表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

10話 大森林の脅威、オーガとの遭遇

大森林に足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。


「......濃いな」

翔太は、思わず呟いた。


木々は途方もなく巨大で、幹の太さは翔太の身長の何倍もある。枝葉が空を覆い、昼間だというのに薄暗い。そして、空気そのものに重みがあるように感じられた。


「これが大森林か......」


「魔力が濃いのよ」

ランマが説明した。


「強い魔物がたくさんいる場所は、自然と魔力が濃くなる。ここは、そういう場所」


翔太は、頭の上のプルンを見た。プルンは、いつもより身体を硬くしているように見える。


「大丈夫か、プルン?」

プルンは、小さく震えた。怯えているわけではないようだが、緊張しているのは確かだ。


「ナーガは川に戻ったし、ここからは俺たちだけだな」


「うん。でも、何かあったら呼べば来てくれるでしょ」


「そうだな」

翔太は、森の奥へと歩き始めた。


しばらく進むと、プルンが反応した。


「魔物か?」

プルンは、ある方向を示した。だが、その震え方が尋常ではない。


「......かなり強いみたいね」

ランマの声にも、緊張が滲んでいる。


翔太は、身構えた。


——木々の間から、巨大な影が現れた。


「っ!」


それは、人型の魔物だった。


身長は三メートルを超え、筋骨隆々の身体は岩のように硬そうだ。顔は醜く歪み、口からは鋭い牙が覗いている。手には、巨大な棍棒を握っていた。


「オーガ......!」

ランマが、息を呑んだ。


翔太は、ステータスを確認した。


────────────────────────────────────


【オーガ】


Lv. 35


・怪力

・硬化

・咆哮


────────────────────────────────────


「レベル35......」


翔太の顔から、血の気が引いた。


今の自分はレベル24。またしても十以上の差がある。しかも、この魔物は見るからに戦闘向きだ。


「逃げるぞ」

翔太は、即座に判断した。


「プルン、ランマ、走れ!」


だが、遅かった。


オーガは、翔太たちを見つけるなり、咆哮を上げた。


「グオオオオオ!」

その声は、森全体を震わせるほどの轟音だった。思わず身体が硬直する。


「くっ......!」

翔太は、なんとか身体を動かそうとした。だが、足が言うことを聞かない。


「咆哮のスキル......!身体が麻痺する効果があるのよ!」

ランマが叫んだ。


オーガが、棍棒を振り上げた。


このままでは、叩き潰される——


その時だった。


「ぷるっ!」

プルンが、翔太の頭から飛び出した。


そして、オーガの顔面に向かって——自らの身体を発射した。


「プルン!?」

プルンは、オーガの目に張り付いた。


「グオッ!?」


視界を奪われたオーガが、棍棒を振り回す。だが、狙いが定まらない。


隙が生まれたのか、翔太の身体の麻痺が解けた。


「今だ、逃げるぞ!」

翔太は、ランマの手を引いて走り出した。


「でも、プルンが——」


「プルン、離れろ!」

翔太が叫ぶと、プルンはオーガの顔から離れ、ぴょんと跳ねて翔太の元に戻ってきた。


「よし、このまま——」


だが、オーガは諦めなかった。


「グオオオオ!」

怒りの咆哮と共に、オーガが追ってくる。その速度は、見た目に反して恐ろしく速い。


「まずい、追いつかれる......!」

翔太は、必死に走った。だが、オーガとの距離はどんどん縮まっていく。


このままでは——


その時、翔太の頭にある考えが浮かんだ。


「ランマ、あの木の方に走れ!」


「え?」


「いいから!」

翔太は、近くにあった巨大な木を目指した。


その木の根元には、大きな穴が開いている。おそらく、何かの魔物の巣穴だ。


「あそこに隠れるの? でも、オーガに見つかったら——」


「隠れるんじゃない」

翔太は、穴の前で立ち止まった。

そして、振り返ってオーガと対峙した。


「翔太、何を......!」


「賭けだ」


翔太は、オーガを睨みつけた。


オーガが、棍棒を振り上げる。


翔太は、動かない。


棍棒が振り下ろされる——その瞬間、翔太は横に跳んだ。

棍棒は、翔太がいた場所を通り過ぎ——巣穴の入り口に直撃した。


轟音と共に、穴の周りの地面が崩れる。

そして、穴の中から——何かが飛び出してきた。


「グギャアアア!」


それは、巨大な蜘蛛だった。

八本の脚、無数の目、そして鋭い牙。体長は二メートルほどもある。


巣穴を壊されたことに激怒した蜘蛛は、目の前にいるオーガに襲いかかった。


「グオッ!?」

オーガは、突然の襲撃に驚いて後退した。


蜘蛛は、糸を吐いてオーガの動きを封じようとする。オーガは、棍棒を振り回して応戦する。


二体の魔物が、激しく戦い始めた。


「今のうちに逃げるぞ!」

翔太は、ランマの手を引いて走り出した。


オーガと蜘蛛の戦いの音が、背後で響いている。


***


十分ほど走り続けて、ようやく翔太たちは足を止めた。


「はあ......はあ......」

翔太は、木の幹に手をついて息を整えた。


「助かった......」


「すごいわね、翔太」

ランマが、感心したように言った。


「あの状況で、あんな作戦を思いつくなんて」


「たまたまだ。巣穴があることに気づいてなかったら、終わってた」

翔太は、頭の上のプルンを撫でた。


「プルン、ありがとう。お前のおかげで助かった」

プルンは、嬉しそうにぷるぷると震えた。


「でも、あのオーガ......レベル35か。この森には、あんなのがゴロゴロいるのか?」


「たぶんね。大森林は、弱い魔物が生き残れない場所だから」


「......厳しいな」


翔太は、自分のステータスを確認した。


レベル24。スキルはそこそこ増えたが、オーガには到底敵わない。


「正面から戦うのは無理だな。罠を使うか、他の魔物を利用するか......」


「賢明ね。無謀な戦いは避けた方がいいわ」


翔太は、森の奥を見据えた。


この森には、強い魔物がたくさんいる。それは、危険であると同時に——チャンスでもある。


「うまくやれば、強い従魔を増やせる」


「そうね。でも、無理はしないでね」


「わかってる」


翔太は、再び歩き始めた。

今回は逃げることしかできなかった。だが、次は——


必ず、あのオーガを従えてみせる。


そう心に誓いながら、翔太は大森林の奥へと進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ