの。政府や警察はこれまで起きた事件で使用された遠隔操作の機械を全て回収したわ。一機を除いてね……」
「その一機って……」
「えぇ、2年前の秋に起きた人身事故で使用された機械。あなたにはそれを回収してきて欲しいの。」
「僕に?!」
「えぇ、そうすればあなたは彼女にもう一度会える。私は操作に必要な機械を手に入れれる。ウィンウィンでしょ?」
「まぁ…」
「やってくれる?」
断る理由なんてない。戻れるなら戻りたい。それが本心だから。それに犯人に近づけるなら……
「やります」
「ありがとう。それじゃあ、これを手首に付けて」
僕は梨花さんに渡されたもうひとつのブレスレット受け取りに、右手首に取り付ける。
「よし、そして私のブレスレットが着いた手を握ればタイムスリップできるわ」
「よし……」
「待って」
梨花さんの手を握ろうとした僕を梨花さんが静止する。
「どうかしましたか?」
「過去に戻るのはいいけど、犯人に復讐しようなんて絶対に考えないで。そして絶対に復讐なんてしないで。」
「……どうして」
「復讐の先には何も残らない……っていう綺麗事を言うつもりじゃない。あなたが犯人に復讐をすれば歴史が改変されて下手をすればあなたも、そして私も消滅するかもしれない」
「消滅……」
「約束できる?」
「大丈夫です……僕はただもう一度会いたいだけですから……」
「悪いわね。それじゃあ、私の手を握って」
「はい……」
「やっぱもっかい待って!」
またもや梨花さんに手を握るのを止められる。
「次はなんですか!」
「私……男性と手繋いだ事とかないから、その…///心の準備が…///」
不覚にも少しキュンとしてしまった。いやいやダメだ!俺は今から彼女に会いにいく訳だし!それにこんなところで足止めくらってちゃ進まない。
「覚悟決めてください」
「ふぇっ!?…///」
僕は梨花さんの手を強引に握って過去をへと飛んだ_。
手を握られるを緊張する梨花さん可愛いですね〜。果たして萩野君は花音ちゃんと再開できるのか!ちなみに萩野くんの下の名前は柊です。